酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

盲目の天才音楽家たち

2009-06-09 06:02:55 | Weblog
 二十歳の全盲ピアニストがクライバーン・コンクールで優勝した。寒々したニュースや政治のバカバカしさが幅を利かせる中で、こういう知らせはうれしい。 
  
 《日本の関係者に入った連絡によると、米テキサス州フォートワースで開かれた第13回バン・クライバーン国際ピアノコンクールで7日(日本時間8日)、盲目の日本人ピアニスト、辻井伸行さん(20)が優勝した。中国人ピアニストと並んでの第1位だった。

 1962年にスタートした同コンクールでの日本人の優勝は初めて。同コンクールで日本人最高位は69年の野島稔さんの第2位。

 辻井さんは東京都生まれ。生まれつきの全盲だったが、幼少期に音楽を始めた。

 先月31日、日本人としては40年ぶりに決勝(6人)に進出。今月4日に始まった決勝の演奏では、ショパンのピアノ協奏曲第1番、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番などに挑んだ》=共同=

 楽器を操れる人物は、それだけですごいと思う。まして、生まれながら視力がない人が…。でも、目が見えないと音への感覚は鋭くなる。風を感じる力や足の裏の感覚も鋭い。盲人のランナーとジョギングをしていて、驚いたことがある。

 視力障害者はすべて天才的だ。なかでも音楽家が目立つ(ように感じる)。日本の検校(盲目の官僚の最高位)は琵琶や筝曲の始祖とされる。現代筝曲の草分け宮城道雄もこの系譜に属する。三味線では盲目の瞽女たちや高橋竹山らが知られる。

 バイオリニストの和波孝禧の映画に感動したのはいつだったろう。

 ジャズの世界では盲目のプレーヤーは一種の神話だ。ローランド・カーク、ハンス・フォスター、レイ・チャールズ…。数え上げればきりがない。

 これら盲目の天才たちが、伝説になっているのはテクニックや音量だけではなく、そこに魂のほとばしりを感じるからだろう。見えないからこそ、神が見える。神の声が聞こえる。演奏している姿や曲からそれを感じるのだ。

 辻井君にもぜひその域に達してほしい。味が出るのはまだ先のことだろうが、期待は大きい。

 
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