杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

第9地区

2010年04月14日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年4月10日公開 アメリカ 111分

今から28年前、南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に巨大な宇宙船が現れた。故障した船内にはグロテスクで不衛生で怠惰なエイリアンたちがいた。難民化した彼らを政府は“第9地区”に囲い込む。そして時が流れスラム化した第9地区をエイリアン管理を受託した民間企業MNU郊外の第10地区に強制移動させようとする。現場責任者に抜擢されたヴィカス(シャールト・コプリー)はエイリアンたちに立ち退きの通達をして回ることになるのだが…。

本年度アカデミー賞で作品賞をはじめとする4部門にノミネートされた話題作ということもあり、グロテスクなエイリアンものではあるけれど興味をそそられました。
もちろん、ドロドロでグチャグチャで昆虫とエビが合体したようなエイリアンの外見はかなりグロイのですが、生理的嫌悪感はむしろ人間の傲慢さの方に強くありました。

舞台が南アというのもアパルトヘイトを連想させますし、エイリアンを使った生体実験や、謎の液体を浴びて体が変化したヴィカスへの人間性を無視した扱いなどは、国家や企業の傲慢さを鋭く風刺しているように思えます。

そもそも、ヴィカス自身がエイリアンに向ける蔑視の態度は、彼がごく一般の感覚を持った人として描かれているだけに人間が根底に持つ差別意識を非常にリアルに映し出している気がしました。

ヴィカスの身に起きた事件を関係者の証言で振り返るドキュメンタリー風な作りさえも、結局全てが他人事であり、観客は傍観者に過ぎないのだと示唆しているの?(^^;だとしたらかなり辛口なテイストですね~。こういうの好きです
もちろん山場ではSF大作並みの派手なアクションがあり、娯楽性も十分でした。

ヴィカスが知り合うエイリアンの科学者クリストファー・ジョンソンの方が知性を感じさせ
人よりも人らしい感情を持っていたのが印象的でした。最後はヴィカスとの間に友情のようなものも生まれます。これ、続編も作れそうな気がする

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