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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

リンゴ王国

2020年12月29日 | 
今、青森県の店頭にはたくさんのリンゴが販売されています。
もちろん主流は「ふじ」ですが、それ以外の品種もいっぱい。
聞いたこともない品種もたくさんありチャレンジしたくなります。
産地ならではの贅沢です。このリンゴは「青林」(せいりん)。
生産量が少ない幻の品種といわれるらしく、初めて食べました。
それがまた甘くて美味しい。王林のようなシナノゴールドのような
風味もあります。しかし調べてみるとレッドゴールドの自然交配種。
何の品種と交配されたのかはわかりませんが、自然が作り出した名品です。
でも誕生地は岩手県。青森に似た名前なので勘違いしてしまいそうです。
さて青林は青っぽいリンゴですが、写真の果実は赤と緑の境がはっきりしています。
これはどうしてでしょう。もちろん赤いのは太陽をいっぱい受け
アントシアニンが合成されたところ。青や黄色の品種でも少し赤くなります。
では緑の部分はなんでしょう。よくみるとこの緑の形、葉っぱに見えませんか。
そうです。果実の上に葉があったため光が当たらず、そこだけ緑のままになったのです。
一般に万遍に光を当ててきれいに着色するよう
収穫が近づくと果実周辺の葉を摘んでしまいます。
ふじの場合、このような手間をかけた無袋栽培したものを「サンふじ」といいます。
しかし光合成をする葉を摘んでしまったら美味しくなくなるとか
労力削減との理由から、この青林のように葉をそのまま残す栽培法もあります。
これを「葉取らずリンゴ」といいます。
美味しいのですが、このように着色が悪いのが欠点です。
何十年も前ですが、生徒と東京でリンゴのアンケートをとったことがあります。
美味しい「葉取らずリンゴ」のPRのためでしたが、都民の回答にみんなびっくり。
かえってきた答えはリンゴは赤じゃなきゃだめ。味よりも見た目で決めます。
ほとんどこの回答でした。美味しいのに葉取らずリンゴが普及しないのは
リンゴに対するこんな根強いイメージがあるからのようです。
でも光を当てるための葉摘み作業は、本当に手間のかかるもの。
高齢化の進む農村。生産者も消費者も一斉に意識改革できないものでしょうか。
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人気は王林

2020年12月23日 | 
ハンターズが乾杯しているジュースはこれ。
瓶詰めのリンゴジュースです。
しかしこのリンゴジュースはちょっと面白いのです。
ふじ、紅玉など品種ごとに瓶詰めされているのです。
ご存知のとおり、ひと口にリンゴといっても甘さが強かったり、
酸味が強かったり品種によってさまざま。
これはそれを楽しんでもらおうと作られたジュースで
昔から根強い人気があります。
この日、みんなが飲みたかったのは王林100%のジュース。
なぜなら先日、リンゴ娘の王林さんにあったから。
ジュースもタレントさんも人気抜群のようです。
さてこのジュース、実はいただきものです。
2週間ほど前、ハンターズ は県の土地改良関係のみなさんの取材に応じましたが
その際にお土産で持ってきてくださったのです。
ずいぶん重そうだったので、すぐジュースとわかりました。
それにしても青森県は、いつでもどこでもリンゴ。
リンゴ王国の根性を感じます。
美味しくいただきました。本当にありがとうございました。
さて20分ほどのパーティーが終わったら後片付け。
ところが箱にはまだジュースが10本も残っています。
彼らの残された課題研究の授業はたった3回だけ。
どうやら年が明けた最初の課題研究では新年会、
そして1月下旬の本当に最後の課題研究でも解散会として登場しそうです。
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負け惜しみ

