杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

食べて、祈って、恋をして

2010年09月22日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年9月17日公開 アメリカ 

ニューヨークで活躍する女性ジャーナリスト、リズ(ジュリア・ロバーツ)は仕事やプライベートに忙しい毎日を送りながらもどこか満たされない思いを抱いていた。やがて離婚を決意して家を出た彼女は、若い俳優・デイヴィッド(ジェームズ・フランコ)に惹かれ一緒に暮らし始める。しかし彼との間に隙間を感じ始めたある日、リズは自分を解き放つため、イタリア、インド、バリをめぐる1年間の旅に出ることを決意する…。

エリザベス・ギルバートの自伝的小説の映画化。でもこの作家さん知りません
たしか、「エリン・ブロコビッチ」も実在の女性が起こした訴訟の映画だったっけね。

一見、何不自由ない暮らしをしているリズですが、心の中は満たされないもどかしさで溢れています。例えば何でも勝手に決めてしまい相談もしてくれない夫(ビリー・クラダップ)への8年間の押し殺した我慢。これはすごくわかる気がするある日、全てが我慢出来なくなって離婚を切り出し、さっさと家を出るリズの行動力が羨ましい。
でも夫から見たら勝手なのは妻の方だと思うだろうね~。

離婚訴訟中に、年下の恋人を作って彼の家に転がり込んじゃうのはどうかと思うけど、彼ともうまくいかなくなっちゃって、自分というものを見つめ直したくなる気持ちは理解できる。そこでパッと飛び出しちゃう勇気や行動力がないから余計に羨ましいかも。

リズがまず向かったのはイタリア。
ローマでイタリア語を学びながらグルメに明け暮れる毎日を通して、感情表現が豊かでを美食を味わい生きることを謳歌しているイタリアの友人たちから「今を楽しむ」ことを教わるのです。この地で彼女は孤独を恐れて別れを引き伸ばすことを止める決心をします。
それにしてもパスタやピザの美味しそうなことったら・・空腹で観たらお腹が鳴り出すこと請け合いです。

次にリズはインドのアシュラムで修行に励みます。イタリアで感じた充足感を確かなものにするためです。瞑想と清掃奉仕の日々の中で、なにかと彼女につっかかってくるリチャード(リチャード・ジェンキンズ)はリズをイラつかせますが、彼の心の傷を知り「執着を捨てることが心の平和の基本」と教えられ二人の間に友情が育まれます。

最後に訪れたバリでは、薬療師のクトゥ(ハディ・スピヤント)と再会。離婚して娘を一人で育てている治療師のワヤン(クリスティン・ハキム)とも友達になります。緩やかな時間の流れの中で美しい自然と共に、調和のとれた生活を送るバリの暮らしを満喫するうち、ブラジル人のフェリペ(ハヴィエル・バルデム)と出会うのです。

自分を再生し安定していたリズの心はこの恋に一旦は尻ごみするのですが、クトゥに諭されて自分にとって何が大切なのかに気付きハッピーエンドを迎えるのでした。
(リズが膀胱炎になるエピソードがあるけれど、現実的なユーモアがあってクスリとしちゃいました

映画ではリズの心の動きをファッションでも表現していました。
NYではビジネススーツやディナードレスを、年下の恋人と付き合っている時は彼に合わせてカジュアルに、イタリアではサイズUPしたジーンズを履く一方で自分だけのために豪奢なランジェリーを身につけたりします。インドではゆったりしたコットンを、バリではよりナチュラルにといった具合。

実は、ジュリアの最近の出演作はあまりパッとしなかったので、今回もあまり期待していなかったのです。予告で観たイタリアの美味しそうな食事や景色が目当てでした。けれど、表面的には落ち度のない夫を捨てる我儘な妻に見えたリズが、自我を求めて旅をし、内面から変わっていく姿を観ているうちに、徐々に共感と癒しを覚える自分を発見してちょっと驚いたのと同時に何だか嬉しくなったのでした。

無意識に相手に合わせてばかりいたリズが、自らの内面を見つめ直し自分の心と向かい合ったことで、自らを再生し自立する姿に素直に拍手を送りたくなりました。
いや・・他人事だから言えるのか。自分ではやっぱり飛び立つ勇気がないなぁ
だからこそヒロインが眩しく見えるんだろうか。

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