環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

再び「科学者」と「政治家」の役割

2007-11-29 21:49:46 | 温暖化/オゾン層
 

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このところ、地球温暖化に関する報道が急増してきました。来月3日からインドネシアのバリ島で開催される国連気候変動枠組条約締約国会議(COP13)でそのピークを迎えることになるでしょう。

COP13は科学者の会議ではなく、政治家の会議です。11月24日の朝日新聞の社説がこのことをわかり易く解説しています。

この社説の結論は最後の2行の「次は政治家の出番だ。予防原則に立った政策をつくるときがやってきた」に凝縮されています。このことは日本にとっては大変目新しいことかもしれませんが、スウェーデンにとっては、35年前の1972年の「第1回国連人間環境会議」以来実行してきたことです。スウェーデンは72年の国連人間環境会議でも、そして京都議定書でも、他の先進工業国に先駆けて、確実に結果を出しています。 

関連記事

UNFCCCが公表した温室効果ガス排出量 1990-2005年(11/23) 

一人当たりのCO2排出量の現状と将来の目標(10/23)

日本経済新聞 「経済教室から」 低炭素社会構築の道筋 成長・福祉と同時対処を(10/4) 


これまでも折に触れ、この「科学者」と「政治家」の役割を紹介してきましたが、ここで再度確認しておきましょう。

1972年6月に第1回国連人間環境会議がスウェーデンの首都ストックホルムで開かれてから、35年が経ちました。この会議の開催中に、当時のパルメ首相が述べたこの言葉は、35年経ったいま、ますます輝きを増してきたように思います。この言葉には、スウェーデンの「環境問題」に対するアプローチがみごとに凝縮されているとともに、民主主義社会のもとで自由経済を享受してきた私たち日本人が、21世紀前半に抱えているさまざまな問題を解決し、21世紀の新しい社会「持続可能な社会」をつくる際に必要な、普遍性の高い手がかりが含まれているからです。 

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社会的合意形成⑥ 科学者と政治家の役割(3/5)






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 WMOの「大気中のCO2濃度」調査 史上最悪

2007-11-24 20:39:59 | 温暖化/オゾン層


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11月23日、世界気象機関(WMO)が昨年の世界の大気中CO2の濃度が史上最悪を観察したと報告しました。このニュースを今日の読売新聞と朝日新聞が伝えています



この結果は12月3日からインドネシアのバリ島で開催されるCOP13に報告されるそうです。






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国連気候変動事務局(UNFCCC)が公表した温室効果ガス排出量 1990-2005年

2007-11-23 22:10:12 | 温暖化/オゾン層


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11月20日、気候変動事務局はドイツのボンで、気候変動に関する国連枠組み条約(UNFCCC)締約国のうち先進工業国から提出された温室効果ガス(GHG)排出量を公表しました。


また、11月6日の朝日新聞は06年度の日本の温室ガスの排出量を報じています。






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IPPCが 「気候変動に関する統合報告書」を承認-その2

2007-11-21 12:42:11 | 温暖化/オゾン層


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昨日、11月17日の朝日新聞(夕刊)掲載に掲載されたIPPCの「統合報告書」承認のニュースと18日の同紙(朝刊)から関連記事をとりあげました。今日は18日の毎日新聞で、このニュースがどう取り上げられていたかをお知らせします。 

両新聞のニュース源は同じで、11月17日にスペインのバレンシアで開かれていた国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第27回総会で採択された「地球温暖化に関する第4次統合報告書」でした。しかし、記事の印象はまったく違います。昨日のブログの朝日の記事と今日のブログの毎日の記事を比較してみてください。




上の毎日の記事(一面トップ)では、 「政治」がドーンと躍り出てきています。昨日の朝日の記事では「政治」という言葉が一言も出てきません。よく言えば、「科学の朝日(?)」ということかもしれませんが、今回のIPPCの「統合報告書」の最も重要なメッセージは、 「科学的知見に基づいて、政治的な行動が今こそ必要だ」ということではないでしょうか。朝日の読者と毎日の読者は「IPPCの統合報告書」という共通の資料の前に、異なった印象を持ってしまわなければよいのですが。

