細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

手段を選ばず

2012-12-19 19:45:31 | 研究のこと

昨日は,東北地方整備局にて,復興道路の品質確保のための打ち合わせでした。

10:00~17:30前くらいまでの濃密な打ち合わせで,私にもいくつかの役割が割り当てられていました。メインの役割は,山口県のひび割れ抑制・品質確保システムの要素で,復興道路の品質確保に応用できるものを,もろもろの実態も踏まえた上で分かりやすく説明し,実践のための有意義な議論をすること。

今回の打ち合わせで3回目でしたが,過去2回とは次元の違う濃密な双方向の打ち合わせになり,感激しました。

私も自分の役割を全うすべく,まさに手段を選ばずにプレゼンをしました。プレゼンというよりはライブ,ショーという感覚でした。過去,様々な経験をしてきていますが,私が真の本気を出してプレゼンをした何本かの指に入ると思います。まさに全力でした。

そのかいもあって,山口県の「施工の基本事項の遵守」をどうやってシステムとして達成しているのか,またその中のツールの一つである「施工状況把握チェックシート」の真の役割についても,深い深い議論ができて,東北地方整備局の方々にも十分に理解していただけたようでうれしかったです。実践に向けてはいくつも高いハードルがありますが,ハードルが高いほど燃える我々です。

私の役割が終了した15:45ごろには,脳みそが酸欠状態になり,質問を理解できない状況になりました。そこでバトンタッチ。

夜の懇親会も含め,本当に充実した議論でした。品質確保が少しずつ実践に入ることを心から願います。 


少人数ゼミレポートNo.3

2012-12-19 18:15:18 | 教育のこと

少人数ゼミの学生からのレポートの3つ目です。今年度はこれでおしまい。

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少人数ゼミを終えて

今井 雅貴

今回の少人数ゼミを通して、自分自身ついてよく振り返ることができた。正確には、振り返る時間を意識的に確保することができた、と言うべきだろう。ともかく、少人数ゼミが始まって2ヶ月間、今までにないくらいの時間を自分というものと向き合うことに費やせたと思う。細田先生に勧められた「7つの習慣」という著書を軸に数冊の本を読み、それについて意見を交換し合うという簡単な作業の中で、話し合われたものを一つ紹介したい。

7つの習慣を読み進める上でもっとも考えさせられた言葉が「まず初めに、自分が死んだときの状況をイメージして欲しい」というものである。どの部分に考えさせられたのかといえば、「まず初めに」にである。これこそが普段私たちが意識することなく、しかしながらまず初めによく考えておくべきことだと感じた。

私たちは普段複数の行動基準で生活している。特に、仕事中心であったり、友人中心であったり、お金中心であったり。中心を外から与えられる刺激に置いてあることが多い。現に私も、友人中心であったり、敵中心で生活していたため、生活は友人や自分に害を及ぼしそうな人物の言動によってすぐに不安定な状態となった。そこで、死んだときのイメージから、まず自分はどのような人物になりたいのか、どのようなものを残したいのかを丁寧に自分の中から引っ張り出してきた。そうして出てきた原則を中心に行動すると、生活は安定し、行動はすべて自身の描いた像へと直結しているものだと感じることができた。このように、まず初めに、自分の死と向き合っておくべきなのだろうと思う。

国立大学とあって優秀な人が多く、大量の知識や技術で武装している人をよく見かける。しかしながら、重い荷物を持つほどまっすぐ歩くには強靭な足腰が必要となり、人生の足腰となるのは自身の原則となるであろうから、しっかり死と向き合って欲しい。忘れてはならないのが、原則が公共に益となるものでなければ、それはまた自己中心の行動基準となってしまうことと、私たちは土木技術者であることだ。

以上のことが、今回の少人数ゼミを通して私が学ぶことができたことの1つである。最後に、ここまで読んでいただいた皆さんには「細田先生の話をよく聞け」だとか「7つの習慣を読め」だとかはもちろん大切だが、そういったこととを言いたいのではなくて、大学生というたくさんの時間の中で「私は○○である」と胸を張って言えるような人物になってもらえるとうれしく思います。


少人数ゼミレポートNo.2

2012-12-19 13:07:07 | 教育のこと

少人数ゼミの学生からのレポートの2つ目です。

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「人間力」のゼミを受けて

薄木 克弥

自分はいままで、いったい何を目指し生きるのか、何が正しいのか、どんな国に住み、どんな役割があるのか、ほとんど何も考えてくることがありませんでした。考える、ということの力はとても大きく、自分自身に大きな影響を与えるということは自分でもよくわかっていましたが、まだ考えるための安定した方向性を持たず、迷ってばかりなうちに自ずと考えることを避けていたのだと今となっては思います。

