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ではここで、昨日の「経済がいつまで成長できるのか」という問いを、私なりに考察してみましょう。「21世紀の経済成長は資源・エネルギーの消費を抑えて達成されなければならない」、「資源・エネルギーの消費を抑えることによって環境負荷をできるだけ減らし、環境を保全するだけでなく、可能なら回復しなければならない」というのが私の立場ですが、たとえそのような立場をとらないとしても、資源の枯渇(これは、従来から懸念されていることです。最近では「もったいない学会」を主宰する東京大学名誉教授・石井吉徳さんが提唱する仮説「ピーク・オイル論」があります)によって、将来、経済活動は制約を受けざるを得ないでしょう。
私たちが現在の知識を基礎に将来を語るとき、21世紀の折り返し点である2050年を一つの区切りとして考えることができます。大量生産・大量消費・大量廃棄に象徴される現在の市場経済システムのもとで、「さらなる経済の持続的拡大」は2050年まで可能でしょうか。
この可能性を議論することは、世界第2位の経済大国であり、資源の超輸入大国である日本にとって21世紀の最重要論点であると私は考えます。しかし、「いま、日本人に突きつけられている問題は何か」を論じる書物でも、このような問題はあまりとりあげられません。
たとえば、文藝春秋が毎年発行している『日本の論点』は、800ページを超えるボリュームで、多くの識者がさまざまな論点についての所信を展開していますが、「経済成長はいつまで持続できるのか」という私が21世紀前半に最も重要だと思う「論点」には、お目にかかったことがないのは不思議です。
これまでの市場経済システムを維持・拡大する方向をめざすのであれば、それを支えてきた現在のエネルギー体系を、経済成長に合わせて維持・拡大していくことは、それなりに合理的な考えであると思います。
しかし、資源の制約、エネルギーの制約、環境の制約などから、現在の市場経済システムの持続的拡大はおそらく不可能なわけですから、「エネルギー体系の転換」「産業構造の転換」「社会制度の転換」などさまざまな転換が必須だと思うのですが、みなさんはどうお考えでしょうか。