杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

蒼ざめた馬

2010年09月27日 | 
アガサ・クリスティ/著 橋本 福夫/訳  ・ 早川書房 出版

霧の夜、神父が撲殺され、その靴の中に九人の名が記された紙片が隠されていた。そのうち数人が死んでいる事実を知った学者マークは調査を始め、奇妙な情報を得る。古い館にすむ三人の女が魔法で人を呪い殺すというのだ。神父の死との関係を探るべくマークは館へ赴くが…。

「世界仰天ニュース」にこの本が出てきたので図書館で借りてみました。

オカルト色を出しながらも、しっかり科学で殺人事件を解明するあたりは流石、ミステリーの女王らしいと言えるかな

登場人物が多いので、流れが見えてくるまでは少々退屈でしたが、何件かの事件が重なってくる頃から俄然話に引き込まれて一気に読む弾みがつきました。

とはいえ、魔女がその能力で殺人という点については、そもそもこの事件の真相を知って読んでいるという掟破りをしてる身には全く魅力的ではなかったのがちょっと残念。
ついでに、マークが事件の真相に気付くのも少々強引な気がしました。
アメリカで以前その事例を読んだことがあるという一行で片付けるなよぉぉぉそして本当に知りたかったのは毒をどのように使ったのかということと、その解毒方法だったのですが、見事に触れられてなかったのも・・・期待はずれだぁ。

マークがハーミアからジンジャーに気持ちを移した理由は読者には納得できるけど、ハーミア自身にはきっとわけわからないんだろうな、なんて思っちゃいました

でも犯人がアノヒトだったなんて意外~~


題名の「蒼ざめた馬」とは、ヨハネ黙示録第6章第8節。「われ見しに、見よ、蒼ざめたる馬あり、これに乗る者の名を死といひ、陰府(よみ)、これに従う」に出てくる死を象徴する馬から付けられている。まさに殺人事件の本質をも現しているといえるでしょう。

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