奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

「朝が来る」

2007年01月20日 18時27分26秒 | 創作
第2稿を書いてアップしたわけだが、現在第3稿を執筆中。

見た夢をもとに半日で初稿を書き上げ、整合性を若干調整したのが第2稿だった。で、二日経って、ようやく冷静さが戻ってきて、修正しないとと。
SS(ショートストーリー)と小説の違いというか、どうしても勢い込んで書くとストーリー描写だけになってしまう。もともと苦手な情景描写は飛びまくり、話の展開だけしか書いていなかった。二次創作系のSSだと、背景やキャラクターなど共通理解が始めから読み手との間に存在してるから、飛ばしてもいいんだけどね。

でも、勢いで書く時と比べると数倍疲れてしまう。より、言葉を選ぶし、情景のイメージも密にしなければならないし。一方で、物語の速度が鈍ったり、かえって分かりにくくなってしまうことにも気をつけなければならない。分かりやすく、読みやすく、面白い文章などと言うのはそう簡単に書けるものではない。まあ最終的には書き手の個性ってことになるけれど。

この作品はオリジナルであるがゆえに結構愛着が生まれ、もう少し出来のいいものにしてあげたいと思っている。最初の印象で原稿用紙100枚程度に感じたのに、実際には初稿は40枚ちょいで、今の第2稿でも50数枚。足りない分が書き飛ばした分とも言えるわけで。
しかし、書くべきことは書いてあるから、新たなシーンなどは追加させる気もないし、あくまで情景や言葉足らずな部分の修正で40枚近く増やすというのは大事である。
しかも、付け加えたから良くなるという保障もないし。一度書き上げたものをここまで手を加えるのは自分ではかなり珍しい。新作を書いた方が楽と言えば楽だし、新作のネタをでっち上げることはいくらでもできる。二次創作だろうとオリジナルだろうと。
ただ、いま書きたいものがこの作品なのだ。作った3人のキャラクターに愛着が湧いたし、せっかく世に生み出した以上はできるだけきちんと描いてあげたい。完成までにはまだ時間が必要そうだが、まずは第3稿をしっかり書き上げたい。

なお、これまでマイクロソフトのWordを利用していたのだが、今回はフリーソフトの「Story Editor」を利用している。全然使いこなせてはいないのだが、それでも使い勝手は悪くない。


2007年01月18日 22時29分03秒 | 創作
夢を見た。

それはファンタジー世界でのほんのちょっとした冒険。そして、苦悩。

何故か、それをそのまま小説にした。

「(仮題)朝が来る」

初稿と第二稿で原稿用紙100枚足らず。一日でそんなに書いたのは初めてだ。

この作品の場合、伝えたいこととか関係なく、ただ見た夢を、その感覚を再現したいという気持ちだけ。まあ上手く伝わるかどうかは分かんないけどね。

☆追記☆
「小説家になろう」さんに投稿しました。好きな方で読んでください。。。ってここ見て読む人がいるかどうか甚だ疑問だけどね(笑)。
「朝が来る」


他人に薦めたいゲーム

2007年01月17日 22時46分27秒 | アニメ・コミック・ゲーム
GAMENEWS WATCHERさんで投票受付中の「2006年の他人に薦めたいゲーム」。
昨年も同様の企画があり、そのときは「バンピートロット」に投票したが、今回はこれといって思いつかないでいる。4月以降はヴァナ・ディールに入り浸っていたせいでもあるのだが、同時にプレイしたいと思えるソフトが少なかったのも事実。
「ファンタシースターユニバース」のように期待はずれに終わったソフトもあって、このところは手を出したいと思えるソフトも全然ない。

今月はFFXIも休み、正月こそFate/stay nightに明け暮れたが、その後は全くゲームをしていない。ゲーム雑誌を眺めていても、新しさは微塵も感じられないし、新世代機にも興味が湧いてこない。もう私が求めるようなソフトは生まれないのかもしれない、と思ってしまう。

