酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

北は馬鹿なら日本はアホだ

2009-03-11 05:02:20 | Weblog
 北朝鮮の長距離ミサイル発射をめぐって、日朝の前哨戦が活発化してきた。売り言葉に買い言葉みたいなやり取りには笑ってしまうが、そもそもこの騒動はどこが仕掛けたものなのか。
 


 《【ワシントン8日聯合ニュース】米海軍は北朝鮮のミサイル攻撃に備えるため、弾道ミサイル防衛(BMD)能力を備えたイージス艦18隻のうち16隻を太平洋地域に集中的に配置していると、米軍事専門誌ディフェンス・ニュース(電子版)が8日に伝えた。
 それによると、海軍はミサイル攻撃に備え、3隻の巡洋艦と15隻の駆逐艦を、敵の弾道ミサイルを追跡・迎撃できるBMD能力を持たせるよう性能改善し運用中だ。このうち16隻が太平洋地域に、2隻が大西洋地域に配置されているという。こうした配置は、この計画が当初、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃に備え推進されたためだとしている》=1月9日・読売online=


 今年に入って最初に現れた北ミサイル関連の記事である。まず米国が「迎撃の準備は整いましたよ」とサインを送ったと見ることができる。実際に北側の動きが始まるのは、それから数週間後だ。



 《韓米の情報当局は、北朝鮮が平安北道鉄山郡東倉里のミサイル基地で長距離弾道ミサイル「テポドン2号」(射程距離4300~6000キロメートル)を発射しようとする動きを把握し、綿密に監視を続けている。
 政府消息筋は3日、政府当局が先ごろ衛星を通じ平安北道のある軍需工場で円筒型の物体とみられる部品を載せた列車が東倉里に向かっているのをとらえたとし、この物体が長いことからミサイルと推定されると明らかにした。また、この物体がミサイルだとすればテポドン2号の可能性が高く、発射台にミサイルを装着する期間などを考慮すると1~2か月以内に発射準備を終える可能性があると述べた》=2月9日・韓国聯合ニュース=

 北が自らの口でミサイルに言及するのはさらに後だ。あれだけ騒いでくれているんだから、何かコメントしないと悪いかな、ってんでこう言う。


 《【ソウル=水沼啓子】北朝鮮の朝鮮中央通信は16日、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射準備をしているという米韓などの指摘に対して「でたらめ」と否定し、「われわれに対する冒涜(ぼうとく)であり挑発」と反論した。その一方で「宇宙開発はわれわれの自主的権利であり、現実的発展の要求。わが国で何が打ち上がるかは見ていれば分かるだろう」と指摘、「人工衛星」打ち上げの可能性を示唆した。

 北朝鮮は1998年8月に弾道ミサイル「テポドン1号」を発射した際も、国際社会からの非難をかわすため、人工衛星「光明星1号」の打ち上げだと主張しており、今回も同様の主張をするものとみられる。

 北朝鮮メディアが、今回の長距離弾道ミサイル発射準備説について言及するのは初めて》=2月16日・産経=


 それから一ヵ月後、自体はだいぶ煮詰まってきたようだ。国際社会の「期待」がここまで高まれば、北も撃ちたくなるだろう。日米は迎撃態勢を整えて待ち構えてくれているとも言う。ということで、次の警告となる。


 《【北京・西岡省二】北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は9日、報道官声明を発表し、同国が長距離弾道ミサイル(北朝鮮は「人工衛星」と主張)を発射して日米韓が迎撃すれば即時に反撃し、3カ国の本拠地に対する「正義の報復打撃戦を開始する」と警告した。朝鮮中央通信が伝えた。日米などの迎撃論への北朝鮮の反応は初めて》=3月9日・毎日jp=



 麻生首相は「日本に直接被害が及ぶ可能性があるということならば、自衛隊法上の対応はできる」と述べ、MDシステムでの迎撃を示唆し、浜田防衛相は「「ロケットであっても制御を失って、わが国に落下する可能性があるとすれば、それに対処するのは当然だ」と強調する。


 「制御を失って日本に落下する」のを見極めてから迎撃できるのか。日米が迎撃を想定しているのは、日本海上空だろう。そこではまだロケットは上昇中であり、この段階で衛星かミサイルかを識別するのは技術的に無理がある。だから、浜田は「衛星でも撃ち落す」と言っているのだ。


 麻生といい浜田といい、言わなくてもいいことをしゃべって得意になっている。こんな連中が「軍最高幹部」とは情けない。

 日本に落ちてくるようなら、北のミサイルであれアメリカの衛星であれ撃ち落さなければならない。当たり前の話だ。ただ、ブースト段階での迎撃となると話は厄介だ。自衛隊の能力では察知は難しいし、国際法上の問題も残る。こういう役割は米軍に任せればいい。


 要は万一に備えるということだ。飛来したら仕留めるだけである。しかし、これを公言したとなると、状況は変わる。①迎撃に失敗するリスク②迎撃できたとしても破片で被害が生じる可能性がある③ブースト段階で迎撃して国際問題になる--。日本が負うリスクはきわめて大きいと考えたほうがいい。麻生や浜田の発言は元気がいいだけで、戦略性がない。


 金正日のおもちゃごっこにまともに付き合うのは、愚の骨頂である。

 
コメント
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