月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

祇園のグリル「大仲」でワイン&ビーフカツレツを。

2013-11-11 18:57:22 | 京都ごはん


きょうから季節が変わった。
冬の到来。
よく知っているキーンとした清々しくも、冷たい空気だ。
いよいよ紅葉の季節を迎えるのだなと思う。

朝、窓の外の山が動いた、と気づく。
山が木々が、色づく準備をはじめたのだろう。
木々のかたちが昨日よりも、まるまるとしている。
繁るはずもないのだから、山々もちぢこまっていられるのかしら。またまた、愉しみな季節がやってきた。



さて、先日の土曜日。
Nのお友達と、そのママと4人で京都へ出掛けた時のお話を。

娘のNは春留学の最終面接で大学へ。私は昼前に大学そばに行き、近くのカフェでランチを食べた。

ここ「バザールカフェ」は、ライター友達に教えてもらったとても気持ちいいカフェだ。





ヴォーリズ建築の建物らしい。テラス席には椅子が置かれ、りんごだろうか。果実の木がうっそうと茂っている。
なんだか異国っぽくて京都の喧噪は聞こえないカフェだった。
こちらは店内。土曜日だというのに大学生がやはり多い。それに外国からのお客さんも。





私はタイのランチ(500円)を食べる。



蒸し鶏にサラダ、そこに目玉焼き。それだけのシンプルなものだったけれど、
エスニックなソースがたっぷりかかっているのが、美味しかった。家庭的なタイごはんの味だった。


それからお友達の家族と合流して、再来年用の振袖を見に行く。
私たちは古典柄の振袖ばかりを4・5点選び、娘らに試着させては、互いを褒め合った。きれいなものを見るのは、心うきうき。
貝桶や貝あわせ、御所車、辻が花、花丸文、立桶、花菱…など。

娘らがはおる、由緒ある古典の柄を見ているだけで素敵な気持ちになった。


このあと、甘味処の散策コース。
京都御池の「ミディ・アプレミディ」でタルトを買って、
私の大好きな店「ぎおん小森」に(ここは甘味処のページでいずれ紹介します)。

祇園を流れるせせらぎを感じながら食べる甘味のおいしいこと。
ここは昔は由緒あるお茶屋さん、 というだけに、京都の陰翳というか、
遊び文化の名残が店の雰囲気のなかに残像として溶け込んでいて、そこに妙に惹かれてしまうのである。

せっかくなので、夕ごはんも食べましょう、ということに。

木屋町の「めなみ」と三条の「御幸町つばき」に予約をいれたが、あいにくの満席。
それで、辰巳橋のここから近い、グリル「大仲」さんへ。


(ホームページから)

グリル「大仲」を始めて訪れたのは5年ほど前の冬だった。初詣に寄った帰りに木枯らしのなか「洋食みしな」でタンシチューを食べたいと、予約するも、すでに満席で。
次なる店を探して求めて、たどりついたのがここ「グリル大仲」。

よく気のきく接客と落ち着いた座敷。「和牛ほほ肉の赤葡萄酒煮(ブラウンシチュー)」の香りのよさと味にビックリして、
以来ファンとなり、時々訪れる店なのだった。

母親の代までお茶屋を営んでいたという佇まいは昭和54年の開店という。
その時代からある暖簾をくぐって店にあがると、一見敷居の高そうなお茶屋さんの建物とはうってかわって、コの字型のカウンター(8人用)で寛げる。






奥は畳の間で、テーブルは2卓ある。

今晩は、鴨肉のパテやローストビーフ、サーモンなどを盛り合わせた
「オードブルのバリエーション」と「オニオングラタンスープ」から。



冷製でさっぱり味わえ、でも肉質のよいことが噛むごとにわかる。
皆で少しづつ取り分けたのでほんの一口という感じだったが、赤ワインのおいしさがいっそう引き立つ味だ。

スープのほうは、オニオンの甘みはさすが。チーズがよくきいていた。
温かいのを一気に食べたかったけれど。





続いてコンビネーションサラダを注文して、メインは、自慢の「ビーフカツレツ」である。



3,800円と少し高めだけれど、ここへ来ると必ずオーダーする一品だ。
和牛ステーキ肉を衣でつつんでバターで味付けしてあるそうだが、

サックリあがった衣から肉汁がジューワーとこぼれ、 そのお肉のおいしいこと、やわらかいこと。
本当に、シンプルかつ王道のカツレツだが、最後のバターが隠し味程度に香るのが上品このうえない。
いつ食べても満足で、安心する味である。


続いて「牛肉の森のキノコ煮」(3,400円)。





こちらは、マッシュルーム、シメジ、しいたけなどの秋のきのこ類と和牛のサイコロステーキを、
デミグラスソースでサッと煮込んだもの。
さっばりと煮込んだお肉がいい。正統派のデミグラスソースはおそらく、バケットに浸けてもおいしいと思う。

ほかに、「エスカルゴブールギニオン」や
「エビのアメリカ風」やワイン蒸し、「笹巻きピラフ」などもおいしい。

コースにすると、サラダ仕立てのオードブルに、季節のスープ、
肉と魚料理、笹巻きピラフ、デザートやコーヒーなどが付いて5,500円なので
お得感があり、予約客はほとんどこのコースを食べていらっしゃる。


このあとレトロな喫茶室でお茶やデザートを食べ、遅くなってから家路に。
2家族で。4人で散策の京都も愉しかった。

「グリル大仲」
京都市東山区祇園町北側347―11(阪急河原町から徒歩約5分)。
12:00~14:00(LO13:30)
18:00~23:00(LO:21:30)。
日曜休。