年末から駆け足でここ数年流行っていたもの(涼宮ハルヒの憂鬱やFate/stay night)を追っかけたけれど、その面白さはまだ求めるものに及んでいないと感じてしまう。ガンダム、エヴァ、ガンパレ、FFXIなどで体験した面白さはこんなものではなかった。
もちろん、タイミングや好み、そして年齢などの様々な要因も考えられる。特にエンターテイメントは作品だけでなくその周りの環境込みで楽しんでこそという面もあり、機を逸すると面白さが半減してしまうのは確かだ。それでもなお、どこかにもっと面白いものがあるはずだと思ってしまう。

本題から大きくずれてしまったが、2007年、他人に薦めたいゲームと出会えることを心の底から祈っている。


NFL Divisional Playoff Review I

2007年01月14日 16時56分42秒 | アメリカンフットボール
☆ Indianapolis 15-6 Baltimore

ある程度ロースコアの展開を予想していたが、よもやここまでとは。こういう展開は本来ボルチモアが望むものであり、ボルチモアにとって狙い通りだったはずなのに、点差以上にコルツの試合になってしまった。
真っ向からロースコア勝負を挑んだコルツは、守備が予想以上の健闘を見せた。RBジャマール・ルイスを止められるかどうかが鍵だったが、気合い全開といった感じのルイスをよく止めた。
そしてコルツ勝利の最大の立役者はもちろんKアダム・ヴィナティエリ。51ヤードを含む5本のFGすべてを成功させ、モメンタムをキープし続けた。
ボルチモアにとって、本来望む展開だったがゆえに勝負の賭けどころが遅れた印象だ。1TDで逆転できるという時間が長かったため、攻撃が大事に行き過ぎた。
両チーム守備は素晴らしかったが、それでもTD無しという結果は攻撃陣の不甲斐なさとも言える。もう少しリスクを犯して攻撃に出る展開が見たかった。
ボルチモアはQBスティーヴ・マクネアを擁してもプレイオフで勝てなかった。この敗戦がチームの方向性にどう影響するのか、そして高齢となったベテラン陣の今後に注目したい。
悲願まであと1勝となったコルツだが、次は厳しい戦いが待ち受けている。今の攻撃力ではスーパーは遠い。


☆ Philadelphia 24-27 New Orleans

ニューオリンズディフェンスはよく頑張ってはいたが、要所要所でビッグプレイを許してしまい、それが苦戦の原因となった。サードダウンロングなどに押し込みながらもファーストダウンを許してしまったり、ロングゲインで一気にTDを奪われたりとなかなかモメンタムがつかめない試合展開となってしまった。
QBドリュー・ブリーズの出来はイマイチだったが、RBデュース・マカリスターが気を吐いた。ゾーンブロックでゴリゴリと押し捲るランは試合を通して機能した。終盤のRBレジー・ブッシュのファンブルがなければ、もう少し確実に勝利できただろう。守備も再三のインターセプトのチャンスを逃したことが課題として残った。
フィラデルフィアはコンスタントなゲインができなかったのが厳しかった。ミドルレンジのパスが比較的通っていただけに、もっとパスで攻めにでた方がよかったかもしれない。特に相手のファンブルから得たシリーズで、スクリーンやランプレイをチョイスしたが、ちょっと消極的に見えてしまった。フォースダウン15ヤードでパントを選択したことも判断ミスのように思える。
QBドノヴァン・マクナブが負傷してもうプレイオフ絶望かと思われたあと、QBジェフ・ガルシアを中心によくチームを立て直したフィラデルフィア。ただプレイオフで勝ちあがるにはガルシアでは辛かったか。
ニューオリンズはプレイオフの緊張感からか序盤はいいプレイができなかった。この試合の経験から次は前半から押し捲る自分たちのフットボールをしてもらいたい。


