月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

新春のスタートを振りかえる

2021-01-11 15:19:00 | コロナ禍日記 2021

 

 



 

2021年1月4日(月曜日)曇り

 

 年が開けたのに、なぜ新しい年に切り替わった風に思わないのか、不思議だった。どうやら一歩も外へ出ていなかったから、だという結論にいたる。31日の夜中まで原稿を推敲していたのだし、1日は年賀状と大掃除、おせち料理づくり。2日は自分の部屋の掃除とおせち料理づくり、3日から少し、なにかちょこっとした仕事をしながらおせち料理。と、4日間続けて、おせち料理をつくる。

 

 もちろん。おせち料理だけでは寂しいので、1日は豚のしゃぶちゃぶ(昆布の出汁と日本酒とにんにく一かけをまぜたものを、豚の薄切り肉とほうれん草で食べる)、2日はステーキ、3日は寒ぶりの刺身とメーンはいろいろ。けれど、今回は黒豆とごまめ、野菜のお煮しめ、海老煮、かまぼこ、海老芋煮を1日にこしらえて、翌日以降にたたきごぼう、紅白なます、伊達巻き、また海老芋の煮付け、などなど、毎日、数品の縁起物を足していく。という風にした。つくるのも、たべるもの、好きなのだ。お正月料理には、日日の祈りと明るい気持ちになる要素がつまっている。

 

 縁起の謂われを思い起こしながら、料理本(ベターホームのおかあさんの味、暮らしの手帖の別冊、お正月の手帖)をみながらつくる。特に根菜類のお煮しめは、冬の間、毎日あってもいいとさえ、思う。

 

 

 

3時過ぎ、ぶらっと散歩をした。

 風は冷たかったが頬にふれると心地いい。レモンの木やみかんの木など。たわわな果実の実ばかり気になった。ごろごろして、まるく、鮮明な色が目に飛び込んでくる。

 

 夜9時、NHK「ニュース9」をみていたら、作家の塩野七生さんが、イタリアからリモート出演されていて、コロナ禍のいまを風刺されていたので備忘録として書き留めておこう。

 

ーーコロナのいまは踊り場である。

ーーこれまでは、エスカレータやエレベーターで自動的に急いで上にあがることばかり考えて実行してきたが、自分の足でゆっくりと階段を上がっていくと必ず途中、踊り場にでる。そこで景色を眺めたり、体調を整えたりすればいい。自分で上がっていくには、踊り場が必要なのだ。

 

ーー日本人は100%信仰を捨てるべきだ。誰かが失敗しても、自分が失敗しても、それを承認しなければ。自由でなければ、人は自分らしくいきられないし、継続することができないのだ。自由とはなにか、失敗をしてもよいということだ。そうやって、自分のちからで再生していけばいい。

 

 こんなメッセージを発信していらしたと思う。もしかしたら(翌日の昼にまとめたから)えらく自分勝手な解釈になっているのかもしれないが。自信たっぷりにプライドをもって語っていらっしゃった。大きな椅子に深々と腰をかけて、是非、伝えたいという気迫が感じられた。