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第44回スーパーボウル

2010年02月08日 21時47分46秒 | アメリカンフットボール
下馬評はコルツ有利。多くの観客は試合が始まってもそれを疑わなかっただろう。スーパーボウル初出場のセインツの選手たちには硬さが見えた。エースWRのコルストンがイージーなパスドロップをしたり、ディフェンスも気合いが空回りしている様子が窺えた。
10-0とコルツリードで迎えた3度目のシリーズ。ようやくセインツの攻撃が少しずつリズムを生もうとしていたが、コルツDEフリーニーの驚異的なパスラッシュの前にFGに抑えられた。スリーメンラッシュで、カパレッジサックの面もあるが、それでもセインツQBブリーズに余裕を与えない強烈な一打だった。

試合の転機となったのが、次のセインツのドライヴ。ゴール前1ヤードまで進み、同点のチャンス。しかし、4thダウンとなってしまう。前半2ミニッツを切った場面。セオリーならばFGで3点を狙うところだ。
しかし、ここでFGを蹴れば、残り時間コルツに攻撃を許すことになる。HCショーン・ペイトンの判断はGo。RBピエール・トーマスのランに期待したが阻まれた。
一見、無謀なギャンブルのようだが、コルツの攻撃は自陣1ヤードと非常にリスクの高い場所。堅実さが目立つコルツオフェンスは無理をせずにランで窮地を脱しようと試みる。ここでセインツディフェンスが踏ん張り、残り35秒を残してセインツに攻撃権を取り戻させた。セインツ陣48ヤード。ブリーズの力ならFGレンジまで運ぶのは容易いことだった。
前半は10-6と予想外のロースコアでの折り返しとなった。

ハーフタイムショーがあるためスーパーボウルのハーフタイムは通常よりも長い。The Whoのコンサートの興奮冷めやらぬ空気を一気に引き戻したのがオンサイドキックの奇襲だった。
このプレイオフでもパッカーズが成功したように、相手が警戒していない一瞬をつければ、オンサイドキックは成功することがある。パッカーズも後半最初のキックオフ(パッカーズの攻撃シリーズの後だったが)で行ったように、ハーフタイムの間に事前準備ができる点でもこのタイミングだったのだろう。
成功か失敗か、なかなかジャッジが下されなかったが、ようやく出た判定はセインツボール。自らの力で引き寄せたモメンタムに乗って、ついにTDを奪う。逆転。
だが、このモメンタムにものともしない男がいた。コルツQBペイトン・マニング。機械のような冷静さと正確さを持つNFL史上でも稀代のQB。モメンタムなどどこ吹く風とあっさりとTDを返した。
続くセインツのドライヴはFGに止まり、17-16と1点差でコルツリード。コルツの攻撃はFGレンジまで達するもディフェンスがなんとか踏ん張った。51ヤードのFGアテンプト。ベテランキッカーのマット・ストーヴァーには長過ぎる距離。堅実なキッカーだが、昔ほどのキック力はない。FG失敗。多くのコルツファンは、怪我で離脱したキッカーのアダム・ヴィナティエリがいればと嘆いただろう。

既に第4クォーター。今シーズン見せたブリーズのパスアタックの完成形がここで見られた。6連続のパス成功。ショートパスを6人のレシーバーに投げ分けた。コルツのパスラッシュが弱まり、セインツの攻撃を止める術はなくなった。TEジェレミー・ショッキーへのTDパスが通り、このドライヴは7人のレシーバーへ100%のパス成功率となった。2点コンバージョンは8人目のレシーバームーアへのパス。判定は失敗だったが、チャレンジによって判定が覆り、24-17と7点差となった。
残り時間は5分42秒。コルツはTD必須の状況。セインツに攻撃権を渡してしまうと時間を使い切られてしまう。それでも、マニングは正確にパスを投げ、敵陣へと進入した。そして、ついにその時が来た。
マニングのパスに反応が遅れたWRレジー・ウェインの前に躍り出たCBトレイシー・ポーターが、パスを奪うと一気にエンドゾーンまで走り抜けた。反則やミスの少ないそれまでの試合でじっと凝縮されていた思いが解放された瞬間だった。熱狂が渦巻いた。
31-17。2TD差。残り時間3分12秒。コルツにとっては絶望的な状況。しかし、コルツファンのみならず全てのフットボールファンが感じたはずだ。まだ分からない、と。なぜなら、コルツのQBは、コルツオフェンスを率いるのは、あのペイトン・マニングなのだから。
自陣14ヤードと厳しいスタートとなったが、あっさりと敵陣に進入。ゴール前3ヤードまでたどり着いた。しかし、反則もあってそこから前に進めない。さすがのマニングにも焦りの色が見えるようになった。そして、4thダウンのパスが地に落ちた瞬間、この白熱した試合の行方が決定した。ニューオーリンズ・セインツが劣勢の評を覆して、聖者が王者へと昇り詰めた。

※時間切れなので今日はここまで。続きはまた書く予定。