杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

花宵道中

2020年10月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年11月8日公開 102分 R15+

幼少より吉原で生まれ育った朝霧(安達祐実)は、体が火照ると赤い花びらのような痣が浮かび上がることから、「花が咲く」女郎として人気を集めていた。ある日、妹女郎の八津(小篠恵奈)に誘われ縁日へ出かけた朝霧は半次郎(淵上泰史)と出会い、互いの素性も知らず恋に落ちる。後日、馴染み客の吉田屋藤衛門(津田寛治)の宴席で再会するが、二人の関係に気付いた藤衛門が朝霧を身請けしようとする。その目的が朝霧を商売の利益のために利用することだと知った半次郎は、成り行きで藤衛門を殺してしまい・・・。

 

宮木あや子の同名小説を原作に、江戸時代末期の新吉原を舞台に花魁として生きる朝霧が半次郎と出会ったことから大きく運命を変えていく姿が描かれています。

妹分の八津から「姐さん」と慕われる朝霧ですが、童顔の安達祐実が演じると年上には見えないですね でも、横暴な客に五文銭を投げつけて啖呵を切るシーンでは納得の姐さんぶりです 濡れ場など体当たりの演技にはまさに女優魂を見る思いで脱帽でした。

男に捨てられては娘を折檻して八つ当たりする母親を見て育った朝霧(体に浮かぶ「花」は折檻の跡ということでしょう)は、男を信じないことを信条に吉原で生き抜いてきました。母を亡くして行き場のない朝霧を拾ってくれた霧里(高岡早紀)を姉とも慕っていた朝霧は、吉田屋に身請けされた後に亡くなった霧里の最期を気にかけていました。

実は霧里は生き別れ子供の頃に生き別れた半次郎の姉だったということが明かされます。京の染物屋の職人である半次郎が江戸に出てきたのは、姉の消息を知りたいためでもあったのね。

そんな二人は縁日で運命の出会いをします。遊郭で出会う男たちとは一線を画す青年に心乱され想いが募る朝霧の様子は、初恋に胸ときめかせる乙女のようです。ところが、宴席で再会した二人の様子を鋭く察した藤衛門が残酷な仕打ちをします。いくら遊女でもあのように扱われるのはあまりにも酷い!!

藤衛門は半次郎に縁談を持ち掛け、自分は朝霧を身請けしようとします。半次郎は言葉巧みに藤衛門の本音を探り出すのですが、逆上した藤衛門から朝霧を守ろうとして彼を殺めてしまいます。朝霧は彼を逃がしますが、ある夜、朝霧が以前に語っていた「花魁道中」をしたいという夢を叶えるために、自分で染めて誂えた着物と履物を持って戻ってくるの。この時点で二人は死を覚悟しているのだと察せられます。

2人だけの花魁道中と、その後で燃え上がる刹那の逢瀬のシーンがとても美しかったです

冒頭に登場する切れ切れのシーンが、終盤に回収されていきました。

自ら身を投げた朝霧に、もうすぐ年季があけるのに何故?と不思議がる仲間たちでしたが、八津だけは、朝霧がその一生分の情熱を賭けて恋を成就させたことを理解していました。

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