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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

新旧融合

2021年09月14日 | 
これはいったい何でしょう。
今まで見かけるたびに紹介してきましたが
またまたこの怪しい食べ物を見つけてしまいました。
これは南部せんべい。青森県から岩手県の太平洋側にかけて
昔から作られる小麦のせんべいです。
せんべいの材料は米粉というのが日本の常識。
ところが低温多湿の偏東風「ヤマセ」の吹くこの地域では冷害が多発。
したがってお米があまり採れませんでした。
そのため寒さに強い麦や豆など雑穀の食文化が花開きます。
その独特な食のひとつがこの南部せんべいなのです。
ところがこのせんべい、2枚あわせになっているのが分かりますか。
そうです、赤飯を挟んでいるのです。
まるでせんべいのサンドウィッチ。お米の水分を吸って
せんべいがしんなりしているのが特徴です。
でも何のためにこんな不思議なものができたのでしょう。
おそらくこれは農作業の休憩に食べる軽食。つまり携行食です。
なんとせんべいは「食べられる容器」として利用されているのです。
食べるとなくなるんですから、なかなかのアイデアです。
しかしこの食べ方は比較的最近に生まれたものだと推測します。
なぜならかつて貴重だったお米はお盆や正月じゃないと食べなかったから。
野良仕事で食べるなど考えられません。
きっと品種改良や新しい栽培技術が開発され、
お米が採れるようになってから生まれたものだと思うのです。
雑穀という古い食文化とお米という新しい食文化の融合。
時代の狭間で生まれた先人の知恵ではないでしょうか。
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フルーツの里

2021年09月12日 | 
南部町は自他ともに認めるフルーツの里。
春から秋まで新鮮で美味しい果物が
まるでリレーでもしているかのように収穫されていきます。
サクランボ、ウメ、プルーン、モモ、ブドウなどいろいろ楽しめますが
現在はとうとう青森県の代名詞でもあるリンゴの収穫となっています。
今店頭に並んでいるのは、つがるなどの早生種。
すぐ果肉が柔なくなってしまいますが、もぎたては甘くて最高です。
そして10月に入るとシナノスィートやゴールド、
さらに11月になると王林や主力品種とふじへと移行していきます。
青森県のリンゴ産地といえば寒暖差の大きな津軽地方。
太平洋側ではヤマセが吹くため美味しいリンゴは採れません。
しかしこの南部町周辺は盆地のため、県南ながら最適な環境。
津軽地方に負けない美味しいリンゴが採れます。
地元の産直センターでは、これからいろいろなリンゴが並びます。
機会があったらぜひ立ち寄ってください。
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不老不死の果物

2021年09月02日 | 
今年もこの珍しい桃に出会うことができました。
名前は「蟠桃」(ばんとう)。蟠とは輪のように曲がるとか
とぐろを巻くという意味。確かによく見る球状ではなく
上から押しつぶしたような扁平形です。
また「蟠」と書いてワラジ虫と読みます。確かにそんな形になります。
さてこの蟠桃。中国系の桃で仙人が食べる不老不死の果物といわれてきました。
西遊記で孫悟空と猪八戒が食べた不老不死の桃とはこの桃です。
見た目も違いますが、食べても普通の桃とは違います。
もっちりとした果肉が特徴で、熟すと甘い香りがするのです。
この桃を知ったのは同じ2018年8月のストックホルム。
ファイナルフローラとともに水の国際大会に参加した際、
マーケットで見つけました。食べることはできませんでしたが
妙な形が印象に残っていたのを覚えています。
地元に帰ってきた9月上旬、直売所に寄ってみたらまたまた発見。
そこで食べてみたらなかなか面白い味。
そんなことから見つけると食べるようになりましたが
生産量が少ないのか年に1回ぐらいしかお目にかかることはありません。
日本でも福島や和歌山でわずかですが栽培されているようです。
もし偶然出会ったら、ぜひ食べてみてください。
調べて見るとヨーロッパではたくさん栽培されていて
スペイン産のものが広くヨーロッパで流通しているようです。
冷涼なスウェーデン。きっとあの蟠桃もスペイン産だったのかもしれません。
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2つの在来種

2021年08月20日 | 
これはカブの種子です。左のカブは「日野菜」。
滋賀県日野町で発見された在来種です。
指ぐらいの太さで細長いため、ダイコンのようです。
以前、生徒が漬物にして販売していましたが
甘さと独特の苦味がとても美味しかったのを覚えています。
では右のカブは何でしょう。これは「津田カブ」。
こちらは島根県松江市の津田地区で栽培される在来種。
甘くて香りがよく、出雲を代表する漬物になるのだそうです。
特徴は、まが玉状の形。太くて短く曲がっている面白い形です。
それにしてもこの2種類の在来種、
首の部分がきれいなピンクで似ているとは思いませんか。
実は島根の殿様が参勤交代で江戸から戻る際、
滋賀の日野菜を持ち帰って栽培したら
こんな形になってしまったというのです。
つまり左のカブから右のカブに変異したんですね。
さてこのカブの種子。かつて生徒が栽培した残りもの。
もう何年も経つので発芽はしないかもしれませんが
面白いのでちょっとまいて見ましょうか。
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祝世界遺産

2021年08月16日 | 
こんな面白いパンを見つけました。
先月、北海道、北東北の「縄文遺跡群」が
世界遺産登録が決まったのを祝って販売されている餡パンです。
そういえば包装袋の下のほうに遮光器土偶の顔を見えています。
縄文遺跡の発掘の成果はいろいろありますが
焦げたパンのようなものが出てきています。
この餡パンにはクルミとケシの実が入っていますが
縄文人もトチの実などの木の実を入れて
食べていたのではと考えられているそうです。
詳細は忘れてしまったのですが、青森の大スター伊奈かっぺい氏に
「青森を田舎と馬鹿にするな、縄文時代は最先端だったんだ。
ただ今も当時のままだけど」というような自虐ネタがありましたが
9500年も前の縄文人がパンやクッキーを食べていたかと思うと
そんなに今と変わらないので親近感が湧いてきます。
今はコロナでどこにも行けませんが、
近い将来収束したら、我慢していた反動で
縄文遺跡をみようと全国からお客様がやってくるのだと思います。
青森の三内丸山はともかく、多くの小さな遺跡群は
観光客を向かい入れる体制はまだ不十分。
これから整備されていくはずです。
皆さんが自由に世界遺産の縄文文化に触れる日が来るのを
もう少し我慢して待ちたいと思います。
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