科学者と政治家の役割については、35年前の1972年の第1回国連環境会議でスウェーデンの故パルメ首相が次のように述べています。私はこの言葉を機会あるごとに、私の著書で、そして、講演で紹介してきました。



関連記事

社会的な合意形成⑥ 科学者と政治家の役割(3/5)

さらに、今日の毎日の記事と次の2つの図を合わせて見ていただくと、「地球温暖化問題」を理解し、対応するにはどうしたらよいのかがわかるはずです。




そして、これらのことが理解できれば、スウェーデンがめざしている方向と対応策(緑の福祉国家1~63を参照してください)は現実的で、「希望と実現の可能性」があり、日本が今進んでいる方向には現実性がないことは明らかでしょう。

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IPPCが 「気候変動に関する統合報告書」を承認-その1

2007-11-20 21:42:13 | 温暖化/オゾン層


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11月17日の朝日新聞(夕刊)が、IPPCが16日夜、スペインのバレンシアでの総会で、地球温暖化についての科学的知識を広くまとめた「統合報告書」を承認したと報じています。



この報告書で重要なことは、最初の記事の最後の部分「今後20~30年の削減努力と投資が、長期的リスクの低減、回避、遅延をかなりの割で決定づける」という点です。このことは、私の環境論の主要な考えの一つである「現在の決断が原則的に将来を決める」という経験則が適応される事例だと思います。

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今日の決断が将来を原則的に決める(4/4)

再び、今日の決断が将来を決める」という経験則の有効性(7/30)


そして、11月18日の朝刊ではその概要を大きく紹介しています。この記事の中に非常に印象的なグリーンランドの氷床の季節変化を示す図が掲載されています。インターネットに掲載されている原文にはこの図がカラーで示されているので、紹介しておきます。

また、この記事には、統合報告書の要旨が掲載されています。実際の報告書は英文で540ページにおよぶものですので、この要約は私たちのレベルで大変役立つものだと思います。


12月には、インドネシアのバリ島で、「ポスト京都議定書」の枠組みを議論する国連気候変動枠組条約締約国会議(COP13)が開催されます。


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フロン規制:モントリオール議定書採択から20年(11/11)







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フロン規制:モントリオール議定書採択から20年

2007-11-11 15:37:25 | 温暖化/オゾン層


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10月31日の朝日新聞夕刊が「モントリオール議定書採択20周年」を特集しています。
 

これまでに、このブログでもフロンの規制の国際動向や日本の対応、スウェーデンの対応をそのつどとりあげてきました。この特集は最新の国際動向を簡潔にまとめてありますので、紹介します。合わせて、関連記事を参考にしてください。


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COP13:温暖化「適応も柱」

2007-10-28 18:27:11 | 温暖化/オゾン層


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10月24日の朝日新聞がCOP13の準備会がインドネシアのボゴールで始まったと報じています。私がこの記事に注目したのは、温暖化「適応も柱」という見出しがついていたからです。




私は10年以上前から21世紀前半の環境対策は、コスト的にも規模的にも20世紀の対策とは大きく異なると考え、つぎのように、主張してきました。



90年代の日本の環境庁や通産省や産業界はいわゆる「環境ビジネスなるもの」の拡大を主張していました


21世紀に入っても彼らは、「環境ビジネス」が21世紀前半に盛んになると想定していましたが、その中身をみると、50%以上が廃棄物対策でした。
 

さらに、2004年には政府は次のような試算もしていました。


しかし、2007年の今、私は改めて次のように主張したいと思います。


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一人当たりのCO2 排出量の現状と将来の目標

2007-10-23 14:21:20 | 温暖化/オゾン層


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今日は少々息抜きをします。表題に掲げた「一人当たりのCO2の排出量の現状と将来の目標」に関する3つの図をご紹介します。あえてコメントもしません。3つの図を見くらべてご自身で考え、過去のブログ関連記事を見つければ新しい発見があると思います。




