行政庁の行政処分は、法律に基づいていなければならない。では、形式的に法律に反していなければ行政庁は何をしても良いのか、そういうわけにはいかないのは言うまでもない。
原発賠償金を年金事務所が滞納処分という理由で一方的に全額賠償金を差し押さえることは、法的に問題がないとしても不当な行政処分として私は考えざるを得ない。昨年の3月11日の東日本大震災とこれに続いて発生した福島第1原発事故によって被災地域住民、被災した事業者は重大な困難に見舞われている。このような人や事業者が東京電力から受け取った原発賠償金は、利潤の類ではなく生活再建、事業再建のための最低限必要な金銭である。このたびの福島県内の白河年金事務所の行為でたちが悪いのは、分納していたにもかかわらず、年金事務所が何の相談もなく賠償金が振り込まれた直後に全額を一方的に差し押さえたことである。税金や年金保険料を徴収するやり方は、国民の生存権を脅かすようではならない。
日本共産党の田村智子参議院議員が年金事務所による原発賠償金の全額を差し押さえを国会で取り上げて政府を追及しているのは、年金事務所のやった行為が零細業者の事業再建への足がかりを奪い、生存権を脅かしているからだ。関連記事は以下の通りである。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-08/2012020801_02_1.html
税金のことでは、国税庁が中小企業に支払われた賠償金に課税しようとしている。被災者の生活・生業再建を根本から脅かすような行政処分は許されない。
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