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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

ジャガイモの実

2020年07月28日 | 生物生産科
先日、話題にしたジャガイモの実。
名農の第3農場に行ってみるとご覧の通り、実をつけていました。
品種はキタアカリ。昭和62年に品種登録されたダンシャク系のジャガイモです。
ダンシャクといえばデンプンが多く、ホクホクとした調理特性があります。
裏を返すと煮崩れしやすいので、煮物などには不向きです。
ダンシャクと違うところは甘い食味。
したがって、ジャガイモ自体の味を感じられるじゃがバターに最適なようです。
さてこのジャガイモの実を見てください。まるで熟していないミニトマトです。
ただ熟しても赤くはなりません。
トマトもジャガイモもナス科だけあって、このような可愛い実がつくのです。
ナスの原種には白い実がつくものがあり、
昔、「卵のなる木」として話題になりました。
ナスは英語でegg plantといいますが、実物をみると納得します。
このジャガイモの実には100から200粒の種子が入っています。
面白いことに遺伝子が違うため、植えてみると
いろいろ特徴の違うジャガイモになります。
食べられる大きさの塊茎ができるまで数年かかるので
これを播く人は育種家ぐらいしかいませんが、
自由研究で試してみるのも面白いかもしれません。
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マルチングの色

2020年07月17日 | 生物生産科
第3農場を歩くのは気分の良いものです。理由は豊かな緑と土の匂い。
温室で水耕栽培ばかりして農業の魅力を忘れがちな環境システム科の私たちにとって
とても新鮮に感じるからです。露地栽培の開放感を感じながら
歩いていると、こんな面白い畝を見つけました。
栽培されているのは赤シソ。でも注目するのは緑色のポリマルチです。
皆さんはなぜ畝をポリフィルムで覆うかご存知ですか。
土を柔らかな状態で保つこと、土壌流出を防ぐこと以外にも2つあります。
ひとつは地温を高める効果。土が温室のように暖かくなることから
春先に植え付けるなど高い地温が欲しい場合に用います。
当然、この場合、光が土に直接当たるように透明のマルチを使います。
もうひとつは雑草抑制効果。草が生えやすい畑などで用いますが
この場合は光がマルチの中の植物に当たらないよう黒色を使います。
これを逆に使ったら逆効果。地温は上がらないし、草は生え放題となります。
マルチはこのほかにもまだ色があります。白は夏場の地温上昇を防ぐ効果。
関東や関西など気温が高い地域で用います。
またシルバーとか黒にシルバーのラインが入っているものもありますが
こちらはアブラムシ対策。眩しい光を嫌うアブラムシは日中、葉の裏に隠れますが
畝に張ったシルバーマルチで太陽光を反射させ寄せ付けないというアイデアです。
ではこの緑のマルチの効果はなんでしょう。
それは黒と透明のWの効果。緑は半透明なので光が入り地温を高めます。
さらに透明ほど光が入らないので雑草もある程度抑制できるのです。
とはいっても専用のマルチに比べると効果は落ちます。
何色を使うか、畑や栽培作物の特徴、コストや労力、収量などの関係を考慮し
適切なマルチングの色を選択しているのです。
さて今名久井農業高校は来週月曜日が1学期の修了式。
名農は早々と夏休みに入ります。
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おあずけ状態

