不戦

mixiで幼馴染の名前を見つけてから早１年。

会おう会おうとメールを送り続けて
何度もスルーされて、やっと会えたほぼ10年ぶり。

待ち合わせに10分早くついたので近くの本屋で時間を潰してると
これまた本屋にやってきた彼女があたしを見つけた。

10年ぶりに会った彼女は彼女のお母さんにすごく似てきた。
グラフィックデザインに携わってるせいか、
そいう系統のものを身につけていた。

いい鞄、
同じ色の靴、
主張するアクセ。

気がつくとあたしは彼女の粗探しに一生懸命になっていた。

人生は勝ち負けなんかでは計れないほどもっと複雑でエキサイティングなのは
もうとっくにわかってる年頃なのに
彼女の粗探しに一生懸命になっていた。

大人気ない自分を客観視して
それが何故なのかお好み焼きを頬張りながら必死で冷静に考えた。

一人っ子なあたしにとって
同じよな環境で育った一人っ子な彼女は
潜在意識下で双子の姉妹のよな存在だった。

だから身長も勉強も恋愛も仕事も人生もこれからも
心のどこかで負けたくないと思ってるからだった。

彼女の粗探しをしたくなるのは
彼女の話がどこかしら自慢ばかりだったからだけではなく
彼女が相変わらず上から目線だったからだけでもなく

きっと彼女が生き方に自信を持って
堂々と生きてるのが伝わってきたからだと思う。

ほぼ10年ぶりに会った彼女は
また気軽にお茶をしたいと思うよな友達にはなり得ない。

あたしにとっては一方通行でも永遠のライバルだから。
今はまだ友達になれない、あたしのくだらないプライド。

彼女の話が自慢ばっかりに聞こえたのは
彼女もあたしに負けたくないと思ってたからだろうか、
それはあたしの自惚れだろうか。

人生は勝ち負けじゃない。

けれどそれでも勝ち負けに拘ってる幼さで
今回はあたしの不戦敗。

角栓

女もすなるエステといふものをあたしもしてみむとてすなり。

・・・まるで仮面を被るよな日焼止めを塗りたくなくて塗りたくなくて
紫外線を浴び続けた、この夏。

さすがにお肌も力尽きたのか雀斑が・・・
そばかすってひらがなだとかわいいのに
漢字で書くと仰々しいものが頬に出現。

アセロラがぶ飲みにも限界。

ということで気まぐれにPOLAのトライアルエステをトライ。
フェイスケアチェックの結果は２週間後に。
3150円。

日々のお手入れや化粧方法をヒアリング。
あまりの手抜きっぷりが浮き彫り。

カウンセラーは若くてかわいい子。
「同い年くらいかと思うほど若く見えますねー」と世間並みオベッカラー。

この美に疎い女、あたしをうまく丸め込めば
高い化粧品をたくさん買わせられると思われただろかなどと自意識過剰。

28日周期でまわってる肌のターンオーバーを促すために
月１のエステ、6825円もけして高くないかと、と勧められ

それもそうかと自分磨きに投資し始める様
まさに負け犬の真髄に片足突っ込んでたけれど

30歳にして初めて体験したエステは
とにかく気持ちよくて気持ちよくて
気がついたら鼾をかいて寝てた。

自分の鼾で目が覚めた。
恥ずかしくてもう通えない。

毛穴があったら入りたい。

検索

まだまだ年貢を納めてほしくない古田を見に行った神宮球場で

６番田中浩康の打席に立つ前の登場曲が
耳にこびりつくほど気に入って
何の曲か知りたくて知りたくて
検索しまくったけれど見つからず万事休す。

検索マニア、三波にちょろっとお願いしたら
テケテケ検索してあっという間に神宮応援ガイドを引っ張ってきた。

件の曲はTeriyaki BoyzのTokyo Drift (Fast & Furious)だった。
ビンゴ。

それにしても検索能力の差に愕然。

いやそれでもエンジニアにとっては
正解にたどり着くまでのプロセスが知識の糧。

おかげであまり興味のない田中浩康のことがちょっとわかった。

それにしても検索能力の差に愕然。
