酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

ああ堂々の出陣か

2009-03-14 05:58:09 | Weblog
 ソマリア沖での海賊行為阻止行動を担う海上自衛隊の護衛艦2隻がまもなく呉基地を出港する。出動の根拠は自衛隊法の「海上警備行動」であり、隊員の活動は「警察官職務執行法」に縛られる。

 こじつけの拡大解釈を重ねた挙句の「無法派遣」である。この国の政財界は、そろって「派遣」が大好きらしい。

 広大な海域を2隻でカバーするのは至難の業だ。しかも、銃や砲の使用は禁じられたも同然である。護衛艦が海賊に襲撃され、逃げ回るなどという漫画のような事態もあり得る。他国の民間船が襲われているのを現認しても、新法ができるまでは傍観するしかない。これではでくの坊だ。

 効果的な海賊対策は各国が連携して行動することだ。5隻ぐらいのチームが必要だろう。パトロール、エスコートなど役割分担して事に当たるべきだ。日本は海上保安庁のヘリ搭載型巡視船を派遣して、パトロールと連絡役を担うのがいいだろう。海自艦に比べれば装甲と火器の能力は劣るが、海賊相手に不足はあるまい。乗組員の能力と海上警備行動の錬度では、海保が上回っているのではないか。

 韓国は駆逐艦を単騎で派遣した。これも出したというだけだ。中国は補給艦1隻を含む3隻を出動させている。「アジアチーム」が組めるではないか。中韓両国とは、海賊対策での連携は確認済みだ。こうなれば、余計に海保がいい。海自では集団的自衛権の問題が付きまとう。

 まあしかし、いまさらそんな判断はできないだろう。無法の海自艦が無法の海に放り出される。もって瞑すべし。

 自衛官の中には、第一次イラク派遣部隊の佐藤正久のように、とんでもない使命感を持った人物がいる。海自艦の艦長はどうなのか。「駆けつけ警護を強行して歴史的な武力行使第一陣を担いたい」などと考えているかもしれない。

 「とりあえず派遣」のもとでは何でもありだ。この国の政治状況をそっくり映していておかしい。

 そして、われらが朝日新聞は「海自艦きょう出港」を社説にも書けない。議論がまとまらなかったのか、書く気がないのか。出港を見届けてから書くつもりなのか。朝日の社説は事前に書くケースが多い。それを考えると、13日段階では「書けなかった」ということだろう。容認するにせよ、批判するにせよ、この事態に沈黙する朝日の見識を疑う。これも、八百屋で魚を求めるようなものか。

 かくて、日本はさらに漂流し続ける。
コメント
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