2020年07月15日 | 生物生産科
ここは生物生産科の本拠地である第3農場。名農の野菜圃場です。
このところハンターズはよく足を運んでいます。
というのはハンターズが昨年から研究している土壌流出抑制技術。
三和土を応用して作った小さなブーメラン状の堤で流出を防ぎます。
実験では手応えを感じているため、あとは圃場での試験。
しかし畑は平らな場所に作るのが普通で、
そう簡単に土壌流出が起きそうな斜面の圃場は見つかりません。
ところがご覧の通り、発見しました。
実は第3農場は起伏の激しい農場。
かなりの斜面ですが栽培されているのです。
幸いここにはまだ植え付けられていないようで、実験にはぴったり。
そこで農場の先生方に伺ってみると許可がおりました。
とはいっても今月下旬には播種作業があるとのこと。
今月中に急いで設置する必要があります。
でも今はできません。なぜならこのところ雨が多く
圃場はたっぷり水を含んでいるのです。
では雨が上がったら作業したらという方がいますが、それは無理。
圃場が濡れていると足跡がつき
せっかく柔らかくした畑を壊してしまうのです。
さらに設置する予定のブーメランもいまだに固まりません。
したがってせっかく許可が下りたのですが、お預け状態。
いつになったら畑に入れるか不安ですが、こればっかりはお天道様次第。
待つしかありません。ところで農場は、この畑に何を播くつもりかわかりますか。
答えはソバ。手打ちそばでもするつもりでしょうか?
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プロの技は美しい

2020年07月06日 | 生物生産科
生物生産科のベースキャンプである第3農場にあるビニールハウスです。
皆さんは名久井農業高校の生物生産科といえば何を思い浮かべますか?
春の野菜苗販売、文化祭での野菜即売など人によってさまざまだと思いますが
忘れてはならないのは、なんてったって「南部太ネギ」です。
古くから地元で栽培されてきた在来種の南部太ネギは
太く柔らかで甘いことから自家消費されてきました。
しかし近代になると野菜は自家用から販売する換金作物に変わります。
すると問題になったのが南部太ネギの柔らかさ。
食べるのには長所ですが、痛みやすいので輸送には短所なのです。
そこで次第に輸送に適した新しい品種に変わっていった結果、
気がつくと南部町のある一軒の農家だけが自家用に細々と
作るだけになっていました。そこで立ち上がったのが我が生物生産科。
種子をいただいて数年かけて地道に増やし、なんと今では復活させ
南部町の特産物としてまた脚光を浴びるようになりました。
もちろん柔らかいので輸送にはあまり適しません。
ところが今は地元でしか食べられないところが価値になる時代。
ぜひ食べてみたいと県外でも人気なのです。
DASH村でTOKIOが取材に来るのもわかるような気がします。
一度、東京新宿の伊勢丹で町の方達と販売した時の価格は
ネギ1本なんと1000円。それでも飛ぶように売れたといいます。
皆さんも食べたいと思いませんか?
この美しいハウスで栽培されているのは、その噂の南部太ネギ。
秋の名農祭で皆さんに数量限定ですが販売するために
生物生産科の皆さんの手で管理されています。
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ジャガイモの花

2020年07月02日 | 生物生産科
こちらも生物生産科の畑。ジャガイモの花が満開です。
そもそもこのジャガイモ、昔は花を観賞するための植物でした。
そのためとてもきれいな白やムラサキ色の花を咲かせます。
開花の後、ほとんどは花首から落ち、実をつけることはありませんが
時によっては結実することがあります。
いったいどんな実だと思いますか。
それはナス科だけあって青いトマトのような実。
中にちゃんとジャガイモの種子が入っています。
そういえば今まで地元の方から2度ほど
ジャガイモの実についてお電話をもらったことがあります。
いずれも見たことのない実がジャガイモについたので
何か悪いことが起きるのではないかという問い合わせ。
災の前兆ではないかという質問にびっくりしてしまいましたが、
特別不思議なことではないということを説明した覚えがあります。
さて花が咲いたということは、すでにジャガイモは肥大期に入っていると考えられます。
光合成によって茎葉に蓄えた養分を一気に塊茎、
つまりイモに転流させ肥大させているのです。
すると親株には栄養がなくなるので緑色が薄くなり枯れていきます。
これの現象はイネも同じ。だんだん黄金色になっていくのは
親が子に栄養を渡しているからなのです。
およそ収穫まで1ケ月。美味しいジャガイモは名農祭で販売予定です。
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