それにしても検索能力の差に愕然。

蛇文

美容師に
「前のほうがブログ、おもしろかった」と言われる。
あたしもそう思う。

年をそれなりに重ねて
君子ではないにしても敢えて近寄ってた危うきに
近寄ろうとしなくなったんだと自己分析。

足元の覚束無さがネタ的にはおもしろかったんではないかと。

それは人生がひとつつまらなくなったということであり
ひとつ今手元にあるもので満足できるよになったということでもあり。

単に出来事をログとして残すネタも
心の中をじっくりほじくるネタも
あたしにとってどんどん零れ落ちてく時間を刻む行為としては同じく大切で

つまらなくなったと言われても
その度に本当に自分の穴と向き合えてるなら

他人の自分への評価を気にして背伸びして難しい言葉で書き飾るより
つまらないならつまらないままでいいと思う。

美容師が言いたかったのは
実はそいうことなのかもしれない。

こんな夜にはこんな映画「イン・ハー・シューズ」

Kヨちゃんが鑑賞中に30歳を迎えたという、
「イン・ハー・シューズ」を見てみる。

それを聞いたあたしは30歳になるとき
代わりに「ホリデイ」を見た。

出てるのは
同じキャメロン・ディアスなのに月と鼈。

「イン・ハー・シューズ」は内容のある映画だった。
予告だけ見て内容がわかっちゃうよなそれではなく
心のひだひだが豊かになるそれ。

「ホリデイ」のよな駄作をチョイスして
出出し失敗したけどこれからこれから。

年貢

16年似非ファンしてる、
今期限りらしい古田を見納めに
今期２回目の神宮３塁シーズンチケット。

もれなく日ハム信者、三波の薀蓄付き。

ユウイチの代打ヒットも見れたことだし
６－２で快勝。

あたしが神宮に赴くと絶対負けないヤクルト。
ここ７年間で４戦４勝。

影ながら４連勝に貢献。
また来るね。

あたしのラッキーナンバー、27。

MS

Vistaに搭載されてる、
WindowsメールがSMTPサーバに接続できないケースをMSに開いて
かれこれひと月。

バカ丁寧な言葉遣いをする向こう側のエンジニアと
何通のメール、何回の通話をしただろう。

ソリューションをもらって
検証してログとって画像送っての繰り返し。

SMも巻き込んで２時間電話会議して設定変更。
接続できない原因がやっとわかった水曜日。

MSのエンジニアに久しぶりに電話すると
問題解決したことに
あたしと同じくらい喜んでくれたよに聞こえた向こう側。

MSには今まで４回くらいケースを開いたけれど
なんとなく殿様商売風。

自分たちの敷地から出てこないで
自分たちの理解できる言葉でしか話そうとしないことが多かった。

けれど今回担当してくれたエンジニアはバカ丁寧なほどに
こちらの敷地に入ってきて話をしてくれた。

それほどにバカ丁寧だと
なんだかどんなに面倒なことでも協力しようと思えてしまう。

長いこと燻ってた問題が解決したのは嬉しいけれど
もうケースをクローズすることの寂しさ。

また問題が起こってもいいかもと思えるほどに。
目指すべきサポートエンジニアの鏡。

湿字

最近始めた脚痩せマッサージ。

マッサージの前にはこの暑い中、
41度の湯船に30分浸かれとの拷問。

美に王道なし。

手持ち無沙汰なので
前からやってみたかった風呂の中で読書。
ビニール製のブックカバーをした文庫をさらにビニール袋に入れ共に入浴。

湯船の中はほかに何も刺激がないから
ひっそりと汗をかきながら脳が透き通った状態で本に没頭できる。

けれどビニール袋の中で捲るページのもどかしさ。
５ページが限度。

風呂の中ではふやけてもいい雑誌を読めとかいうけれど
読みたい雑誌は今のところないし

風呂の中で読める防水本が売ってるけれど
本は図書館で借りてくるもので買うものではないと思ってるし
読める本は限られてしまうし

防水加工のブックカバーを見つけたけれど
たしかにカバーの部分は防水だけれど