ワイルドカードでは応援していたチームが負けが込んだが、ディヴィジョナルプレイオフでは幸先よく2連勝。これでサンディエゴが勝てばもう文句なしといった感じ。シーズン中からスーパーを目指して応援というのはタンパベイ以来久々だけに、勝つと信じていてもけっこうドキドキハラハラしている(笑)。


NFL Divisional Playoff Preview

2007年01月13日 21時46分37秒 | アメリカンフットボール
いよいよディヴィジョナルプレイオフ。本当の戦いはここから始まる。

○ Indianapolis @ Baltimore

KCのRBラリー・ジョンソンを止めたコルツディフェンス。今度の相手はRBジャマール・ルイス。コルツ勝利のためにはランを止めることが必須条件となる。
表の対決は、NFL3位のコルツオフェンスとNFL1位を誇るボルチモアディフェンスとのマッチングだ。前回のスーパー制覇以降も強力守備陣を維持し続けたボルチモアは、ベテランだけでなく若手の台頭もあって穴がほとんど見当たらない。ハードヒットは健在でTOレシオも1位。いかにコルツと言えども大量得点は期待できない。
裏対決となるボルチモアオフェンス対コルツディフェンスの方が試合の展開を左右するだろう。QBスティーヴ・マクネアはプレイオフの経験も豊富。だが、パスの精度は全盛期に比べると心もとない。彼をサポートするためにもランが計算できなくてはならない。コルツがKC戦のような守備を見せれれば敵地であっても優位に立てる。
予想は20-14でコルツ。KC戦の内容を評価してのもの。ボルチモアは守備のTOやキッキングでビッグプレイを出来れば勝利へのモメンタムを手に入れられるだろう。

○ Philadelphia @ New Orleans

レビューで対戦相手を間違えて書いてしまったが、フィラデルフィアはニューオリンズでの戦いとなった。接戦をものにした勝負強さは見られたが、ジャイアンツ相手に思いのほか苦戦した印象だ。ニューオリンズは久々のプレイオフでしっかりと自分たちの力を発揮できるかが鍵となるだろう。
最大の焦点は、獲得ヤードNFL1位のニューオリンズの攻撃をフィラデルフィアが止められるかどうか。ニューオリンズはレシーバーに難があるものの、QBドリュー・ブリーズは今やNFLナンバーワンと言ってもいいくらいのパサーとなった。二人のRBを併用するなど攻撃も多彩さを見せている。フィラデルフィアディフェンスはある程度の失点は覚悟しなければならないだろう。
対して、QBジェフ・ガルシア率いるフィラデルフィアオフェンスがどれほど得点できるか。ニューオリンズは守備は11位。パスディフェンスは3位となかなかのものだが、TOレシオが-3という弱点もある。決して強い守備ではなく、攻撃のお蔭でなんとかなっているという印象だ。ただフィラデルフィアの攻撃も先週はあまりいい調子とは言いがたかった。
予想では27-17でニューオリンズの勝利。もう少しハイスコアになるかもしれない。レシーバー陣がポロポロと落球を繰り返して自滅という展開でなければ、フィラデルフィアの勝利は望み薄だ。

○ Seattle @ Chicago

シカゴはQBに致命的な弱点を抱えている。それでもNFCトップの成績を残したのは、守備とスペシャルチームの力による。負けが許されないプレイオフでは、レギュラーシーズン以上にQBの差が勝敗を分けるが、QBの差以上のチーム力の差があれば別だ。
ダラス相手に劇的な勝利を収めたシアトルだが、相手のミスに助けられたという側面は否定できない。昨年に比べチーム力も劣るし、勢いも乏しい。第4週に6-37と大敗した相手だけに、苦戦は必死だ。シカゴにも当時のような勢いはないので、これほどの点差にはならないだろうが、それでも力の差はかなりある。
シアトルが勝機を見出すにはロースコアで展開し相手のミスにつけ込むしかないだろう。そのためにはシアトルは決してミスが許されない。完璧な内容の試合をしてなお相手のミス待ちという力の差を認めて戦えるかどうかが鍵を握る。
予想は23-13でシカゴ。チャンピオンシップゲームに向けてシカゴにとっては内容も問われる試合と言えるだろう。