ドイツの首相が提示した「2050年の一人当たり温室効果ガスの排出目標(温室効果ガスとCO2は必ずしも同じではありませんが、CO2換算しますと温室効果ガスの90%以上がCO2ですので、おおよその目安としてCO2と考えてもよいと思います)2トン、先進国の排出量の現状、日本の9.7トン(2003年時)スウェーデンの5.9トン(2003年時)、途上国の排出量の現状などの数字を比較検討し、想像力をかき立てて見てください。2005年のCO2排出量をベースにすれば、日本はさらに2トンから遠ざかり、スウェーデンは2トンに近づくはずです。



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日本の温暖化対策:経産省 vs 環境省、日本経団連 vs 経済同友会

2007-10-17 21:46:27 | 温暖化/オゾン層
 
 
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京都議定書の約束期限2008~2012年を目前にして、日本の温暖化対策は、いまなお混乱し、迷走し続けています。今朝の朝日新聞に日本の温暖化対策に関連し3つの記事がありました。まず、次の記事をご覧ください。


この記事の数日前に、環境大臣と経産省事務次官がそれぞれの記者会見でそれぞれの省の主張を繰り広げていました。上の記事の表題にある「環境税バトル」とは下の記事で報じられているような内容のものです。


日本の経産省が懸念を示している「環境税バトル」について検証してみましょう。世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議)は毎年「国際競争力のランキング」を調査し、公表しています。ここでは環境税を導入しているか否かにかかわりなく、多くの指標を用いて「国際的競争力」を総合的に判断しています。スウェーデンはスイス(5.81ポイント)、フィンランド(5.76ポイント)に次いで、世界3位(5.74ポイント)でした。ちなみに、米国は6位(5.61ポイント)で、日本は7位(5.60ポイント)でした。


もう少し詳しく、このランキングの推移を見てみますと、2003年の順位はスウェーデン3位日本11位、2004年はスウェーデン3位日本9位、2005年はスウェーデン7位日本10位、2006年はスウェーデン3位日本7位となっています。なお、世界経済フォーラム(WEF)は10月31日に「国際競争力報告書 2007-2008」を公表する予定です。  


つまり、1991年に二酸化炭素を導入したスウェーデンのほうが国際競争力の低下を懸念して二酸化炭素の導入に反対している日本よりも国際競争力が高くなっているのです。

なぜ、内閣府も、立法府も日本の行政すべてに関連する「行政の縦割り構造」を変えようとしないのでしょうか。この改革なしには、21世紀の新しい難問には対応できず、ますます迷走し、漂流することは間違いないでしょう。

二酸化炭素の削減に関するスウェーデンの基本的な考えをお知らせしましょう。この考えは産業界を含む国民各セクターの間で十分に共有されています。


ですから、次のような要求も出てくるのです。これは米国の環境経営コンサルタントのポール・ホーケンさんが京都のシンポジウムで発言したものです。環境経済・政策学会編「環境保全と企業経営」(東洋経済新報社、2002年10月発行)の45~46ページから引用しました。


このシンポジウムは「環境経営の革新-新産業革命とナチュラル・キャピタリズム-と題して、2001年9月29日/30日の両日、国立京都国際会館で開催された第6回環境経済・政策学会における市民公開シンポジウム(朝日新聞社・後援)で、その詳細な内容が上記の「環境保全と企業経営」に収録されています。

16年前の1991年1月1日に導入された二酸化炭素税はスウェーデンの二酸化炭素の削減に貢献しました。すでに、このブログでも紹介しましたように、1990年と2005年を比較するとスウェーデンの二酸化炭素の年間排出量は7%減少し、経済は36%上昇しています。日本の経産省が懸念するような事態はCO2の導入によって発生してはおりません。日本の国際競争力の低下にはもっと別な大きな要因があると思います。


次の2つの図も今朝の朝日新聞に掲載されていたものです。


ここでは、日本経団連と経済同友会が意見を異にしています。私の視点からは、経済同友会の主張のほうが正論だと思います。



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松下、CO2排出量の目標を「原単位」ではなく、「総量」に!

