日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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義理が廃ればこの世は闇だ。

2010年02月11日 09時24分58秒 | 日記
ここ三年ほどのあいだ親しく付き合っていた人とついこのごろ交わりを断ちました。愛想が尽きたんです。
事の次第を書きますから、私のことを尻の穴の小さい野郎だと思ったらどうぞ哂ってやってください。

ネットで知り合って親しくしていた男がいました。俳優の菅原文太に似た風貌で名前は伊達智之介。勿論本名ではありませんが苗字が示すとおり仙台在住の好漢で仕事の鬼のように東北六県を駆け巡っていました。
実に気遣いをする男で仙台名物の牛タンやら笹蒲鉾、八戸からは帆立貝、南部煎餅の落花生入りが好きだといえば間髪を入れず送ってくれました。当然、私もこちらの名物やら何やらでお返しをしました。智さんと私は実に良い関係でした。
その智さんが雪の青森のトンネルの中で衝突事故を起こし亡くなってしまったのは丁度今から三年前の2007年2月15日のことです。今日は11日ですから間もなく命日ですね。
その智さんを偲ぶ会で出会ったのが件の人物なんです。年齢は五十代半ばを過ぎたあたりで朴訥とした人柄の決して悪い人間ではないと思いました。
彼の職業は調理師で、旅は好きだけれど静岡へは一度も行ったことがないというから、静岡へおいでの節にはご連絡いただければ私がご案内しますよと応じました。
次の年の春に彼から静岡へ来るという連絡があったので予ての約束どおりに駅まで車で迎えにいって、名所旧跡を案内して巡り、美味いものを食わせ、夜は居酒屋で接待しました。
このときは市内のビジネスホテルへ泊まってもらって翌日も車で市内を案内してから駅で見送りました。
この年の秋に再び静岡へ来るというので、また駅まで迎えに行って、観光とグルメを案内しました。二度目の時は私の自宅へ泊まってもらいました。
彼は健啖家で酒豪です。鮨は二人前ぺろりと平らげて追加のアナゴ一匹を食べ、更に安倍川餅も辛み餅もしっかり食べました。
居酒屋では宵の口から深夜までじっくり腰を据えビールから始まって日本酒、焼酎とつぎつぎに飲むのです。
彼が静岡へ来たときの飲食費をはじめ拝観料や入場料などすべての経費は私が負担しました。往復の旅費とホテル代だけが彼の負担です。
ここまでの話でしたら私がお招きした結果のことですから何の不満もありませんでした。
昨年の秋に今度は私が彼の本拠地へ赴きました。駅まで迎えに来てくれたのまでは私がしたのと同じでした。しかし以後の移動はすべて電車やタクシー利用で費用は飲食費も含めてすべて割り勘でした。
彼には自動車運転免許がなくて、住まいはアパートで鰥夫暮らしをしているために、とても私を自宅へ案内できるような状態ではないということのようでした。
あちらこちらと案内はしていただきましたが結局ラーメン一杯もご馳走になることなく静岡へ帰ってきました。だからといって絶交したわけではありません。
彼は今年になってから急に私の個人的な友人に会いたいなどと言い出したのです。その友人は女性ですが私は相手のご主人とも親しくしていただいております。つまり夫婦同士で行ったり来たりのお付き合いなんです。
彼が俳人にして陶芸家で茶人の彼女とあってどうしようというのか魂胆が解りませんでした。
彼と親しくすることによってまったく関係のない私の友人にまで迷惑をかけるのが忍びないので彼との親交を断ったのです。
今にして思えば、彼女に会いたいというのは口実で、多分、また静岡へ来たいというシグナルだったんだと思います。
私が彼を友人宅へ同道すれば間違いなく歓待していただけるでしょう。しかし、他人の家を訪問するのには気の利いた手土産が必要だろうし、おもてなしに対して後々の義理も嵩みます。
彼はそうしたことに気遣いできるような人物ではないのです。それを証拠に私に対する一宿一飯の義理を欠いた人なのです。私は損得勘定をしているのではありません。損得勘定するくらいなら最初から招待などはしないし、二度も続けて歓待したりなどしません。
私が彼に失望したのはお金の多寡の問題ではなくて一宿一飯の義理を欠いたことに対してなのです。
私には今から三十数年前に一宿一飯の恩義に与かった人がいます。栃木県宇都宮の自宅に泊めてもらって飲食のもてなしをうけました。
相手は私が現場で飯場暮らしをしていた頃の先輩です。私はその恩義に報いるため今でも盆暮れの挨拶をしています。
男同士の付き合いというものは斯くあるべきだと私は思っております。
コメント
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