○ New England @ San Diego

プレイオフに強いニューイングランド。しかし、敵地ではそうでもない印象もある。格下のジェッツ相手に完勝だったが、格上相手にどんな試合ができるのか。今シーズン最も勢いに乗るチーム、サンディエゴは満を持しての登場だ。
ニューオリンズの攻撃で鍵を握るのはOLだ。QBトム・ブレイディがどれほど優れたQBでも時間がなければパスは投げられない。LBショーン・メリマンという稀代のパスラッシャーを防げるかどうかが試合の明暗を分けるだろう。ランもジェッツ戦以上に重要となる。ボールコントロールしなければ勝利は見えてこないだろう。
LTことRBラデイニアン・トムリンソンを止めることはニューイングランドディフェンスの最低条件。MVPを始めあらゆる賞を総なめにしたLTを止めることは容易ではないが、勝つためにはどうしてもやらなければならない。QBフィリップ・リヴァースは後半に入ってやや失速した。それでも頼りになるTEアントニオ・ゲイツなどパスターゲットは豊富だ。シンプルなプレイ主体のサンディエゴには得意のディスガイズ守備は通用しにくいだろう。
予想は31-24でサンディエゴ。ニューイングランドが追う展開になればもっと大差が付くかもしれない。サンディエゴにとって不安要素はHCマーティ・ショッテンハイマーがプレイオフに弱いというジンクス。変わったことさえやろうとしなければ問題はないのだが…。


セイバーの耐えられない軽さ――Fate/stay night批評2

2007年01月12日 12時44分25秒 | アニメ・コミック・ゲーム
この作品の顔的存在でセイバー編のメインヒロイン。圧倒的な存在感を持つはずのセイバーだが、それはセイバー編のみの話。凛編以降はギャグ要員並の扱いとなり、桜編では出番は激減する。
簡単な話だ。彼女のキャラクター性は外見とその強さのみで、内面は非常に薄い。セイバー編のみでキャラクターは描き切り、役割も戦闘とボケくらいしか与えられていない。
士郎のパートナー役はほとんど凛が担当している。しかも、士郎を強くするために彼女は敵に捉えられ、戦闘での見せ場も激減してしまう。
過去の描写も一面的で、彼女自身から語られることは少ない。そのためか、彼女の誇り高さや精神的強さが描かれることがほとんどない。どうしても士郎に振り回されるだけという印象が拭えない。
特別独創的なキャラクターというわけではないが、もっと出番があっても良かったのにと思う。

セイバー編では彼女の救済が描かれる。非常にシンプルだ。彼女は過去のリセットを願い、士郎の言葉に感銘を受け、その願いを恥じる。真っ当な救済だ。
彼女の人生に対する士郎の評価は、彼の傲慢だと書いたが、その評価が当たっているか外れているかは分からない。幸不幸は心の問題だから、他人が斟酌するものではないし、他人の人生を評価するなんて簡単にできることではない。
キャラクターを描くということはエピソードを積み重ねていくということだが、特に言葉多く語らない彼女の過去と現在の思いは、もっと多くのエピソードで描いて欲しかった。


衛宮士郎の傲慢――Fate/stay night批評1

2007年01月12日 12時15分42秒 | アニメ・コミック・ゲーム
士郎は70年代に先祖がえりしたかのようなキャラクターだ。まだ、「正義の味方」や「人を救う」ために生きることが許容されていた時代。もちろん士郎とてこれらの思いが単純に成立しないことも知っている。それを為す力以上に、何が「正義の味方」で何が「人を救う」ことなのか見極めることが困難だから。

