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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

七転び八起き

2021年01月25日 | 
これはホウレンソウです。
でも皆さんが食べているものとは、ちょっと姿が違うかもしれません。
これは「寒締め」という栽培法で作られたホウレンソウ。
葉が縮れているのがおわかりですか。
触ると葉も厚いので、歯応え十分といったところです。
栽培はまずビニールハウスで普通に秋からホウレンソウを育てます。
そして収穫数週間前にビニールを開けて収穫まで寒風にさらします。
すると寒さでこんな姿に変わるのです。でも売りは姿ではなく味。
寒気の中に置かれると植物は糖分を蓄えて凍結するのを防ぎます。
越冬したジャガイモが甘くなるのと同じ原理です。
そのため食べると甘いので、ちょっとですが高値で販売されています。
これを考えたのが東北農業試験場。ナイスアイデアです。
また寒締めにしてもチンゲンサイはあまり甘くならないのを
発見したのはフローラ。こちらはあまり役に立たないアイデアでした。
なぜなのかを探れば面白いのですが、後継者が現れずほっぽり出されています。
さらにハンターズは昨年の今頃、小松菜の露天風呂栽培をしていました。
液温20℃ぐらいに温めた水耕栽培装置を寒風の中に置き
露天風呂のように葉は寒く、根は暖かくして栽培する実験です。
すると葉の温度は寒締め並に冷えています。
ところが液温が確保されているため、葉は少し縮れますが糖度は変化しません。
「根圏を低温に給水を抑える」という寒締めの鉄則を
あらためて確認することになっただけで終わった失敗作です。
でも植物工場では冬でもエアコンをつけて室内を暖めて栽培します。
室内の空気を暖めるより、ほんの少しの養液を温める方が
もしかしたら省エネかもしれません。もしかしたらランニングコストを
比較すると勝機が見えるかも。七転び八起き、まだ白旗はあげたくありません。
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当たりかハズレか

2021年01月19日 | 
またまた聞いたことのない品種のリンゴを見つけました。
名前は「ほおずり」。聞いたことありますか?
美味しそうな赤いリンゴなのでさっそく試食。
すると今までにない味。酸味がとても強いのです。
さらに残念ながら甘さをあまり感じません。
紅玉も酸味はありますが、甘さもあるので生食できますが
こちらはあまりお勧めできません。
そこで調べてみると、このリンゴは福島県で育成されたもの。
またまた青森県生まれではありません。
自然交配のため、最初は血統がわからなかったのですが
後日DNA鑑定した結果、ふじと紅玉の交配種であることがわかったそうです。
やはりこの酸味は紅玉のものでした。
また酸味が強いので生食には向かないとのこと。
つまり製菓用、おいしくないのは納得です。
ところでこの写真のリンゴはお尻の方を上に向けています。
美味しいリンゴの見分け方のひとつがお尻の色。
お尻は、そもそも着色しにくいのですが、緑の色素が入っていたら未熟。
緑ではなく黄色だったら熟している証拠。
買うときはぜひお尻を見てください。
さて生食ではハズレだった「ほおずり」。
さっそく酸味をいかしてアップルパイにしたいと思います。
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赤勝て、黄勝て

2021年01月09日 | 
新年を迎えた青森県。
地元のお店にはこのようにリンゴがまだまだ山積みです。
しかし秋とはだいぶ品種も変わってきています。
そこで珍しいものを見つけては、少しずつ試しています。
さてこのリンゴの棚を見るとわかりますが、
赤と黄色が半々ぐらいあるような気がします。
このところ夏は猛烈に暑くなり、残暑も厳しくなっています。
するとなかなかアントシアニンが発現せず
どうしても赤いリンゴは着色が悪くなってしまいます。
ところが黄色のリンゴは別。
白いリンゴが猛暑でみんな黄色になり栽培を断念したように
猛暑でも黄色のリンゴは何の問題もなく着色します。
したがって青森県でもこれからは赤よりも
黄色が主流になるのではないかと考え、
どんどん黄色の新品種が誕生しています。
そんな理由からなのか、最近の八百屋さんのリンゴは
何となく黄色っぽい品種が目立ってきました。
将来、赤いリンゴは北海道で栽培されるかもしれませんね。
黄色でも赤でもリンゴは美味しい果物。
また「1日1個のリンゴで医者いらず」というように
健康維持食品でもあるので、どんどん食べてほしいものです。
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羽根つき

2021年01月03日 | 
このところ最高気温も最低気温も氷点下。冷凍庫の中に暮らしています。
さて雪の上に羽根つきの羽。
のように見えますが、大きさは2cm程度しかありません。
これはシュウメイギクの花が散ったあと。
シュウメイギクは貴船菊ともいわれる秋に咲く菊の仲間です。
羽根のよう見えるのは枯れた花弁。羽子板で打つ部分は花の中心部でした。
ところで、まだ松の内ではありますが、
最近は羽根つきをしている人を見ることはありません。
今も遊ぶ子供たちはいるのでしょうか。またどこで売っているんでしょう。
ちょっと気になります。さて羽根つきの羽根の中心部の黒い部分。
いったい何でできているかご存知ですか。かなり硬いものです。
実はムクロジという植物の種子なのです。
種子に数枚の羽根を差し込ん打ものを打ち合うのですが
ガットを張ったラケットで打ち返すテニスやバドミントンと違い
羽根や羽子板にクッション性がないので、意外と難しいものです。
遊んだことがあるとないとでは大違い。
ぜひ今の高校生にも、一度は経験して欲しいものです。
そんなことから羽根つきと環境班は無縁のものだと思っていましたが、
実はバブルボーイズと不思議な接点がありました。
バブルボーイズといえば農薬の泡散布に成功した二人組。
展着剤を使って緻密な泡にした彼らが次に挑戦したのは
天然素材で泡にすること。いろいろ挑戦しましたが
最後にたどり着いたのは、ある植物の種皮を農薬に入れること。
なんとそれがムクロジ。種子を包む皮が
たくさんのサポニンを含んでいるため泡になるのです。
羽根つきと環境班、意外なところで繋がっていました。
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はるか

2021年01月03日 | 
またまた黄色いリンゴの登場です。
品種名は「はるか」。まるで人の名前のようだと思いませんか。
実はこのリンゴは2002年、岩手大学農学部で誕生しました。
当時岩手大学農学部の先生が品種登録されましたが、
名前は先生のお孫さんの名前だそうです。
特徴は酸味が少なく、強い甘さ。11〜12月に収穫される晩生品種です。
甘いリンゴがお好きな方には人気ですが
なかなか手に入らないのが欠点。
なぜなら栽培面積がまだ少ないからです。
したがって地元でも1個150円以上と「ふじ」よりも高値。
もし首都圏で販売されたらいくらになるのでしょう。
そういえば今から10年ほど前、チームフローラフォトニクスのメンバーが
東京新宿の高野フルーツ店を見学したことがあります。
すると何と青森県南部町産と表示された「ふじ」が
販売されているではありませんか。
地元のリンゴが花の東京で胸を張っている姿は
こちらも何だか嬉しくなりました。
メンバーが驚いたのがその価格。何と1個1000円。
良いリンゴはこんなにも高値で評価してくれるんだと感心したものです。
黄色のはるか。もし手に入ったらぜひ食べて見てください。
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