杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

追憶の森

2016年10月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年4月29日公開 アメリカ 110分

アメリカ人のアーサー(マシュー・マコノヒー)は死に場所を求め、富士山の北西に広がる青木ヶ原樹海に入っていった。木々が生い茂る森の中を分け入っていくと、タクミ(渡辺謙)という日本人男性と出会う。タクミは妻子のもとへ帰ろうとしているものの、怪我をし寒さに震えていた。タクミを放ってはおけず、アーサーは彼とともに出口を探して歩き回るが、方向感覚を失い、森を抜け出すことができない。自然の厳しさに直面しながらさまよううちに、アーサーはタクミに心を開いていき、彼が樹海へ来た理由を話し始める。(Movie Walkerより)

 

青木ヶ原樹海は自殺の名所として知られていますが、世界的にも有名だったの?ネット効果ですか

妻の死で人生に絶望したアーサーは、死に場所を求めて日本にやってきます。航空チケットはもちろん片道分だけで手荷物もありません。タクシーで青木ヶ原へやってくると、水と薬の入った小瓶だけを持って森に入っていくの。(見るからに不審な外国人を黙って樹海の入口に降ろして帰っていくかな~~タクシー運転手という突込みは止めておこう)

いよいよ場所を定めて決行しようとしたとき、出口を求めて彷徨う日本人男性と遭遇した彼は、行きがかり上一緒に出口を探すことになります。入るのは簡単だったのに、いざ出ようとすると森は容赦なく二人に牙を剥きます。磁石も使えず携帯の電波も届かない中で方向感覚を失い、雨に打たれ水に押し流され怪我をした二人は過酷な状況の中で次第に心を開いて話をするようになるのです。

タクミと名乗るその男性(何故か英語がペラペラ)は、自殺しようと森へ入ったけれど、今では妻子の元へ戻りたいと熱望しています。そんな彼に触発され、アーサーは自分が死のうと思ったいきさつを回想するのです。

アーサーと妻のジョーンは決して穏やかな結婚生活を送っていたわけではありません。夫の(ただ一度の?)浮気を妻は許せず、アルコールと夫への攻撃的な態度で紛らせていて、二人の間には喧嘩が絶えませんでした。しかしジョーンに脳腫瘍が見つかりその関係は一変します。手術が成功し、二人の絆も修復されようかという矢先、妻は交通事故でこの世を去ってしまいます。目の前に見えていた幸せな未来が一瞬で奪われ、アーサーは生きる希望を失ってしまったのでした。

まあ気持ちはわからないでもないが・・・それでわざわざ日本まで来なくてもとも思ってしまうぞアーサーは無神論者の科学者という設定なので、そんな彼がスピリチュアルな世界に死に場所を求めるというのも腑に落ちないのだけど、そうすると作品自体が成り立たないですね

人間、絶望的な状況になると、サバイバルの本能が目を覚ますものらしい。遺体の服を剥ぎ取り、持ち物を利用して飢えと寒さを凌ぎ、衰弱したタクミを残して救助を求めに行くアーサーにはもう死の影はなく生への執着が見えます。

救助されたアーサーは当然タクミの救出を願うのですが、捜索隊はそんな人物はいなかったと言います。

はい、ここで薄々感じていたタクミの正体・・・彼は実体がないのではないかという予感が当たるんですね~~。

私は森で亡くなった人の無念や後悔の念が形をとってアーサーに翻意させたのではないかと思ったのですが、どうやらタクミ=ジョーンということのようです。亡き妻の夫への想いがタクミという形をとって現れ、夫を現世に引き留めたということですね。このような思考は日本人には受け入れられても、当のアメリカではどうだったんでしょうね

非現実的な一種のファンタジーとして観る分には味わい深い作品だと思いました。

 


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