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ヤダモン

2010年02月03日 23時57分24秒 | アニメ・コミック・ゲーム
ヤダモン DVD-BOX 1ヤダモン DVD-BOX 1
価格:¥ 29,400(税込)
発売日:2007-12-20


1992年から約1年間NHKで放送された帯アニメ。1話10分だが、1週間単位でストーリーが展開する仕組みとなっている(1話完結の回もある)。
子供向け魔法少女ものではあるが、前半の明るく見ているだけで元気が出てくるような物語から一転、後半は非常にシリアスな物語へと突き進んでいった。アニメファン向けの作品ではないにもかかわらず、当時「アニメージュ」の表紙を飾ったこともあった。

この2月からキッズステーションで1日3話ずつ月~金での放送がスタートした。放送当時以来の視聴で古臭さも感じるが、それでも活き活きとしたキャラクターに惹きつけられた。
5歳児くらいの少女ヤダモンは、魔女の森を追放されて人間の世界へやってきた。彼女はワガママでトラブルメーカー。でも、そんな彼女の元気いっぱいの姿を見ているだけで元気付けられるように感じてしまう。クリーチャーアイランドという欧米的な世界で彼女が巻き起こすドタバタ劇が前半の基本的な流れだった。

全170話のうち、106話以降の脚本を担当したのが外山草。特に116話以降の魔女の森を舞台にした物語は魔法少女ものという枠に収まらない深い物語となっている。
「動画王」Vol.2スーパー魔女っ子大戦で、松戸彩子によって『ヤダモン』の解説が書かれている。後半の展開が外山草の個人的体験や想いを反映して作られたものだと。それは庵野秀明による『新世紀エヴァンゲリオン』の描かれ方に先行するものだとも言えるだろう。
謎の卵の存在、滅び行く魔女の森、光と闇、母と娘。単なる道具立てに終わらず、綺麗事に逃げず、魔法少女の枠に囚われず、想いに正面から向き合って描かれた後半は、前半の明るさがあったからなお、複雑な陰影を見せるものとなった。

対象である子供にはどれだけ伝わったか分からないが、子供向けだからと枷をはめるのではなく、伝えようという意思を最後まで貫いたことで、今もなお見るに足る作品としてあるのだろう。