2020年11月16日 | 
ご覧ください。ふたつのリンゴがあります。
左は奥州ロマンという品種。右はシナノスィートです。
10月下旬から収穫されるこのリンゴは、
最近、みなさんとても美味しいと評判になっています。
確かにいただくと果肉が緻密でジューシーで人気なのもわかります。
でも素直にうなずけないのは私だけでしょうか。
まずはシナノスィート。もちろん名前の通り、長野県で育種された品種です。
平成8年登録と比較的新しい品種ですが、赤くて甘いというので
黄色で大人気のシナノゴールドと並んで安定した人気を誇っています。
生産量の約50%が長野県、青森県は16%ぐらいです。
そして次は赤くて大きな奥州ロマン。
こちらはなんと平成28年登録というホヤホヤの新人ながら
果肉が緻密で甘いというシナノスィートと同じ特徴があり話題です。
育種されたのは岩手県の農家の方。だから「奥州」なんです。
このようにどうも最近、美味しいとみなさんおっしゃるリンゴは
なぜか青森県生まれではないのです。
これにはちょっとリンゴ王国としては
負けているような気がして悔しさがあります。
とはいっても青森県でもどんどん新品種が発表になっています。
もしかしたらまだ生産量が少なく、
私たちが知らない美味しい品種がたくさんあるのかもしれません。
最後に負け惜しみをひとつ。シナノスィートの親は青森生まれの「ふじ」と「つがる」、
そして奥州ロマンはその「シナノスィート」と「つがる」の掛け合わせです。
どちらにもリンゴ王国の血が流れているのです。
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おいしいめやす

2020年11月13日 | 
これは名農が誇るリンゴジュースですが、ちょっと雰囲気が違います。
なぜならいつもは大きな1リットル瓶。
しかしこれは200mlぐらいで寸胴のおしゃれな瓶です。
容器がかわるとこんなにもイメージが変化するんですね。
さてこのリンゴジュース。今年、ハンターズのところに
いらっしゃる予定のお客様に差し上げるために準備していたものです。
ところがコロナの感染拡大に伴い、来校できなくなり
このようにジュースだけが残ってしまいました。
ハンターズで飲んじゃおうかなと思って賞味期限を見たら
残念ながら2ケ月ちょっと過ぎていました。
みなさんは飲みますか?それとも飲みませんか?
さて賞味期限について今年面白い取り組みがありました。
消費者庁が賞味期限の愛称コンテストを開催したのです。
農業高校は食について深く学ぶので、応募すればよかったのですが
気付いた時にはあとの祭り。もう締め切られ、結果も発表になっていました。
大臣賞を受賞した作品は「おいしいめやす」。
素敵なネーミングだとは思いませんか。
ご存知のとおり、賞味期限は弁当などにつく消費期限とは違います。
したがって期限を過ぎても食べることはできるのです。
しかしなかには心配なのか食べずに廃棄してしまう方がいます。
このコンテストは、もったいないからその意識を変えようと
消費者庁が行ったもの。まさに主催者の狙い通りの名前となりました。
ということで一段落したハンターズでせっかくだから飲みたいと思います。
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世界一のリンゴ

2020年11月02日 | 
名久井農業高校の玄関にこんなものが並んでいます。
もちろんリンゴですが、ずいぶん大きさが違います。
パッと目に入るのは左側の大きなリンゴ。
品種の名前は「世界一」といいます。
でも新しいリンゴではなく、デビューは1974年、昭和49年です。
ご覧の通り、大きいのが特徴で大玉では1kgにもなります。
とかく大きさだけ注目されますが、味もよいリンゴです。
現在、世界一のほとんどが青森県で栽培されていますが
なかなか流通していません。ぜひ青森県にきて食べてください。
では中央はなんでしょう。ご存知「紅玉」です。
紅玉は濃い赤色でやや小ぶり。
こちらは明治時代から栽培されている古い古い品種。
子供の頃は国光、満光とともに毎日のように食べていましたが
甘さのある品種が続々登場したので食べる人はなくなってしまいました。
ところが最大の特徴である酸味が、加工品にぴったりということで
ジュースやアップルパイなどの原料として令和になった今でも栽培されています。
機会があったら紅玉のアップルパイやジュースを召し上がってください。
その美味しさに驚くはずです。
さて最後はびっくりするぐらい小さなリンゴ「アルプス乙女」。
こちらも昭和49年デビューの古い品種。大きさは40gですから
ピンポン球よりちょっと大きいくらいです。
でもちゃんと食べられ皆さんがお祭りで見かける「リンゴ飴」はこの品種です。
ただ生い立ちがちゃんとわかっていなく、ふじとヒメリンゴが
偶然交配したのではないかといわれています。
しかしこの3つの品種。いずれも超がつくベテラン品種。
いかに名農が古くからリンゴ栽培をしているというのがわかります。
今年は台風で落果することなく豊かな恵みをいただきました。
今日は収穫感謝祭。農の神様に感謝します。
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