ゼミでは「7つの習慣」を中心とした何冊かの本をよみ、いままで考えることから逃げていた部分を意識して考えることにより、様々な変化がありました。自分は典型的な理系人間で、社会科科目が嫌い、特に歴史アレルギーといっても過言ではない状態だったのですが、ミッションステートメントを考えていくにつれて、自然と社会への興味が沸いてきて、ちょうど総選挙の時期だったのもあり、細田先生に紹介していただいた、今の日本、世界の経済状況などについての本をのめりこむように読んでしまいました。それからは派生的に、アレルギーだと自分で感じるほどだった歴史にすら興味が沸いて、初めて自分から歴史を勉強しようと思いました。

政治、経済、歴史について自分なりの勉強をし、土木技術者として生きようとしている自分が、理系だからといって政治、経済、歴史など全くおろそかにできないと気づいた後にミッションステートメントを考えなおすと、最初は全然考えられなかったミッションステートメントが、それでも満足とはいえませんが、少しは考えられるようになっていて、短期間の間に自分の考える力が如何に変化したかを感じられました。もちろん「7つの習慣」もですが、それだけでなく、様々な本を読んだ、色々なお話を聞いた、というのが自分の考える力の成長の要因となったのだと思います。

自分が細田先生のゼミで得た最大のものは、目指すべき方向性を与えてくれる様々な本、様々なお話、いわば考えるための種のようなものをもった状態で考えるということが、どれだけ自分にとってのプラスに働くか、ということを知れたこと、そして、自分だったら政治・経済への興味から歴史への興味というように、次々と考えるための種を見つける、という習慣がついたということだと感じています。

自分が決めた、もっとも重要度の高いミッションステートメントは、「日本社会の役に立つということ」です。これを本当の意味で遂行できるのは社会人になってからかもしれません。しかし、自分のミッションステートメントとしてこれを定めることにより、自分の羅針盤として活かし、学生生活も有意義にできると思っています。ゼミ自体は終わってしまいましたが、これからもゼミで得たものを活かし、社会人となってから日本社会にいい影響を与えられるように、貪欲にまだまだいくらでも存在する自分の力となるものを求め、「人間力」を育みたいです。


少人数ゼミレポートNo.1

2012-12-19 13:02:55 | 教育のこと

学部3年生の3名の学生に対して、合計5回の少人数ゼミを実施しました。
ゼミのタイトルは「人間学とリーダーシップについて考える」です。

3つの記事に分けて、紹介します。公開することは学生たちから了解を取っています。

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遠山祐貴

今回の少人数ゼミは自分を見つめ直す良い機会になった。スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」という本を中心にゼミは進められ、最終成果物として自分の中心に置くべき「原則」を完成させた。そこに至るまでの大きな過程を2つ書こうと思う。

1つ目は、自分は「何により行動しているのか」、「何に依存しているのか」考えさせられた。ここで私が強い印象を受け、伝えたいと感じたことは、「主体的」であるか「反応的」であるかだ。人は常に外からの「刺激」にさらされているが、「反応的」であれば自分の行動はその刺激により決定され、「主体的」であれば行動は原則により、つまり自分の責任で決定される。様々な本にあるような、自分の意志だと思い込む、というような処方的なものと違い、こういった事を考えることで、自分の日々の行動が変わった実感がある。

2つ目は、最終成果物となった「原則」の作成である。人は何も「刺激」だけにより行動しているのではなく、誰しもが中心においているものがある。私の場合は、家族・友達・遊び、が中心に置かれ行動していた。これを否定された時は悔しくすぐには認められなかったが、ゼミで意見を交わしていく中で、「原則」ではありふれている家族・友達・仕事などが複雑に絡んだ状態も筋の通った考えができる、という解釈に至った。こういった事を考えることで私は次のような原則を作ることができた。

・完璧な自分になる―正直に生きる。誠実に生きる。前向きに生きる。感謝を忘れない。ユーモアを忘れない。
・主体性を発揮する―自分の意志によって行動する。自らの行動に責任を持つ。
・率先力を発揮する―自ら状況を改善する。周囲に良い影響を与える。
・能力を向上させる―失敗を恐れず、成長の機会を逃さない。助言を素直に受ける。
・家庭を築く―無償の愛を示す。自分の欲求を家庭のニーズに沿わせる。
・社会に貢献する―
・全力を尽くす―上記を達成するために、自分の才能・時間・持てるすべてを捧げる。

まだ完璧なものではないが、これから生活していく中で何度も見直し、必要があれば修正や追加、削除などをして、常に最善の「原則」にあるようにしていく。また、これは自分が周囲に約束・保証することである。

今回の少人数ゼミで内面的な事について意見を交わす機会をもてたことを幸運に思う。ゼミ以外の時間でもこういった事について話す時間が増え、またその時間がとても有意義であった。これから影響の輪を徐々に広げ、多くの人との意見を聞き、自分の持っているものを分かち合いたいと考える。