2007-10-06 21:18:24 | 温暖化/オゾン層
 

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 ●関連記事 学習会のご案内(10/5) 

 
今朝の朝日新聞が「松下電器産業が国内では10月から、来年1月からは海外を含め世界に294あるすべての生産拠点が、二酸化炭素の排出量を含む23の環境に関するデータを本社に毎月報告。本社が各拠点ごとの達成状況を分析し、課題などを打ち返すことで取り組みを加速させる」と報じています。

この記事で大変好ましいことは、二酸化炭素の排出量の目標をこれまでの「原単位」から 「総量」で規制する方法に変える という点です。その理由は次の記事の青網をかけたところに書いてあります。


経団連加盟の他企業も松下電器産業と同じように、 「原単位」から「総量」の規制に転換すれば、日本全体のCO2削減に実効性が出てくるでしょう。

私は積水化学工業(株)の「環境レポート 2002年」に第三者審査報告書の委員の1人としてかかわりましたが、その時も、下の図にあるように、 「省エネ、CO2排出量に対する判断基準は総量の削減を主とし、原単位の削減を従とする」と主張しました。この点は小林委員(東京電力の理事)との対立点でした。

CO2の排出量の目標を「原単位」にするか「総量」にするかは今なお、企業人と私の対立点です。上の図の「国際鉄鋼協会も削減目標 12年までに設定」をご覧ください。こちらは排出の総量ではなく「粗鋼生産量1トンあたりの排出量(これがいわゆる「原単位」と呼ばれるものです)を目標とするのが特徴」とあります。次の関連記事をご覧ください。私の主張がご理解いただけるでしょうし、今回の松下の「総量」を目標値にするという判断が適切であることがおわかりいただけるでしょう



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緑の福祉国家15 気候変動への対応④(1/26)

私の環境論20 環境問題を考える際の7つのキーポイント(2/3)

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温室効果ガス「総量規制で」(7/29)



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地球温暖化に対する日本の「政治の意識(認識)」と「行政の意識(認識)」

2007-09-29 12:29:12 | 温暖化/オゾン層


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昨日のブログ「今なお低い政治家の環境意識」で、去る9月24日の地球温暖化について話し合う国連のハイレベル会合に森喜朗元首相が首相特使として、そして、1992年の地球サミットでは当時の宮沢喜一首相に代わって、中村正三郎環境庁長官が代理出席したことを書きました。

今日の朝日新聞の朝刊は「変転 経済17 証言でたどる同時代史」と題する連載記事の中で「京都議定書」を大きく取り上げています。記事のリードの部分は、次のように、私には大変納得のいく記述です。

地球の温暖化防止をめざす京都議定書は10年前に採択された。気候変動枠組条約の第3回締約国会議(温暖化防止京都会議)。議長国の日本が温暖化に立ち向かう覚悟と戦略を持たずに右往左往するなか、欧米の主導で数値目標が決まった。そんな覚悟と戦略の欠落は「ポスト京都」を議論するいまも続いている。(編集委員・辻陽明)

記事そのものは、皆さんに読んでいただくとして、この記事には当時の温暖化防止京都会議の議長であられた元環境庁長官・大木浩さんの証言が添えられています。ここでも、環境問題に対する当時の政治家の意識をうかがい知ることができます。


もう一つ、日本の温室効果ガス排出量に関するわかりやすい図が添えられています。

「森林吸収などで5.4%分確保」とありますが、5.4%のうち森林吸収分が3.9%を占めています。

こちらは「政治の意識(認識)」というよりも、政策に携わっている「行政の意識(認識)」と言ってよいでしょう。

この数字を意識しながら、昨日のブログで掲げた欧州NGOの日本政府に対する批判記事を読めば、日本の姿勢が非難される理由を理解できるでしょうし、また、なぜ日本の温室効果ガスが削減できないかも明らかでしょう。次の図はスウェーデンが考える二酸化炭素削減シナリオの背景にある基本的な考え方です。ただし、スウェーデンはEU加盟国としてEU全体の温室ガス削減プログラムを支えているわけですから、スウェーデン国内のCO2削減のために「排出量取引」には期待しませんが、EU全体の温室効果削減のために協力するために「EUの排出量取引」に参加しています。


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今なお低い日本の政治家の「環境問題に対する意識」、 1992年の「地球サミット」は、その後は?

