月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

ぶらり根津・谷中

2021-10-02 15:23:57 | 東京遊覧日記

 

6月22日(火曜日)曇り

 

今日は、根津・谷中に行こうと決めていた。

 

「何があるの?」と、Nはいまひとつ乗り気でなさそうだったが、「大丈夫。とっても面白いよ。下町なのに、巡るたびに面白い宝物がざくざく出てくるみたいな町よ。夏目漱石も暮らしたことがある文豪の町!」と、よく知りもしないくせに胸を張り、Nを無理矢理に引っ張っていった。

 

 かれこれ4年前、古い友人に連れて行ってもらって以来、いつかもう一度、訪れてみたいと思っていたのである。

 

根津駅へ降りる。町に挨拶するために、根津神社へむかった。

 





 

 

境内で「大祓 茅の輪くぐり」をしつらえてあった。主に、スサノオノミコトを祀る神社で行われているもので、茅でできた輪をくぐることで心身を祓い清めるというもの。 

 

ゆっくり20分ほど参拝し、朝倉彫刻館に向かう前に、「芋甚」さんで休憩。アイス最中(アベックアイス)を注文した。

銀色、脚付きという懐かしい器。原材料を吟味したさっぱりとした昭和のアイスを最中に挟んでいただく。おいし。大阪本町にある「ゼー六」というアイス屋を思い出す。Nは葛きりを食べていた。

 

 



 

 

気分よくなったところで、町を歩く。台湾スイーツの「愛玉子」でおなじみの店。4年前と同じく中には入れなかった。残念!

 

 





 

住宅地を歩くが、小さな暖簾を上げる古風な店のつくりが多い。町の風情がほっこりとする。シュークリーム屋さんがあったり、草加せんべいの店があったり、古本屋や骨董の店があったり、お墓や社寺が顔をのぞかせたり。かと思えば、小学校の校舎、カステラを売る店……などなど。

商店と人の営みがごく自然に共存している、それが無理のない自然な距離でつながっている、実に心地いい町であった。昭和っぽいのか、大正っぽいのか。よくわからないけれど、急いでいないところだけは間違いない。昭和レトロと一言でいえばそうかもしれないが、本当に人が暮らす町という感じだ。階段や坂が多く、町の街灯も、味がある。

 

お目当ての「朝倉彫塑館」がみえてきた。

 

 









 

ここは、朝倉文夫の立派な彫刻に出会えるのももちろんよいのだが、それよりも、アトリエと住居だった建物自体がもう一度見たくて、立ち寄る。昭和10年に建てられた建物は、浅倉氏が設計し、和風建築(数寄屋の住まい)と洋風建築(コンクリート造りのアトリエ)の共存。中央には、池のある石と樹木が織りなす庭を設け、建物のどの場所からも庭が望めるように配している。1階、2階、3階の構造で屋上には園芸実習の場としていたようだ。屋上からは町全体が眺められて気持ちいい。

 

1時間も建物を堪能したとあって、気持ちも高揚し、てくてく歩いていると、よい古本屋があった。

喜び勇んで、持ち歩くのが辛いことも考えず、白洲正子の随筆と、アリス・マンローの短編を購入した。

 おしまいは、谷中銀座をぶらり。今回は谷中霊園などは行かなかった。

このまま歩くと、東京芸大があったり、上野までもすぐらしい。今度、荷物を減らして、ゆっくり歩いてみたい。

 




 

 

夕食は、予約していた串カツの「はん亭」へ。

 

 







 

夕暮れの日差しに古い佇まいが映えていい感じ。

 

白ワインをのみがら、コース料理をいただく。

 

牛ホホ肉、生麩、いんげん、コーン、えびの大葉巻き、れんこんの肉詰めカレー風、ショウガ芽、ほたて、あゆの稚魚、いか、なす、おくら、スモークチーズ。12種の串揚げをペロリと平らげた。

 



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