大火事でただ一人助けられた少年という事実。衛宮切嗣に助けられ引き取られ彼のようになりたいと願う気持ち。これらの体験が彼を形作っている。しかし、形成された彼の精神はいびつだ。
彼は簡単に身を挺して人を救おうとする。「正義の味方」「人を救う」という言葉には、正義を実現しようという理念は無く、あるのはただ救われない人を見たくないという思いに過ぎない。

物語の中で彼は再三足手まといとなる。物語終盤まで実力の乏しい魔術士なのに、自分の考えだけで動き回り、その結果災いを引き起こす。決して自分の実力を弁えない。ただ自分の思いだけが優先される。
セイバーを女性扱いすることでも顕著に現れている。それが彼の魅力の一部になっていることは認めるが、性別や容姿に囚われて、相手の意思を封殺し自分の思いだけを主張する。

セイバーの心情にまで踏み込んで可愛そうなどとは一体何様のつもりかと感じるが、そうした傲慢さが彼の特徴となっている。自分勝手でも誠実で優しい士郎はむしろ女性にはもてるだろうとは思うが。

Fate/stay nightの物語は彼の物語だ。
セイバー編ではセイバーの救済に重点が置かれているが、凛編では彼は自分自身と対決し、桜編では彼の思いが打ち砕かれる。
自己の克服という意味で凛編はよくできている。自己を否定する自己に共感し、それでも自己の実現のためにそれを倒す。作中でも再三指摘されているように彼には「大切な自分」がない。それは「自分」よりも大切なものがあるということだ。彼にとってそれは、助けられないという思いをしたくないことだ。
彼にとって他人が大切なのではない。自分がないのではなく、他人がないのだ。自分が傷ついたら他人がどんな思いをするか全く考えない。彼が他人の意思を尊重しないのも当然だし、自分勝手に行動するのも他人の思いを省みないからだ。
だから、彼が乗り越えるのも自分だけだ。もちろん乗り越えたからといってその性格が変化したわけでもない。ただ自分の思いを強くしたということ。それでも、彼のその性格がその生い立ちによるものであり、生涯変わりえないものと考えれば、この戦いには大きな意味がある。
彼にとっての救いにはならない。成長にも繋がらない。だが、乗り越えなければ彼には何も残らなかった。彼にとってはどうしても必要なことだったのだ。

一方、桜編は本来は士郎の救済の物語となるはずだった。つまり、自分よりも大切なもののために戦い、「愛」を知ることで彼は救われると。
桜編は散々な出来となる。これまで描いてきた士郎の思いを上回る魅力を桜に与え切れなかった。士郎の心情を読み手に伝えるためには言葉を増やさざるを得ず、それによって間延びして作品のパワーが落ちた。そこまでしても士郎の救済は果たせなかった。
桜と「正義の味方」が二律背反となるように描き、どちらかを選択するしかないようにした時点で失敗した。唐突に桜を士郎にとって特別な存在とすることには無理があった。士郎が「正義の味方」を放棄することもありえない。作者と言えど登場人物を自由にすることはできない。無理をすれば作品は破綻する。
破綻したからそれを繕おうとして間延びする。しかもここで二つ目の失態をやらかしている。それがアーチャーの腕だ。桜を守るべき力は士郎自身のものではなく与えられたものとなった。
桜編のTRUE ENDは、士郎も桜も凛もライダーもいるエンディングだ。これを士郎の救済の一つの形という神経を疑ってしまう。これはリセットボタンを押したようなものだ。セイバー編で否定したことを士郎の救済としてやってしまうとは。
桜編で本来最も大切なことは、桜、士郎、凛が負うべき罪である。彼らが望んでなかったにせよ多くの犠牲者を出した事実。その一人一人の思いは、繰り返し描かれる大火事のものと同じはず。士郎にとって前回は巻き込まれた災厄だったが、今回は知りながら止められなかったものであり、その罪は重く深い。NORMAL ENDがそうした意識の下で描かれていることを思えば、あのTRUE ENDは皮肉なのかもしれないが…。

