杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

花水木: 東京湾臨海署安積班

2024年04月08日 | 
今野敏(著) ハルキ文庫

五月も終わりかけた東京湾臨海署に喧嘩の被害届が出された。ささいな喧嘩でなぜ、被害届が?疑問を抱く安積班の須田は、事件に不審な臭いを感じ取る。だが、その頃、臨海署管内に殺人事件が発生。殺された被害者からは複数に暴行を受けたらしい痕跡が…。殺人事件の捜査に乗り出す安積たちだったが、須田は、傷害事件を追い続けることに―。それぞれの事件の意外な真相とは!?(「花水木」より)五編を収録した新ベイエリア分署・安積班シリーズ、待望の文庫化。(内容説明より)


この文庫本が出版されたのは2009年(単行本は2007年)ということで、まだお台場が開発途上の頃の話なんですね。TVドラマで佐々木蔵之介が安積を演じた「ハンチョウ」を何作か観た記憶があるのですが、原作を読んだのは初めてかも。

お台場に新設された東京湾臨海署(通称ベイエリア分署)を舞台に安積警部補と部下たちが活躍する警察小説になっています。

安積警部補は刑事課強行犯係係長で、別れた妻との間に娘が一人います。
彼の部下は4人登場します。

須田部長刑事は小太りで動作も緩慢でおよそ刑事らしくない容貌ですが、頭の回転は速く、独特の視点を持つそのひらめきが事件解決に一役買っていて、安積のひそかなお気に入り。

村雨部長刑事は真面目で規律正しい最も刑事らしい刑事なのですが、須田と正反対に黙々と仕事をこなす優等生タイプのため、安積は性格的にソリが合わないと思っています。

黒木巡査は須田の相棒で、精悍な体つきをしていて寡黙な性格です。二人の相性は良くて互いに信頼しています。

一番若い桜井巡査は村雨と組んでいて、その関係はまさに上司と部下に見えますが、案外本人たちは気が合っているようです。

安積の親友?悪友?の速水警部補は、本庁直属の交通機動隊小隊長で部下たちからヘッドと呼ばれ慕われています。

安積は率先して陣頭指揮するタイプではなく、部下に任せながら要所では自分が判断する感じかな。2組の部下たちそれぞれを信頼しているからこそで良いチーム(班)になっています。😀 事件の度に速水がタイミングよく登場し安積に絡んでくるのも楽しい。

本作は5つの小編から成っていますが、特に推理力は必要なく軽く読める感じでした😁  

・花水木
一見関連の無さそうな喧嘩事件と殺人事件でしたが、須田が「ハナミズキの匂い」という被害者の言葉に感じた違和感がきっかけとなり結びつきます。殺人を隠すためにもう一つの「事件」でアリバイ作りをしようとしたのね。

・入梅
コンビニ強盗事件が発生して捜査にあたる中、須田と村雨がそれぞれ感じた引っかかりを元に犯人確保に乗り出す安積班。
上司から村雨に昇進試験の打診を依頼された安積が何とかタイミングを掴んで切り出すのですが、あっさり断られます。それは今の安積班を気に入っているということなんですよね。

・薔薇の色
馴染みのバーに揃った安積・村雨・須田と速水。一同が揃うなんてめったにない。そこで速水が店内に飾られている一輪挿しの薔薇の色の意味を知っているかと3人に問います。須田と村雨が推理を披露しますがそれぞれの個性が出ていて面白い。〆はもちろん安積で見事に解いたご褒美はもちろん貴重なウィスキー😋 

・月齢
蒸し暑いフルムーンのお台場で次々起こる事件に駆り出される安積班。刑事事件にはならず地域課に後始末を頼んだまでは良かったが、今度は「狼男」出現の情報に署全体が振り回されることに。須田の冷静な推理を信じた安積の判断で騒動は沈静します。まさに満月は人の感性を狂わす魔力がある?

・聖夜
日曜のクリスマスイブに傷害事件が発生。加害者は逃走し緊配がかかりますが、被害者までも病院からいなくなり双方を探すはめに。病院着の上にシーツを被った被害者は長髪で髭の容貌もあってキリスト降臨のような効果を安積班にもたらします。
事件解決の後、安積は元妻と娘と久しぶりに食事をすることになるようで・・。

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