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1月23日のブログで、「化石燃料の使用により大気中のCO2が増えると地球が温暖化する」というアレニウスの仮説を紹介しました。スウェーデンの化学者スバンテ・アレニウスがこの仮説を発表したのは1896年でした。
1765年のワットの蒸気機関の発明に始まる近代の技術史の展開やアダム・スミス「諸国民の冨」(1776年)に始まる経済理論の発展の歴史――リカード「経済学および課税の原理」(1818年)、ミル「経済学原理」(1845年)、マルクス「資本主義」(1867年)、ワルラス「純粋経済学要論」(1874年)、ケインズ「一般理論」(1936年)、カップ「私的企業と社会的費用」――と、「アレニウスの仮説」を今、改めて総合的に考えるのは妥当性があると思います。
110年前にスウェーデンの化学者が唱えた仮説が今、現実の問題となって、私たちに「経済活動の転換の必要」を強く迫っています。そして、この仮説を支持するかのように、ゴア・元アメリカ副大統領主演の映画『不都合な真実』(原題: An Inconvenient Truth)が2006年にアメリカで制作され、2007年1月20日から日本でも公開されています。
また、一昨日(2007年2月1日)には、地球温暖化の科学的根拠を審議する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会」会合がフランスの首都パリで開かれ、第4次評価報告書が承認されたとマスメディアが2月2日に一斉に報じています。
私たちは改めて、「技術開発」と「経済活動」と「環境問題」の関係を捉え直す必要があると思います。
5.スウェーデンの二酸化炭素(CO2)規制政策の概要
つぎの図は1991年の「二酸化炭素税導入」までのスウェーデン政策の概要を示したものです。
92年、スウェーデン国会は「CO2の排出量を2000年までに90年レベルに安定化させ、その後は減少させる」というスウェーデン独自の目標をつくりました。
2001年11月に、政府が国連気候変動事務局に提出した「第3回気候変動に関する国別報告書」によれば、スウェーデンの99年の温室効果ガス排出量は、90年のレベルをわずかに0.1%上回っただけでした。このことは、この10年間のGDPが15%増えているにもかかわらず、90年代の温室効果ガスの排出量が安定化していたことを示しています。92年に国会が決めた「CO2の排出量を2000年までに90年レベルに安定化する」という目標は達成されたのです。
2001年11月、スウェーデン政府は新たな気候変動防止政策を発表しました。
この政策で、スウェーデンは2010年までに温室効果ガスの排出量を90年レベルの4%減(EUの割当枠では4%増が可能)を目標としています。
注目すべきは、この政策でも、森林による吸収や排出量取引などといった、京都議定書で国際的に認められた「補完的な手法」によらないで、スウェーデン国内の努力によって目標を達成しようとしている点です。具体的には、自治体の気候変動防止プロジェクトへの資金援助、国民への啓発運動、代替燃料の導入、省エネ、課税対象の転換(後述)などが挙げられています。スウェーデン自然保護協会やグリーンピース北欧などの環境NGOは、政府の政策を評価し、支持を表明しています。