ページの部分はカバーできないのでふやけてしまうし。

ということは風呂の中で完全に湿度をシャットアウトできる
ブックカバーを発明すれば儲かるのかも。

それにしてもあたしが知る限り
未だにそれが発明されてないということは
需要がないのか
あまりにも実現困難だからなのか

はたまた、あたしの父のよに
本はトイレの中で読むべきなのか。

美脚風呂読書に王道なし。

名無

いろんな意味で今さらだけれど
２ちゃんねるで我が社のスレッドが立ってるというので
面白半分で覗いてみる。

スレッドは2002年から始まっていて
内部っぽいひとも外部っぽいひともいて
ときどき荒らされたりもして
技術情報以外ほとんど２ちゃんを見ないあたしには新鮮だった。

中にはこれから面接を受けようとしてるひともいて
就転活の情報収集で２ちゃんねるを活用することに驚きだった。
自分の情報収集能力に呆れた。

けれど５年間そこで語られていたのは
給料が安いとか給料が安いとか給料が安いとか
退職金がないとか
上場するのかしないのかとか
今も同じく社員の間では争点になっていることで
何も変わってないんだと安心さえした。

方向性はどうであれ
会社は変えようと努力してるのはなんとなく伝わってくるけれど
入退社の回転が速いというのはやはり長居したいと思うひとがまだ少ないからだろう。

あたしの同期はといえば10人いたけれど
今はあたしも含め２人しか残ってない、たぶん。

このスレッドに限定していえば
入社前に得られる情報として有益なものは何もないと思う。

加えて３年７ヶ月前のあたしは失業保険で食いつなぐ日々で
藁をも掴む状態だったので
入社前にこれを読んでいてもきっと喜んで入社していただろうし

今の会社はあたしに必要な履歴で、必要な経路だった。
ということで傍観。

こんな夜にはこんな読書「花ざかりの森・憂国」

話すには俊敏な脳の動きを要する、
三波の高校時代の女友達Mやおが好きだという三島由紀夫。

三島由紀夫はといえばなんだか食指が動かず「潮騒」しか読んだことがなかったので

初心者向けのお薦めを聞いてみると彼女は
「えーっとあれは確か黄色い背表紙だったから・・・
　新潮文庫の『花ざかりの森・憂国』という短編集」と

本の装丁や出版社まで記憶されてるほど読み込まれてる様子。

三島由紀夫が好きなのはとにかく日本語が美しいからとのこと。

というわけで図書館ですでに日焼けして
ベージュっぽく変色してしまった背表紙のそれを借りてくる。
新潮社。

エンジンがかかるまでかなり苦労した。
その美しい日本語は言われてみれば確かに本当に美しいのだけれど
それを余すところなく鑑賞する器があたしにはきっと足りなかった。

一語一句美しさを噛み締めようとし続けたら
美しさの上にさらにおもしろさが乗り移ってきた。

心にひっかかった言葉。

「苦痛は腹の奥から徐々にひろがって、腹全体が鳴り響いているようになった。
　それは乱打される鐘のようで、
　自分のつく呼吸の一息一息、自分の打つ脈拍の一打ち毎に、
　苦痛が千の鐘を一度に鳴らすかのように、彼の存在を押しゆるがした。
　中尉はもう呻きを抑えることができなくなった。
　しかし、ふと見ると、刃がすでに臍の下まで切り裂いているのを見て、
　満足と勇気をおぼえた。」

三島由紀夫が割腹自殺したとき
死に瀕して自分の描写は割腹の苦痛表現として
値していたかどうか確認できただろうか、などと思ってしまった。

「新聞紙」と「橋ずくし」が特におもしろかった。
オチが。

ところで「百万円煎餅」で登場する夫婦の本職はなんだろう。
Mやおに今度会ったとき聞いてみよう。

「憂国」は春本としても優れているらしいので
今夜のおかずに。

究極の快楽は死と隣り合わせか。
性交中に首を締める行為はそのためか。

というかそんなこと考えたら不謹慎か。

次は美容師おすすめの「岬にての物語」に行ってみよ。