酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

今度は知事が〝投げ出し〟

2009-03-27 04:15:36 | Weblog
 前代未聞の辞意表明だ。静岡県の石川嘉延知事が「木を伐ってくれるなら辞めます」と言ったのである。


 《静岡空港の滑走路近くに航空法の制限を超える立ち木が残って開港が遅れた問題をめぐり、静岡県の石川嘉延知事は25日、臨時の記者会見を開き、任期の途中で辞職する意向を表明した。地権者が立ち木伐採の条件としていた辞職要求を受け入れることによって、滑走路を短縮した暫定運用から「完全開港を実現するのが目的。辞職後の知事選への立候補は「あり得ない」と否定した》=26日付・朝日=


 石川は東大出の自治省キャリアでタカ派の論客として知られる。「富国有徳」などと唱え、女系天皇容認論には強い嫌悪感を示していた人物だ。それが、こんな取引めいたことで知事の座を投げ捨てるという。いくら空港整備が重要だとはいえ、「辞めろ」という要求に屈した形での辞任は論外である。こんなことが前例になれば、公共事業の用地買収などできなくなる。一体何を考えているのか。

 石川の辞意は「引責」とは全く異なる。「完全空港」の人柱になったつもりかもしれないが、職責に対する自覚はどこへいったのか。どんな自治体であれ、施策の遂行には批判や反対は付きものだ。これをどう説得し、まとめていくかが首長の手腕であり責務だ。ところが、石川は違った。

 静岡県は当初、用地買収に当たって、地滑り防止工事のためなどと嘘の説明をしていたという。これが地権者の態度を硬化させたようだ。だからといって、立ち木を人質にした辞職要求に屈していいのか。

 安倍、福田と2代続いた政権投げ出しの影響がここにも及んでいる。トップリーダーに全身全霊を尽くして職務を全うする気概がなくてどうする。「困ったらやめていい」は小学生レベルの話である。

辞めるべき人は辞めないで、辞めてはいけない人が職を投げ出す。「己を知る」人物が払底していることを憂えるのみである。
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