他者を知らない士郎は当然「愛」を知らない。桜編でものの見事に失敗した挑戦は可能だったのか。私の士郎の印象は思春期、特に小学生高学年程度というものだ。これから他者を知り、「愛」を知っていくだろう予感はある。
単純に二者択一のものと描いてしまったからおかしくなった。そんな分かりやすい図式では無理というものだ。自分の思いを貫く中で他者を知ることを描く必要があった。一成をマスターにして正面から対決したり、慎二の性格を変えてもっとライバルのようにするとか手はあったとは思う。

傲慢さが鼻に付くので決して好きなキャラクターではないが、桜編を除けばその造型はよくできていた。今風ではないけれど、傲慢さも含めて魅力あるキャラクターだった。それだけに桜編が残念だ。


トップをねらえ2!

2007年01月11日 01時19分48秒 | アニメ・コミック・ゲーム
年末に録画したものを観賞。初見。

名作の続編という形だが、直接的な繋がりは乏しい(後半になると別なのだが)。
イマイチ評判が悪いと聴いていたが、なるほどという感想。話のスケールが加速度的に大きくなるのは前作を踏襲しているし、盛り上がる場面の演出はさすがにガイナと思わせる。ただ話のコアになる部分がうまくない。特に第1話は面白くない。主人公に感情移入できず、見ている側は完全に置いてきぼり。第2話以降はある程度フォーマットに沿って展開するので、安心して見ていられるが、軸が通ってない感じが否めない。
前作がいかに凄かったかということを再認識させるためだけの作品というのは言い過ぎだけど、もっとシンプルにして魅力あるキャラクターが増えれば面白かったのにとは思った。やっぱり「2」という足かせが重すぎたのね。


NFL Wildcard Playoff Review II

2007年01月09日 21時02分58秒 | アメリカンフットボール
☆ New York Jets 16-37 New England

ニューイングランドはファーストドライブをTD。対するジェッツは何も出来ずにスリーアンドアウト。大差の展開を覚悟したが、ジェッツは攻撃陣が踏ん張り10-17で折り返し。FGを1本ずつ入れあった後の第3クォーター残り1分52秒。QBチャド・ペニントンがフレアに投げたパスはLBルーズベルト・コルヴィンにカットされた。あわやインターセプト。しかし、ボールは地面に転がり、ジェッツ側がホッとした瞬間。NTヴィンス・ウィルフォークが誰も反応しなかった空白の時間にただ一人反応していた。リターンTDこそ防いだが、均衡はこのワンプレイでついに崩れた。
1TD差以内での緊張感は、実力の差を覆い隠し、互角の勝負に導いていた。特にQBペニントンはブレイディに勝るとも劣らないクォーターバッキングを見せた。たった一度のボーンヘッド。得意のWRへのスクリーンは明らかなバックワードパスだったにもかかわらず、それを忘れてしまった。非常に深い駆け引きの争いは残念ながらこれで終わった。
HCエリック・マンジーニは、明らかな奇策は見せなかったが、常にベリチックと神経戦を演じてみせた。守備はニューイングランドの攻撃に耐え切れなかったが、攻撃は強い守備をかなり攻略してみせた。あと少しの精度と、ゴール前での決定力があれば勝敗はもっともつれただろう。
ニューイングランドは、地元で安定した戦いを見せた。奇をてらわず、地力の差をじっくりと発揮した。経験の豊かさが焦りを生まずに戦わせた。特にブレイディのプレイは完璧に近い安定感だった。ランでも3人のRBを使い分けてうまく試合をコントロールした。ただ次戦はロードでのサンディエゴ戦。プレイオフに強いとはいえ、不利であることは間違いない。それを覆す何かを用意できるか。