2007-09-28 23:41:33 | 温暖化/オゾン層


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9月25日のブログの最後のところで、「国連では、24日朝から約160カ国の代表が地球温暖化問題について話し合う国連のハイレベル会合が国連本部ではじまりました。今日の夕刊によれば、このハイレベル会合は24日夜(日本時間25日朝)閉幕したそうです」と書きました。

今日の朝日新聞が「社説」で、このハイレベル会合における日本の様子を解説しています。ウィキペディアによれば、「社説とは、一般には社としての立場・意見の表明。最近の時事・国際問題など、注目されるニュースの中から毎日1、2項目ずつ取り上げて、新聞社の論説員委員(地方新聞の一部は共同通信社、時事通信社などニュース配信の通信社の論説委員・編集委員)がその背景を解説するとともに、解説者の主張や考えを掲載するものである」とのことです。私もそのような意味でこの社説を読みました。皆さんも読んでみてください。


テーマは「脱温暖化」と明快です。そして、主張は「消極派」になっては困る、とこれまた明快です。

上の社説の青網をかけた部分「今回、森元首相が最も力点を置いたのは、省エネルギーなどの技術力が大切だということだ」については、私はその通りだと思いますが、私は常々「日本の省エネの認識」に疑問を感じており、このブログでも取り上げたことがあります。

関連記事

日本はほんとうに「省エネ」国家なのか(3/17)

原発を考える⑩ 「持続可能な社会」のエネルギー体系とは(4/19)


そして、赤網をかけた部分が「困る部分」だと思います。2番目の赤網をかけたところに、「積極派は欧州、消極派は米豪、カナダと日本である。そんな構図が定着してしまった」とありますが、このことは何も今に始まったことではないのです。



15年前の1992年の地球サミットでもそうでしたし、その後の一連の地球温暖化防止会議でも世界のNGOの間では日本は「消極派」という烙印を押されていました。

次の関連記事をご覧ください。






1992年の地球サミットでは、上の記事にあるように、当時の宮沢喜一首相は出席せず首相代理として当時の中村正三郎環境庁長官(国務大臣 地球環境問題担当)が出席しました。このことを平成5年版「環境白書」は、次のように書いています。

X X X X X 
地球サミットには、我が国から中村環境庁長官(当時)を政府代表とする代表団が参加した。宮沢総理大臣は出席できなかったものの、総理演説は公式記録として会場で配布され、その中で、我が国は1992年度からの5年間に環境分野の政府開発援助を9千億~1兆円を目途に大幅に拡充強化すること等、我が国が地球環境保全に重要な役割を担う決意であることを表明した。

また、6月5日には、中村環境庁長官が政府代表演説を行い、我が国の過去の経験からみて環境保全と経済発展の両立は可能であり、我が国としても地球温暖化対策を始めとして地球環境問題の解決に向け最大限の努力をすることを表明した。
X X X X X 

ここには、当時の宮沢首相が出席できなかったとは書いてありますが、その理由は書いてありません。当時は、国会で「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法、いわゆるPKO法、1992年6月に制定) が審議中のため、出席しなかったのです




さらに、日本の困った状況は続きます。




去る9月24日から始まった、約160カ国の代表が地球温暖化問題について話し合う国連のハイレベル会合はこのテーマに絞った会合としては過去最大規模で、70人以上の首脳が参加し、日本からは森喜朗元首相が福田康夫首相の特使として演説を行ったそうです。


このようことから、35年前の1972年の「第1回国連人間環境会議」(ストックホルム会議)に始まり、現在では21世紀最大の問題と認識されるに到った「環境問題」は、日本の政治にとっては今なお、優先順位が低いことがうかがえます。

