酔眼独語 

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イラン大統領選

2009-06-15 05:18:55 | Weblog
 イラン大統領選挙は「予想通り」現職のアフマディネジャドが圧勝した。改革派とされ、一部メディアが「激しく追い込んでいる」と伝えた元首相のムサビは3割前後の支持にとどまった。

 《イランのマハスーリ内相は13日午後、イラン大統領選挙の最終開票結果を発表、アハマディネジャド大統領が63%を獲得し、予想外の大差で再選が決まった。改革派のムサビ元首相は34%だった。ムサビ氏は同日、選挙での不正行為に抗議する声明を発表。首都テヘランではムサビ氏支持者が警察と衝突するなどの混乱も発生、最高指導者ハメネイ師は結果を受け入れるよう求める声明を出して事態収拾に乗り出した。

 投票率はイスラム革命後の大統領選挙で最高となる85%。2450万票に達したアハマディネジャド氏の得票数も過去最高。対外協調を訴えたムサビ氏は変化を求める都市部の若年層の強い支持を得たが、アハマディネジャド氏は積極的な「ばらまき」策や「強いイラン」強調で農村や低所得層の支持を固めた》=日経NETT=

 国内メディアは前半戦では「現職の圧勝は動かない」と報じていた。ところが6月に入り、投票日が近づくにつれ「ムサビ猛追」「大接戦」「決選投票も」と書きっぷりが変わってくる。

 今の保守、強硬政権に対して都市部のインテリ層などを中心に反発が広がっているのは事実だろう。だが、地方の貧困層は別だ。特派員連中が付き合うのはインテリである。考え方が自分に近いこの層に共感を感じて不思議はない。しかも、米国が結果を注視する選挙だ。こういう時の報道にはバイアスが掛かり易い。

 《米国のバイデン副大統領は14日、保守強硬派のアハマディネジャド大統領が再選を果たしたイラン大統領選について、詳細な調査結果を待ちたいとしながらも「疑問を抱いている」とし、不正などがなかったかを注視していくと述べた。同日放映のNBCテレビの番組で語った。

 バイデン副大統領はアハマディネジャド大統領が支持基盤の弱い都市部でも高い得票率を示しているなど不自然な点があると指摘。クリントン国務長官も13日、訪問先のカナダで「米国は選挙結果がイラン国民の願望を正しく反映するように期待している」と述べ、票集計などでの不正の疑いを晴らすようイラン当局に求めた》=共同=(共同はアハマディネジャドと表記している)

 選挙の一部に不正があったのは確かだろう。米国の大統領選挙だっておかしな現象が何回も起きている。イラン程度の国で、完全に民主的で公正な選挙などあると考えるほうがおかしい。だが、当落を覆すほどの不正はなかったのではないか。生活が困窮する中での「ばら撒き効果」は大きいからだ。

 途上国の政情や選挙は、その国の国民目線で見ないと状況を見誤ることがある。タイのタクシンが、なぜいまだにあれほどの影響力を保持しているのか。核心をえぐったレポートは見たことがない。

 イラン情勢は、北と並ぶ緊張要因だ。そこからの報道がねじれていては困る。目をしっかり見開いて取材してほしい。

 
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