☆ New York Giants 20-23 Philadelphia

ジャイアンツは予想以上に健闘した。チームのモメンタムは感じなかったが、後半の低迷していた頃とは違い、持てる力を存分に発揮した。負ければRBティキ・バーバーにとって最後となる試合。彼の気迫がチームに誇りを思い出させたかのようだった。TEジェレミー・ショッキーは痛む足を引き摺りながらも要所要所でQBイーライ・マニングを助けた。OLもイーグルスのパスラッシュからよくイーライを守った。ジャイアンツは間違いなく現時点での全力を出し切った。
それでも最後にFGを決められて敗戦。点差以上の実力差を感じた敗戦だった。フィラデルフィアはモメンタムを維持してホームで戦えると見ていたが、意外にも勢いは感じられなかった。QBがジェフ・ガルシアということで、微妙にプレイオフの緊張感をプレッシャーに感じている印象。それでも目立ったミスを犯さず、堅実に堅実に戦い抜いて勝利をもぎ取った。
スタッツ以上に両チームのQBの力の差は感じられた。ジャイアンツのOLは本当によく守り通した。対して、ガルシアは何度もパスラッシュに苦しんだ。ビッグプレイはできなくとも、ミスを犯さないことでチームに勝利をもたらすクォーターバッキングが印象深い。
RBティキ・バーバーは激しくマークされながらも137ヤードを獲得。しかし、この数字では勝利は呼び込めない。ジャイアンツはよく戦ったが、それでも勝利に届かない。埋められない両チームの差が実力の違いと言えるだろう。フィラデルフィアは敵地でシカゴと戦う。オフェンスが我慢し、ディフェンスが勝負に挑めば勝機はある。ジャイアンツ戦の勝利をうまくモメンタムに繋げられるかが鍵となりそうだ。


Fate/stay night ファーストインプレッション

2007年01月09日 01時35分38秒 | アニメ・コミック・ゲーム
3つのルート、5つのエンディングをようやく見終わって、残すは桜ルートのバッドエンディングを見て回るのみという状況。語りたいことはいろいろとあるので、まずはその第1回目。

まず、ゲームとしての評価だけど、簡単に言えば0点である。つまり、ゲーム性がないので、ゲームとして評価はできない。他のこうしたノヴェル系ゲームをやったことがないので、ジャンルとしての評価ではないが、少なくとも「Fate/stay night」はゲームとは呼べない。
既に述べたように、事実上選択肢に意味はなく、ルート分岐やエンディング分岐の効果はあるが、それだけではゲームとは呼べない。正直、選択肢なしでいい。その方が集中できただろう。なんなら2周目から選択肢を付けるとかしてくれると良かったかも。
とにかく、これをゲームとしては評価できない。ゲーム性を利用して物語を表現する努力は放棄されているからだ。従って、あくまでもビジュアルノヴェルという表現形態の物語として批評する。もちろん、言うまでもないがゲームでないことは欠点ではない。

思い至った現在の感想は、「軟弱な『北斗の拳』」である。

最初のセイバールート、次の凛ルートは非常に面白かった。最後の桜ルートはかなり苦痛ではあったが。
その面白さの質は『北斗の拳』などに近い。設定が上手く、その中で巻き起こる戦いにわくわくする。あくまでも戦いが物語の中心を占めている。
『北斗の拳』を挙げたのは、Fateが影響を受けた作品に『ベルセルク』の名が挙げられていたことへの批判とも言える(Wiki参照)。足掻くものを描いた『ベルセルク』とFateにはもちろん共通する要素もあるが、決定的な違いがある。
エンターテイメントはおよそ2種類に分類され、簡単に言えば「理」と「情」である。「理」が勝った作品は、基本的にその世界の論理を超えることが出来ない。相手に勝つには、相手を上回る論理が必要となる。一方、「情」が勝った作品は、基本的にその世界の論理よりも優先される力を示す。相手に勝つには、相手を上回る理由が必要となる。その理由はロジカルなものでなくていい。他の者より不幸だったからとか守るべきものがいるからとかで構わない。
「情」が勝った漫画を岡田斗司夫は「バカマンガ」と呼んだが、それは貶しているのではなく、そういう性質のエンターテイメントであるというに過ぎない。そして、Fateもこの系列に位置する。

