詳しくはWiki「
奇想庵の100冊」。
★猫の地球儀【秋山瑞人】
■シェリフスターズ【神坂一】
■若草野球部狂想曲【一色銀河】
★〈骨牌使い〉の鏡【五代ゆう】
■ダブルブリッド【中村恵里加】
■DADDYFACE【伊達将範】
■レディ・ガンナー【茅田砂胡】
■ジャッジメント・ワールド【青田竜幸】
■タツモリ家の食卓【古橋秀之】
■レベリオン【三雲岳斗】
★事件シリーズ【上遠野浩平】
★木島日記【大塚英志】
★R.O.D【倉田英之】
★キノの旅【時雨沢恵一】
★ナイトウォッチ三部作【上遠野浩平】
■ストレイト・ジャケット【榊一郎】
■野望円舞曲【田中芳樹&荻野目悠樹】
■星書―二星物語【荻野目悠樹】
■時空のクロスロード【鷹見一幸】
■司星者セイン【ベニー松山】
■僕にお月様を見せないで【阿智太郎】
■南国戦隊シュレイオー【神野オキナ】
★Dクラッカーズ【あざの耕平】
★獣たちの夜【押井守】
★まるマ【喬林知】
★失踪HOLIDAY【乙一】
★かめくん【北野勇作】
■ガンパレード・マーチ【広崎悠意・榊涼介】
■ショットガン刑事【秋口ぎぐる】
■ウィザーズ・ブレイン【三枝零一】
■天国に涙はいらない【佐藤ケイ】
■陰陽ノ京【渡瀬草一郎】
■スターシップ・オペレーターズ【水野良】
★トリニティ・ブラッド【吉田直】
■でたまか【鷹見一幸】
■ルーンウルフは逃がさない!【新井輝】
■Hyper Hybrid Organization【高畑京一郎】
■ふわふわの泉【野尻抱介】
■パラサイトムーン【渡瀬草一郎】
★ランブルフィッシュ【三雲岳斗】
■総理大臣のえる!【あすか正太】
★Missing【甲田学人】
★鏡家サーガ【佐藤友哉】
★イリヤの空、UFOの夏【秋山瑞人】
■まぶらほ【築地俊彦】
■ばいおれんす☆まじかる【林トモアキ】
■クロスカディア【神坂一】
★A君(17)の戦争【豪屋大介】
■ドリームバスター【宮部みゆき】
■古典部【米澤穂信】
■リバーズ・エンド【橋本紡】
■アラビアの夜の種族【古川日出男】
■サムライ・レンズマン【古橋秀之】
★NHKにようこそ【滝本竜彦】
■風の聖痕【山門敬弘】
■少年陰陽師【結城光流】
★悪魔のミカタ【うえお久光】
■伝説の勇者の伝説【鏡貴也】
■EME【瀧川武司】
■大唐風雲記【田村登正】
■AVION【富永浩史】
■戯言シリーズ【西尾維新】
■アリソン【時雨沢恵一】
■ここは魔法少年育成センター【久美沙織】
■吸血鬼のおしごと【鈴木鈴】
■ポストガール【増子二郎】
■頭蓋骨のホーリーグレイル【杉原智則】
■葉緑宇宙艦テラリウム【夏緑】
■ルーク&レイリア【葉山透】
■神様のパズル【機本伸司】
■灼眼のシャナ【高橋弥七郎】
■ハーモナイザー・エリオン【吉村夜】
■バイトでウィザード【椎野美由貴】
■いぬかみっ!【有沢まみず】
■撃墜魔女ヒミカ【荻野目悠樹】
■タクティカル・ジャッジメント【師走トオル】
■二等シリーズ【吉岡平】
■されど罪人は竜と踊る【浅井ラボ】
■カオス レギオン【冲方丁】
■キーリ【壁井ユカコ】
★七姫物語【高野和】
■バッカーノ!【成田良悟】
■魔法遣いに大切なこと【枯野瑛・山田典枝】
■ブレイブ・ストーリー【宮部みゆき】
■ムシウタ【岩井恭平】
★マルドゥック・スクランブル【冲方丁】
★銀盤カレイドスコープ【海原零】
★撲殺天使ドクロちゃん【おかゆまさき】
■第六大陸【小川一水】
■AHEADシリーズ 終わりのクロニクル【川上稔】
■神様家族【桑島由一】
■学校を出よう!【谷川流】
★涼宮ハルヒシリーズ【谷川流】
■しにがみのバラッド。【ハセガワケイスケ】
■陰からマモル!【阿智太郎】
■ROOM NO.1301【新井輝】
■護くんに女神の祝福を【岩田洋季】
■黎明の双星【花田一三六】
■9S【葉山透】
■半分の月がのぼる空【橋本紡】
■彩雲国物語【雪乃紗衣】
■よくわかる現代魔法【桜坂洋】
■GOSICK -ゴシック-【桜庭一樹】
■ネオクーロン【鷹見一幸】
■空ノ鐘の響く惑星で【渡瀬草一郎】
★自衛隊三部作【有川浩】
■我が家のお稲荷さま。【柴村仁】
★吉永さん家のガーゴイル【田口仙年堂】
■わが輩はヴィドック【あちたろう】
■ぺとぺとさん【木村航】
■殿様気分でHAPPY!【杉原智則】
■とある魔術の禁書目録【鎌池和馬】
■銃姫【高殿円】
★デュラララ!!【成田良悟】
■フェンネル大陸 偽王伝【高里椎奈】
■復活の地【小川一水】
■南青山少女ブックセンター【桑島由一】
■ゼロの使い魔【ヤマグチノボル】
■BLACK BLOOD BROTHERS【あざの耕平】
★新本格魔法少女りすか【西尾維新】
■お・り・が・み【林トモアキ】
■ドラゴンクルス【あすか正太】
■食卓にビールを【小林めぐみ】
■電波的な彼女【片山憲太郎】
■レンタルマギカ【三田誠】
■砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【桜庭一樹】
■All You Need Is Kill【桜坂洋】
■薔薇のマリア【十文字青】
■Add【仁木健】
■小市民【米澤穂信】
