外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

地デジ移行に思う

2011-07-25 18:15:48 | 社会全般
昨日をもって、一部の被災地を除いて、テレビのアナログ放送が終了しました。

日本全国の受像機が、一斉に高品質な画面へと移行するわけです。
したがって、美しい画面への期待や昂ぶりが、もっと社会全体にあってもよさそうに思えるのですが、実際には違いました。
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例えてみれば、自動車運転免許証が、パウチ形式からICカード形式に切り替わったようなものといったところでしょうか。

運転免許証がICカード形式に切り替わっても、運転できる車両タイプが増えるわけではありません。

同じように、テレビが地デジに移行しても、画質は向上するものの、視聴可能なチャンネル自体が増えるわけではありません。

テレビというメディアには「ながら族」的な利用形態が少なくありません。
すなわち家事をしながら、
出勤の支度をしながら、
あるいはラーメン屋さんのお客さんが食事しながら、
時折テレビ画面をチラリと観るといった具合です。

このような利用形態では、画質の優劣は殆ど問題となりません。
白黒テレビでも十分に用が足りるといっても、差し支えないかも知れません。
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テレビ業界としては、地上波、BS、CS等々と多様化してきた放送の形態ならびに料金設定を、時流に合わせて抜本的に見直す絶好のチャンスを逃したと私には思えます。

ここ7、8年で、テレビ業界の営業収入は数千億円も減少。
この減収額は、テレビのキー局一つが消滅したのと同じ金額に相当するとのことです。

テレビ局が流す番組やCMを、受信料不要の視聴者が受け身で観るという「ながら族」向け放送は、先細りするしかありませんから、狭義のテレビ業界は縮小均衡を目指すしかないでしょう。

視聴者が興味を抱くコンテンツを自ら選択し、個々の視聴者にとって最適な媒体を通じてリーズナブルな料金を支払って取得し、自分の選んだ時間帯に観る。
この時代の流れは止めようがありません。
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別の見方をすれば、受信料の取れない地上波テレビは、「ながら族」に焦点を絞り込み、徹底的に安上がりな運営とするのが理に適っているともいえます。

現在の地上波テレビは、定時のニュース以外は、バラエティーとCMの洪水です。
しかし、現行のビジネスモデルを前提にすると、現在の安普請な番組構成こそが、テレビ事業者の立場からは実は最適のものなのかも知れません。
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