杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

2023年11月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2023年11月23日公開 131分 Rー15

天下統一を掲げる織田信長(加瀬亮)は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを繰り広げていたが、その最中、信長の家臣・荒木村重(遠藤憲一)が反乱を起こし姿を消す。信長は羽柴秀吉(ビートたけし)、明智光秀(西島秀俊)ら家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じる。秀吉の弟・秀長(大森南朋)、軍司・黒田官兵衛(浅野忠信)の策で捕らえられた村重は光秀に引き渡されるが、光秀はなぜか村重を殺さず匿う。村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向け始める。だが、それはすべて仕組まれた罠だった。果たして黒幕は誰なのか?権力争いの行方は?史実を根底から覆す波乱の展開が、“本能寺の変”に向かって動き出す―(公式HPより)


北野作品特有のバイオレンスは好きではないけれど、歴史を扱った作品であること、出演俳優の豪華さに惹かれて鑑賞しました。

冒頭に映し出される、川に浮かんだ首無し死体の首があった部分をカニがついばんでいる描写に気分が悪くなってしまいました。見続けることが出来るのが不安を覚えるほどで、なるほどR15指定なわけだと納得。
これは信長に謀反を起こした村重軍の敗北を象徴するシーンで、有岡城が落城すると、村重は姿を消します。

そもそも村重という武将を知らなかったので、光秀との関係性もまたわからずに観ていくと・・・村重と光秀の禁断の関係が登場。さらに、二人の関係に嫉妬した信長が、容赦のない暴力を向ける流れで、信長・光秀・村重の壮絶な愛憎劇 に仕立てられていました。

日常が暴力と狂気に満ちている戦国時代にあって、城主と家臣の間に主従関係以上の感情が働いたとしても決して不自然ではないと思わされるあたりが面白い。
信長と小姓の森蘭丸(寛一郎)の関係は有名ですしね。😁 
光秀と村重の庇い合いにキレた信長が、コテコテの尾張弁で二人を罵倒し、刀に刺した饅頭を咥えた村重の口にぐりぐりと刀を回し入れる様は、信長の狂気をまざまざと見せつけます。

村重逃亡後、信長は光秀に村重の追跡を命じる一方、家康(小林薫)秀吉、明智光秀、丹羽長秀、滝川一益たちを前に、息子の信忠に家督を継がせる気はないと断言したうえで、一番手柄を立てた者を跡取りにすると宣言します。
村重の一族郎党は皆殺しとなり、村重と親交のあった光秀は謀反に関わりあるのではと疑われ窮地に立たされます。その渦中で、光秀は千利休(岸部一徳)から抜け忍の曽呂利新左衛門(木村祐一)が捕らえた村重を引き渡され亀山城に連れ帰って匿います。実はこれも秀吉の策略だったようです。

曽呂利はその情報を秀吉に流し、召し抱えることを条件に密命を受けます。
命令実行のため甲賀に向かう途中で、首級欲しさに友人の為三(津田寛治)を殺した農民の茂助(中村獅童)を仲間に加えた曽呂利は、甲賀の里を仕切る光源坊から、信長が信忠に送った密書を買い取ると、次に亀山城に忍び込んで光秀と村重の関係を知り秀吉に報告します。一方、間者が甲賀と気付いた光秀は里を襲撃して光源坊ら里人全員を殺してしまいます。(曽呂利の兄貴分の般若の佐兵衛(寺島進)が任務を果たして里に戻ってその光景を目にするんですね。😨 

家臣に家督を継がせる気はさらさらなく、信忠に継がせた上で邪魔な家臣を殺害するよう記された書状を読んで(文字が読めないから弟に代読させている)激怒した秀吉に、黒田官兵衛はある計略を囁きます。

村重を庇う危険を回避するため、邪魔な家康のもとに村重が逃げ込んだと信長に忠言した光秀の言葉を信じ込んだ信長は、家康に刺客を差し向けますが、家康に恩を売ろうとする秀吉が彼に注進し、曽呂利や服部半蔵(桐谷健太)に護られれ難を逃れます。

毛利攻めに時間をかけている秀吉に1年以内の決着を命じた信長の言葉を遮った光秀を、信長は側近・弥助(副島淳)を使って酷く打ち据えます。その夜、秀吉は信長の書状を見せます。魔王と崇めてきた信長が所詮「ただの人間」だったことに光秀は失望します。

影武者を用意して信長の刺客を回避し続ける家康に業を煮やした信長は、光秀に命じて毒を盛って殺害しようとしますが、家康は食べたフリをして逃れます。本作の家康はまさに「たぬきおやじ」然としています。😁 

本能寺での茶会に家康を招いた信長は、光秀に家康を襲うように命じます。これを好機と捉えた光秀は、千利休を通じて秀吉に知らせます。
秀吉は曽呂利に信長を監視させながら、千利休に家康を逃がす手助けを命じます。
同時に、毛利配下の清水宗治(荒川良々)の高松城の「水攻め」を実行します。後に「忍城」攻めにも用いた作戦ですね。映画「のぼうの城」で有名になりましたが、こちらが先なのね。

亀山城出陣に際し、光秀は家臣の斎藤利三(勝村政 )の言を受け、村重を箱に閉じ込断崖から投げ落とします。どうみても村重から斎藤に乗り換えた感じ。😩 

「本能寺の変」当日。燃え盛る炎が迫る中、信長は蘭丸の介錯を行い、次に弥助の介錯をしようとしますが、日頃の怒りを募らせていた弥助に首を切り落とされます。え?そんな最期なの😮 首をぶらさげ炎の中に消えていく弥助・・

信長の首が見つからないことに焦る光秀。
曽呂利から報告を受けた秀吉は、安国寺恵瓊(六平直政)と宗治、官兵衛の三者対談で、宗治の切腹による和平協定を取り付けます。一刻も早く明智討伐に向かいたい秀吉が、宗治の切腹儀式に苛つく様子が笑えます。
秀吉の策略を身近で見てきた曽呂利は、自身の身の危険を察知し、茂助を残して消えます。しかし予感は当たり、千利休の側近の間宮(大竹まこと)と相打ちになって殺害されます。

信長の三男信孝を擁立して討伐軍を結成し光秀と相対した秀吉は光秀軍を打ち破ります。敗走し瀕死の光秀は、森の中で今度こそ侍大将に成り上がろうとする茂助に見つかり自ら首を切って絶命します。首級を得たと喜んだのも束の間、同じく首級を狙う落ち武者狩りの農民たちの手により茂助も首を落とされてしまいました。(茂助は自分が手にかけた為三への罪悪感があるようで、家族が皆殺しになっている場面と自分の首を落とした農民の中に為三を見ています。)

持ち込まれた大量の首の中から光秀の首を検分しようとする秀吉ですが、あまりに多くの首を前に光秀かどうかの見分けもつかなくなっています。飽きてると言った方が正しいかも。適当に並べられた二つの首の一つは茂助の首と判別したのに、その横に並んだ首は汚れと血で今一つ光秀かどうか見極められません。悩んだ後「光秀が死んだ事実があれば、首なんか要らない」とその首を蹴り飛ばす秀吉を捉えて映画は終わります。

大河ドラマなどで描かれる3英傑の人物像とは真逆の裏切りと策謀の姿が浮き彫りにされ、これまでのイメージが覆されます。異色の作品ですが、北野氏らしいバイオレンスに満ちた本音の世界が描かれているともいえます。
それにしても美男同士とはいえないBL展開は胸やけしそう😞
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