■煉獄のエスクード【貴子潤一郎】
■狂乱家族日記【日日日】
■サマー/タイム/トラベラー【新城カズマ】
■わたしたちの田村くん【竹宮ゆゆこ】
■ヤングガン・カルナバル【深見真】
■シャングリ・ラ【池上永一】
■七人の武器屋【大楽絢太】
■円環少女【長谷敏司】
■戦う司書【山形石雄】
■ある日、爆弾がおちてきて【古橋秀之】
■紅【片山憲太郎】
■鋼鉄の白兎騎士団【舞阪洸】
■神曲奏界ポリフォニカ【榊一郎他】
■学校の階段【櫂末高彰】
■狼と香辛料【支倉凍砂】
■ぼくと魔女式アポカリプス【水瀬葉月】
■鋼殻のレギオス【雨木シュウスケ】
■図書館戦争【有川浩】
■とらドラ!【竹宮ゆゆこ】
■"文学少女"シリーズ【野村美月】
■オオカミさん【沖田雅】
■れでぃ×ばと!【上月司】
■獣の奏者【上橋菜穂子】
■けんぷファー【築地俊彦】
■僕僕先生【仁木英之】
■"化物語"シリーズ【西尾維新】
■黄昏色の詠使い【細音啓】
■神様のメモ帳【杉井光】
■刀語【西尾維新】
■バカとテストと召喚獣【井上堅二】
■シュピーゲル・シリーズ【冲方丁】
■EX!【織田兄第】
■ミミズクと夜の王【紅玉いづき】
■扉の外【土橋真二郎】
■えむえむっ!【松野秋鳴】
■電脳コイル【宮村優子】
■人類は衰退しました【田中ロミオ】
■創世の契約【花田一三六】
■虐殺器官【伊藤計劃】
■嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん【入間人間】
■ライタークロイス【川口士】
■機動戦士ガンダムUC【福井晴敏】
■暴風ガールズファイト【佐々原史緒】
■さよならピアノソナタ【杉井光】
■"生徒会の一存"シリーズ【葵せきな】
■ベン・トー【アサウラ】
■とある飛空士への追憶【犬村小六】
■俺の妹がこんなに可愛いわけがない【伏見つかさ】
■アカイロ/ロマンス【藤原祐】
■GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン【川上稔】
■翼の帰る処【妹尾ゆふ子】
■電波女と青春男【入間人間】
■プシュケの涙【柴村仁】
■蒼穹のカルマ【橘公司】
■空ろの箱と零のマリア【御影瑛路】
■アクセル・ワールド【川原礫】
■這いよれ! ニャル子さん【逢空万太】
■ソードアート・オンライン【川原礫】
■僕は友達が少ない【平坂読】
■天冥の標【小川一水】
■シュガーダーク【新井円侍】
■さくら荘のペットな彼女【鴨志田一】
(★はライトノベルめった斬り掲載)
ヒット作は増えてきたがそれでもライトノベルの認知度は高くなかった。書店でも発売直後を逃すと入手は困難で在庫も芳しくなかった。インターネットの普及に従い、徐々にライトノベルの存在が知られるようになる。東浩紀や大塚英志による評論、ライトノベル出身作家の越境、『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒットなどがその要因となった。
多様化し、優れた作品も生まれる一方で、類型的な作品も少なくはない。高い支持を受けている作品でも「子供だまし」的な内容のものも見かけてしまう。出版点数は数多いがそのうちのどれだけが読まれ継いでいくだろうか。
ゼロ年代は「萌え」の発見から、キャラクター小説の自覚化、ゼロ年代型主人公の確立と展開し、オタク系サブカルチャーの中でもコミックやアニメと並ぶまでに成長したと思われる(少なくとも作品の流行傾向に関しては)。
「萌え」という概念が広まったのは2000年代に入ってからだが、更にそれを軸にキャラクターが形成され売り出されるようになった。ライトノベルは元来コミック的な手法であるキャラクター重視を積極的に行ってきたジャンルであるが、自覚的にそれを強調するようになっていった。美少女キャラクターのハーレム的展開が増えるにつれて、主人公は希薄化していく。特にコミックよりも主人公が動く必要のないライトノベルにおいてそれは顕著に現れたと考えられる。
ただこうしたパターン化は両刃の剣でもある。他の作品との差別化が難しくなり、飽きられやすい状況を自ら生み出しているとも言えるだろう。新人が次々とデビューして活性化はしているが、この10年間で『涼宮ハルヒの憂鬱』を除いてブレイクした作品はほとんど思い浮かばない状況であることも事実だろう。
以前からコバルト文庫出身で一般向けで活躍する作家は少なくなかったが、この数年ライトノベル出身で一般向けで活躍する作家が増えていた。ライトノベル界から出て行ってしまうだけであればこの状況は喜ばしいとは言えない。2009年のメディアワークス文庫の創刊はこうした流れへの受け皿的なものとなるのかどうか。
また、ライトノベルとは何かという根本が改めて問われる必要があるようにも思う。ライトノベル界のこの10年は「拡散と浸透」の時期でもあった。認知され、ライトノベル関連の書物も発行されている。明確な定義のないライトノベルという存在にこれから何を期待していこう。これからの10年にワクワクさせてくれる作品をどれだけ生み出してくれるのか、期待と不安を持って見守っていきたい。