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ドラえもん最終話

2007年05月30日 21時28分43秒 | アニメ・コミック・ゲーム
ドラえもん「最終話」同人誌制作の男性、小学館と藤子プロに謝罪

個人的には現行の著作権法に著しく批判的な立場だが、それはそれとしてなかなか興味深い出来事に見える。
著作権法に照らせば、巷に溢れかえる同人誌のほとんどが違法だし、ネット上の個人サイト・ブログの多くも違法だ。こうしたファン活動は「黙認」されているだけと言える。

ドラえもんの同人誌による「最終話」もその流れで作られたものに過ぎない。作者が元プロであったこと、作品の出来が良く広く評判を集めたことが結果的にその流れから逸脱することとなったが。
ネット上で私もこの作品は目にしたし、最終話としてよく練られた内容だと思う。

今の日本のマンガ界はもやは同人誌業界なしには成り立たないのではないかと思うほどだが、一方で無駄に才能を消耗しているように見えなくもない。そんな同人誌のあり方は記事の内容から逸れるので深く言及しないが……。

今回の件で目に付いたのは、やはりお金の問題ってこと。まあ当然だけれど。
許諾の問題もあるが、浦沢直樹の「PLUTO」のように過去の名作をアレンジしたりする手法はもっとあっていいと思う。今回の件もオオゴトになったが落とし所はもう少し別の手があったようにも感じる。
この「最終話」は、日本では法的な線引きが曖昧なパロディの範疇とみなすこともできるだろう。

繰り返すが、この「最終話」は、大量に生み出される同人誌のなかでも創造的で上質の部類の作品だ。そして、皮肉にも、だからこそ問題となってしまった。
ファン活動のあり方や、それを様々な形で利用する出版社などの企業のあり方、創作活動のあり方、一読者としての立場など、考えれば考えるほど、別の解決法を取るべきだったように思えてきて返す返すも残念だ。