このように、地球温暖化に象徴される21世紀最大の問題である「環境問題」に対して、日本のリーダーの関心が極めて薄いということは2005年6月14日付けの讀賣新聞の世論調査の結果が示すように日本の市民の「環境問題への関心」が薄いことによるのかもしれません。


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社会的な合意形成⑥ 科学者と政治家の役割(3/5) 

国連事務総長 温暖化「最重要の課題」(8/19)

2002年2月4日の「小泉首相の施政方針演説」(9/12) 



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代替フロンの一つHCFCの規制 途上国で10年前倒し 

2007-09-23 19:28:12 | 温暖化/オゾン層


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今年2007年は、1987年9月にオゾン層保護のためのモントリオール議定書が採択されて20年を迎えます。カナダのモントリオールでは9月17日から21日かけて締約国会議が開かれました。

9月18日付けの毎日新聞がよくまとまった関連記事を書いています。この記事の中にこの問題の全体像を理解するのに役立つ2つの表が掲載されていました。

 


昨日の朝日新聞の夕刊が、「モントリオール議定書」の締約国会議で21日、代替フロンの一つ「HCFC」 (ハイドロクロロフルオロカーボン)の規制の前倒しなどで合意したと報じています。



途上国はこれまで2040年までに全廃することになっていましたが、10年早め、09~10年の平均を基準として13年に生産・消費量を凍結、30年までに全廃することになり、先進国2020年までの全廃に向けて削減度合いを強めることで妥協が成立したそうです。

この分野でも、日本とスウェーデンの対応にはかなりの時間的落差があります。下の関連記事の2つ目に両国の冷蔵庫への対応事例が書かれています。上の図が示す「オゾン層保護対策の流れ」に沿って対応事例を見れば、その状況がご理解できるはずです。

関連記事

緑の福祉国家18 オゾン層保護への対応①(2/5)

緑の福祉国家19 オゾン層保護への対応②(2/6)

オゾン層保護に向けて(2/7 )



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国連事務総長 温暖化「最重要の課題」

2007-08-19 23:10:06 | 温暖化/オゾン層


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今朝の朝日新聞の一面トップの記事を見て、「わが意を得たり」という感じがひしひしと迫ってきました。

この記事で、国連事務総長は「国連の歴史で最も重要な取り組みの一つだ」と語り、「全人類が例外なく影響を受ける安全保障の問題であるとの認識を表明」しました。

このことは私の長年の主張でした。

この図では「環境問題」となっていますが、 「気候変動(地球温暖化)」はその象徴です。


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私の環境論14 環境問題は経済の「目的外の結果の蓄積」 

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そして、それはスウェーデンの主張でもありました。




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温室効果ガス 「総量規制で」

2007-07-29 22:01:13 | 温暖化/オゾン層


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7月26日の朝日新聞に次の記事がありました。

原発については、4月10日から4月23日まで12回にわたって私の考えを書き込みましたので、興味のある方はそれらを参照してください。とりあえず、4月22日のブログをあげておきましょう。

今回、私が興味を持ったのは「温暖化対策 原発頼み」という大きな見出しではなく、「温室効果ガス『総量規制で』 同友会代表幹事」という小さな見出しの記事です。この記事を拡大してみましょう。

経済同友会・代表幹事の桜井正光さんは、温室効果ガスの削減方法について、「絶対に総量規制。絶対に総量規制。絶対に総量規制。と述べています。そして、「・・・・・最初に総量があって初めて原単位(の削減)だ」と強調した、とこの記事は書いています。

この桜井さんのお考えはその通りなのですが、不思議なことに日本では、経団連も経産省(元通産省)も、そして多くの企業もその環境報告書を見れば明らかなように、「原単位を主に、総量を従」としてきました。

97年の京都議定書は実質的には「温室効果ガスの総量」を規制したものですが、産業界と通産省の強い意向で、政府は「原単位」を優先しました。その結果が現在の結果(90年比+8%弱)となってあらわれています。

関連記事

あの時の決定が日本の「地球温暖化対策」を悪化させた

緑の福祉国家15 「気候変動」への対応④


同じように、日本では「効率化」「省エネ」も混同しています。 




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