杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

後宮の烏6

2022年04月23日 | 

白川紺子(著) 集英社オレンジ文庫

寿雪の銀髪が、衆目にさらされた。その銀髪こそが、前王朝の血を引く証だった。高峻が策をもって隠してきた寿雪の秘密がしられてしまったのだ。しかも寿雪の魂は何処かへと去り、その肉体に宿っているのは“烏”。加えて衣斯哈の行方も不明となり、状況は緊迫の度合いを高める。そんな中、寿雪の魂を呼び戻すためには肉親の存在が必要だという情報がもたらされるが……?(文庫あらすじ紹介より)

 

・血の縁

香薔の封印を破ることには成功しますが、寿雪の魂は回廊星河に流されてしまいます。寿雪が欒王朝の生き残りであることが知られ、高峻は宰相の明允ら寿雪の存在を危惧する者たちを何とか納得させて危機を脱します。花娘ら後宮の妃たちの書状や冬官の千里の弁も大いに助けとなりますが、それも寿雪の人柄故ですね 

寿雪の体には烏漣娘娘がいるわけですが、何とも幼いその思考に先が思いやられるような。 梟にとってはそれでも、いや、だからこそ助けたくなる妹なんでしょう。馬鹿な子ほど可愛いっていうものね。杼王、香薔と何度も騙されて猜疑心剥き出しだけど、半身を探し出すと高峻が約束したことで寿雪の魂を引き戻すには血縁者の協力が要ると教えます。異母兄である衛青は、高峻への忠義心と寿雪への肉親の情の狭間で悩んだ末、遂に自らと寿雪の関係を高峻に告白します。

 

・冬の咎人

回廊星河に流された寿雪が最初の烏妃である香薔と出会います。欒王朝の始祖である欒夕(香薔は字名の晁華と呼んでいます)や烏漣娘娘との関係が明かされますが、愛する晁華のために行動をエスカレートさせた結果逆に疎まれることになったと自覚できずに、やがて転生してくるであろう晁華を待ち続けているなんて・・・恐すぎる!!ちなみに回廊星河は幽宮と楽宮を繋いでいて、再生を待つ魂が廻る場所なんだそう。香薔といい、烏漣娘娘といい、あまりにも短絡的で幼稚ですが、どちらも孤独を何よりも恐れているんですね。

寿雪が目覚めた時、手を握っていたのは衛青です。でもその後は寿雪に対して相変わらずの態度なのよね

 

・海より来たりて

董千里と令孤之季は、高峻の命を受けて界島を訪れます。案内人の楪を通して序氏、昭氏に島の歴史、かつてこの島で起きた大災害の真相が語られます。千年前に起きた、鼈の神と烏漣娘娘の戦いにより、海底火山が噴火した客観的事実が明らかになるの。千里は王朝の暗部を押し付けてきた歴代の烏妃たちへ悔恨の思いがあり、寿雪を自らの命に代えても救いたいと決意しています。亡き妹を殺した白雷の姿をこの島で見かけた令孤之季は、憎しみを捨てきれないことへの悩みを千里に打ち明けます。島に起こり始めた異変は鼈の神の仕業のようで、海底火山を調査に出かけた二人は突然の噴火に巻き込まれ海に投げ出されますが、浜辺に打ち上げられた彼らは海燕子たちに助けられます。この浜辺には白雷とともに衣斯哈や阿兪拉も身を寄せているんですよね。さてさて、どう繋がっていくのかな。

これまでは互いに通じることができなかった寿雪と烏漣娘娘でしたが、夜に対話ができるようになりました。とはいえ、半身を取り戻した烏漣娘娘が、再び鼈の神と戦いを始める気だと知り、寿雪の悩みの種がまた増えてしまいます。 更に界島が神々の領域との境界にあると知った彼女は自ら出向く決意をするのね。

・血の鎖

沙那賣家の長兄・晨も高峻の命で父親の同行を探るため里帰り。父の朝陽への反抗心を抱える彼は、真っ先に亡き母の乳母だった浣紗の元に向かいます。彼にとっては母代わりの慕わしい人物。そこに次男の亘がやってきて家に連れ戻し、父は晨に分家の娘との縁談を宣言します。晨は父が亘を後継者にするのではないかと恐れと期待がないまぜになった感情を抱いていましたが、真相は・・・絶対的権力を持つ朝陽の秘密が暴かれ呆然とする晨。そうだよな~~そりゃ逃げ出すよな~~!ってわけで、賀州を出て界島で船を待つ彼に声をかけたのは寿雪!!まさに界島が以降の舞台になりそうですね。まさか、高峻まで追いかけて来ないよね

一方、父の意を受け北辺山脈へ向かった亘は、羊舌慈恵に出会います。厳しい北の山脈に不似合いな軽装の亘を見兼ねて声を掛けた羊舌慈恵ですが、もしかしたら亘は敢えて機会を作ったのかも。こちらも政治的な波乱を予感させますが、亘が予想しているように沙那賣家は滅亡に向かっているような 

物語は結末に向かって進んでいるようで、次巻を読むのが待ち遠しいです。

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