『キン肉マン』『北斗の拳』など少年ジャンプ黄金期に特に輝かしい勢いを見せた「バカマンガ」だが、Fateは紛れもなくその正統な継承者だ。「バカマンガ」は理にかなってはいないため、通常であれば読み手に拒絶される。しかし、優れた「バカマンガ」はその圧倒的な勢いで馬鹿げた物語を読み手に納得させてしまう。どれほど馬鹿げたことでも、読んでいるその一瞬だけは読み手を頷かせてしまう力こそが、特大の快楽となって読み手を惹きつける。
Fateの場合、設定を細かく論理的に組み上げておいて、一見「理」にかなったように錯覚させておき、強烈なパワーでプレイヤーを惹きつけている。マンガではないがその系譜を継ぐものとして、あえて21世紀最高の「バカマンガ」と評してもいいだろう。

それほどまでに面白い作品ではあるが、当然のことながら「バカマンガ」は評価しにくい。理に合わないことを力技で納得させるような物語を、理で計ることに無理がある。Fateの物語を批評すれば、百や千の批判はたやすくあげつらう事ができる。一見「理」があるように見えるからなおさら、その物語の破綻は語りやすくなっている。
そうした批判はおいおいするとして、言えることは、そうした批判を抱いても、それでも面白いということ。ただし、最初の二つのルートに限られる話だが。

桜ルートに関しては、厳しい意見だがない方が良かった。プレイしたのは時間の無駄に近い。批評するのにやらないといけないという思いがなければ途中で投げ出していたかもしれない。特に桜ルートのTRUE ENDINGなんてギャグかと思った。本だったら叩きつけていたし、卓袱台ならひっくり返していたところだ。
「情」が勝る作品世界というのは、言ってみれば主人公の望みが叶う世界である。ある意味、不可能なことがない世界だ。そんな世界で、作り手がテーマを語ることに本来無理がある。悩みも葛藤も結局は思い通りになってしまうのだから、それはあってないような悩みや葛藤に過ぎない。それでも、最初の二つのルートではそれなりに描こうとして努力している様が見て取れた。
全体を通して、主人公の傲慢さには辟易したが、凛ルートでは向かうべき対象が上手く合っていて描こうとするテーマ性をそれなりには表現できていた。GOOD ENDINGにはがっくり来たが、TRUE ENDINGは物語として納得できるものとなっていた。
しかし、そうした評価も最後のルートで吹っ飛ばされた。Fateへの評価、奈須きのこへの評価を著しく下げてしまった。

「なんのために戦うのか」という問いは、実はあまり意味がない。戦わなければならない場面で、そんなことを考えていては戦えない。そして、戦いたくない者が戦わなければならない場面はめったに訪れないし、訪れたら死ぬだけだ。意味があるのは、戦いたくない人間に戦う気を起こさせる、または戦おうとする人間のその戦意をくじくことだろう。
Fateで主人公がまっとうでないのは自分がないからだ。自分の欲がないし、他人への愛もない。それでいて自分の考えを他人に押し付ける傲慢さが鼻につくが、それはここでは追求しない。
それでも自分の規範を持ち、そこから考えを巡らしていたうちは良かった。桜ルートではその規範を壊してしまう。それに代わり得るものとして、「愛」を描こうとするが、それは描けば描くほどまがい物だった。結局、自分を持たない主人公が愛を知ることはない。事ここに至っては力技でも納得できるだけのものとならなかった。

今回はネタバレに気を付けつつ、印象を書いたが、今後ネタバレ込みでいろいろ批評してみる予定だ。まあ批判だらけになるのは分かりきっているが、それだけ作り手の思いがストレートに描かれているからだろう。また、他の作品との比較みたいな形での批評もする予定。まあそんなの書いても読む人がいるかどうかは甚だ疑問だけど、折角プレイしたので書くことも込みで作品を楽しむことにする。