オランダにいた頃、ドイツバロックを歌う習慣は
当たり前にそこにありました。
オランダ人はバッハが大好きなのです。
オランダ人の作曲家もいるにはいるのですが
歌を残した作曲家が少ない。
ドイツ語とオランダ語が似ていることもあって
バッハを歌う本番というのが本当にたくさんありました。
音楽院ではアーリーミュージック科のバロック歌唱という
部署におりました。
特にオーボエとリコーダーの学生が多かったので、
その二つの楽器で編成された声楽作品などを、
試験や学生発表会などで多く演奏していました。
その中にはとてもかっこいいテレマンの作品も。
お互いの試験や発表会で演奏しあうと
終わった後にカフェでお酒をご馳走しあったり
ワインをプレゼントしたり、されたり。
いつも古楽器を好きなように使える自由が
音楽院の中にはありました。
練習室は予約制。空いていれば好きなように使えるけど
いくつかあるチェンバロが置いてある部屋はだいたい予約が必要。
チェンバロとポジティフオルガン(可動式オルガン)を
両方使いたい、とコーディネーターにあらかじめ予約すると
それを手配してくれて、必要な時間までオルガンを
運んでくれてたりする。
そこにテオルボの学生とガンバの学生が加わり...。
なんて贅沢な環境だったんでしょう。
⇩ここはチェンバロとピアノが両方ある部屋
休憩には地下の学食にみんなでご飯を食べに行く。
...と言っても、美食じゃないオランダの食文化なので、
パンにチーズやハムを挟んだだけコールドメニューが主食だけど、
ブロッコリーやマッシュルームのクリームスープなど
サイドメニューが美味しかった。
特にマスタードのクリームスープは日本では
お目にかかったことがなく
あのカップに入ったチープな味が懐かしい。
腹ごしらえを終えると、またリハーサルに戻り
リハーサルが終わった後は
21時から23時まで自分の練習したりしてね。
音楽院が閉まる時に構内放送が入って、あと5分で早く
ででくれ、とっとと出やがれ...!みたいな学生の放送が入る。
23時に追い出された学生がゾロゾロと音楽院の
向かいのカフェに行って、おしゃべりしてお茶飲んで帰る....。
そんな楽しい学生時代をついつい思い出してしまうのは
今回のプログラムが、留学時代に歌ったものもあるから。
仙台に帰って来た時は、古楽の土壌が何もない
この場所に対して絶望しかなかった...。
あれからもう20年!?
今はこうして好きなように、好きな人と
コンサートできることが嬉しい。
少しずつ理解者が増えてきたことが嬉しい。
うた魂コンサートの詳細はチラシをクリックして
いただくとご覧になれます。