酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「救出する知事の会」って何

2009-01-25 06:00:05 | Weblog
 拉致被害者の一刻も早い救出を願わない国民は極めて少数派だろう。だからといって、全国47都道府県の知事連中がみんなでお手てつないで「救出する知事の会」をつくるなんて、ちょっと気持ちが悪い。

 昨年末段階でただ一人参加を見合わせていた達曽拓也岩手県知事が、世論の批判に押される格好ここに来て加入申し込みをしたという。 

 《昨年11月に結成された「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」(会長・石原慎太郎東京都知事)に47都道府県知事の中でただひとり参加せず、批判を受けていた達増拓也知事が21日、一転して参加したことが分かった。

 19日には、「全知事の参加が必要なら、全国知事会として取り組むべきだ」などと反論していたが、わずか2日後の方針転換に。県職員からは「そんなことなら、最初から入会しておけばよかったのに……」との声も漏れる。

 達増知事の不参加をめぐっては、上田清司・埼玉県知事が「外務省出身だから、外交は国の専管事項という狭い法解釈になっているのではないか」「そんなに古巣に気を使うことはない。そんな狭い根性でどうするんだ」などと批判していた。

 これに対し、達増知事は19日の記者会見で「有志の会に参加しないことについてとやかくいうのはどうかと思う」と反論。「私は岩手県内で県民とこの問題に取り組んでいる」などと述べた。

 参加に転じたことについて、県幹部の一人は「全国で自分だけ入っていないというのはまずいと考えたのではないか」と推し量る。

 知事の会事務局を置く新潟県国際課は「有志で始めた会に全国の知事に入ってもらって、大変ありがたい。拉致問題解決に向けた大きな力になるだろう」と話している》=朝日岩手版=

 この会の趣旨は事務局がある新潟県のホームページによると以下の通りだ。

《「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」について 2009年01月13日 我が国においては、北朝鮮に拉致された被害者17名が日本政府に認定されています。

 また、北朝鮮による拉致の疑いが排除できない特定失踪者といわれる方々が相当数存在している状況にあります。

 残された御家族の皆様は、一日も早い拉致事件の解決を願い、被害者の方々の帰国を一日千秋の思いで待ち望み、解決に向けての活動を日々続けておられます。

 そこで、北朝鮮に拉致された被害者を救出するために必要な支援を行うことを目的とし、平成20年11月27日に石原慎太郎東京都知事、泉田裕彦新潟県知事、上田清司埼玉県知事、堂本暁子千葉県知事及び平井伸治鳥取県知事が発起人となり、「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」を結成しました。

 その後、全国の都道府県知事に参加を呼びかけたところ、46都道府県知事に御賛同をいただきました。
 1月13日には、日本外国特派員協会で共同記者会見を実施し、北朝鮮へのメッセージなどを発表しました。

 「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」は1月21日現在で、47都道府県知事から参加をいただいております 》

 救出への必要な支援の中身は、外国特派員協会での会見やオバマ米大統領に書簡を送るといったことだ。何もしないよりはましという程度だろう。
 
 会に加わるかどうかは言うまでもなく知事本人の自由意志だ。ところが、達曽は県内外の批判に恐れをなして、あっさり入会に転じた。どうしてこの国の政治家はこうもぶれるのか。

 それにしても、行動派を自任しているはずの石原慎太郎がメッセージ程度でお茶を濁していていいのか。自分でも「パフォーマンスだけだなあ」と感じているに違いない。オバマに手紙を出すより、麻生の尻を叩くべきではないか。泉田らを引き連れてピョンヤンに乗り込んでもいい。
 
 達曽の加入で全47知事がそろった。達曽がかつて言っていた「全国知事会として取り組めばいい」状況が整った。機関決定して有志の会から知事会の事業に格上げしたらどうか。

 しかし、おそらくそうはなるまい。拉致問題への取り組みは「知事個人の活動」と考えられるからだ。顔を使い分けるのが政治家ですからね。
コメント
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