杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

アコギなのかリッパなのか

2010年09月25日 | 
畠中恵 著 ・  実業之日本社 出版

主人公は元不良の勤労大学生・佐倉聖。中学生の弟を1人で養うため、元大物国会議員・大堂剛の事務所で働いている。ボスの食事の面倒から選挙運動の手伝いまでこなす事務員だ。大堂の弟子である代議士たちは何か厄介な問題が起こると事務所に相談にやってくる。聖は度胸と機転を活かして、事務所に持ち込まれる奇妙な事件を解決するのだった……。政治の世界を身近に描いたユーモラスな連作短篇集。

政治家という人種への疑問を一言であらわしたら・・こんなタイトルになるのかしらん

このお話に登場するような「センセイ」方ばかりなら、もうちっとマシな日本になっていそうな気がするけど、せめて小説の中だけでは政治家へのイメージを修正できそうな気がしました

開会と閉会で大堂の元秘書の小原の選挙の話が書かれ、間に聖が関わった五つの案件(事件)が描かれています。

案件の一 五色の猫
資産家の老婦人の寂しさが巻き起こした謎を解き、老婦人とその家族に解決策を提案。

案件の二 白い背広
大堂の弟子にあたる加納議員に持ち込まれた「事件」の解決に奔走する聖。
実は加納とは会えば角突き合わす仲だが、この二人、根本の所が似てるんだな

案件の三 月下の青
大堂の門下生の小島議員の秘書が寄付された絵を持ったまま新興宗教に入信した!
この秘書が宗教に走った理由がなんとも説得力がないというか、こんな情けない理由でいいのか?? 秘書を連れ戻すというより目的は寄付された絵が新興宗教の教団内にあることが問題なのね。まさに政治的ネタでございました。大堂と小島の関係が判明する章です。

案件の四 商店街の赤信号
都議会議員立候補者の応援に借り出された聖が選挙事務所の人間関係の揉め事に頭を抱えながらも解決策を見つけて無事に当選させるお話。選挙事務所の仕事内容も垣間見れる?

案件の五 親父とオヤジとピンクの便せん
議員インターシップに応募してきた二人の学生の世話をすることになった聖だが、自身の家族関係でも悩みを抱えることになり・・。聖と同年代の学生の意識の違いなどは大人と子供ほどの落差があって、政治の世界で揉まれると早く大人になっちゃうのかな。

数々の事件解決を通して政治家(秘書)の素質と才能を本人も意識しないで開花させていく聖ですが、この事件を通して自らの成長を自覚する章でもあります。

物語の数年後、秘書となった聖の活躍も読んでみたいなぁ

主人公は聖ですが、彼を見守る保護者役の大堂の食えない狸親父ぶりや、嫌味な加納や美人だけど健啖家で天然ボケの真木秘書とか、脇を飾る登場人物もかなりの強烈キャラで楽しめます。

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