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Sayonara

2004-11-28 18:03:44 | 旅人
アメリカからやってきたZakとは
京都の宇多野ユースホステルで出会った。

ユースホステル主催の穴場京都市夜景鑑賞ツアーに
ひとりで参加していた。

つつつ、と近づいて行って話しかけた。

仕事で7ヶ月金沢、
趣味のカラテで2ヶ月東京。

その仕事というのは
アーティストの概念を作品として形にすること。

未だ、出会ったことのない人種に
巨大な興味を感じるも
夜景鑑賞ツアーの帰り道にはぐれてしまう。

ユースホステルに戻ると
彼は食堂でビールを飲みながら
西欧の神の歴史について書かれた本を読んでいた。

約3270万円の値がついた、
クリス・バーデンというひとの概念を彼が形にした作品は
金沢21世紀美術館に居る。

大きすぎて運ぶことができないので
分割して船便で日本に送り
それを再び芸術に組みたてるために彼は来日した。

Zakはとても冷たい顔をしている。
ユーモアはなく、
愛想もない。
そして、ほとんど笑わない。

あたしは、ただただ、その頭の良さに魅かれた。

あたしが、何か言おうとすると
1文節言うか言わないかのうちに
彼はあたしが何を言おうとしてるのか察して
質問以上の答えを返してくる。

頭を使うけど、すごくおもしろかった。

彼は、瞑想を学びにインド・パキスタン・ネパールを旅したらしい。
常に頭の中に浮かんでくる考えが辛いという。
瞑想を学ぶことで
自分や自分の考えや相手との接し方に変化が出たと言っていた。

35歳で独身である彼に結婚に興味があるの?と聞くと
あるけど、焦ってはいないし、
自分の時間が何より大切とのこと。

何時間か話しつづけて
あたしの頭はフリーズし、
もうすぐ帰国するという彼に
東京に帰ったら
あなたの大切な時間のうち、少しをあたしにくれないかと聞いた。

彼は快諾してくれた・・・はずだった。

東京に戻ってきて
いつ会える?とメールを出したあたしに
今日返ってきた返事は

「ごめん、すごく忙しかったんだ。
 今日アメリカに帰ります。」

そして、彼が最初で最後に
あたしに使った日本語は
「Sayonara」だった。

そりゃ、ねーよぉーと思う。

もぅ少し、あたしが旅上手になれば
きっと旅の間の出来事は
お互い、非日常にいるからこそ眩しいのであって
それは旅の中だけにしまっておくべき空間なのだから
現実に持ってきてはいけないのだとわかるだろう。

そして、この小さな胸の痛みも
すぐに消えてなくなってしまうはず。

会社の福利厚生を利用して
今回の旅はゴージャスに
飛行機往復+ホテル2泊で19500円のパックに申し込んだ。

飛び石連休もあって
予約がいっぱいで利用できなかったのは
きっと宇多野のユースホステルで
Zakと出会うためだったんだと思う。

サヨナラ。
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