旅する小林亜星

小林亜星情報満載

贈物

2009-11-09 23:34:52 | アパート
2人の女の子を抱え
精神的に病んでしまった夫との離婚裁判中の、

大学の同級生に10年ぶりくらいに誕生日おめでとうメールをしたら

意外な返事。

「学生の頃、アキ男。にもらった波の音がする不思議なマラカス?は
 今でも持っていてすぐ出せるところにあるよ
 子供たちが赤ちゃんの頃はガラガラ代わりに使わせていただきました」

そういえばありきたりなプレゼントをあげるのが嫌ということは
ありきたりなプレゼントをもらうのも嫌だろうと勘違いして

ありきたりじゃないプレゼントを探し回ってるころがあって。

たしかおしゃれな街と言われてる吉祥寺に行って
散々お店を見たけれど何も見つけられず

結局直径4センチの竹筒の中に何かが入ってて
筒を傾ける度に中の何かが動いて雨の音が聞こえるやつを買い
それにカーキ色を着せ

当時勉強してたフランス語のデカルトを竹筒表面にぎっしりと書いて
あげたんだった。

そんなお粗末なプレゼントが時を経て
ガラガラとして役だっていたなんて。

そんなあたしのエッヂが効き過ぎた代物を大切にしてくれる、

彼女の元ではきっと適度にエッヂが効いた子が育つに違いない、
という都合のいい想像。
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正晃

2007-05-28 18:52:22 | アパート
いっしょにバドミントンしてる金髪40過ぎのおっさんが
食堂をやってるというので
機会を作って興味本位で突撃してみる。

おっさんは年だけれど
なんだかスっとしてて格好いいので
お店も食堂といいつつお洒落なとこだと勝手に想像してた。

おっさんに聞いたお店の名前からぐるなびで調べても
地図と住所が出るだけで
店内の画像やメニューといった情報は出なかった。

お店は駅から徒歩3分くらいで
ほんとうに「食堂」と言った趣きだった。
店の外には蝋でできた見本品。
草臥れた感。

店に入るとクックコートを来た、
店内で唯一垢抜け浮いたおっさんが出迎えてくれた。

席につくとお洒落なおっさんが選んだとは思えないよな、
奥さんらしきひとが水を持ってきて
「いつもお世話になっております」と表情を変えずに挨拶した。

定食はメイン、ごはん、味噌汁、漬物で500円。
安くて、家庭的おいしさ。

奥さんは最後まで表情を崩さなかった。
まるで惰性の接客。

おっさんが食堂をやってると言ったとき
言ってもいいですかとあたしが聞くと
おっさんはいいよと言ってくれたけれど

見てはいけないものを見てしまった気がした。
踏み込んではいけない部分に踏み込んでしまった気がした。

格好いいおっさんの生活の臭い。
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hello again

2007-04-06 00:53:02 | アパート
今日のニュース。
「英会話『ラド・インターナショナル』自己破産を申請」

23~25歳に15ヶ月通いつめた英会話学校、ラド。

ラドとの出会いは社会人1年目の営業中、
神保町の三省堂でラドのスタッフが勧誘してたときだった。

当時あたしはAFPという資格を勉強中で
近々課題のキャッシュフローとレポートを提出しなくちゃならなかった。

なぜかラドのスタッフとその話になり
全くレポートに歯が立たなかったあたしが泣きつくと
彼の知り合いにAFPを持ってるひとがいるから相談してあげると言われ
ほいほいついてったのが始まりだった。

英語にも興味があったので
入念に検討した後、15ヶ月の契約をした。

ひとり暮らしをしてたので
2年のローンは家計を炎の車にした。

レッスンの時間は決まってなくて
週に何日通ってもいいルールで
あたしはほぼ週5回通いつめた。

仕事が終わってから1日100分。
クラスは講師1人、生徒8人なので

あまり発音はよくならなかったけれど
自分の言いたいことを伝える術を学んだ。

TOEICのスコアが鰻上りだった。

あたしはNateというアメリカ人講師が好きだった。
彼には日本人の婚約者がいた。

15ヶ月の最後の日、Nateのレッスンを受けた。
最後にひとつ願いを聞いてあげる、とNateに言われ

「何か日本語喋ってみて」とあたしはお願いした。
今なら真っ先に連絡先を得ようとしただろう。

結局Nateとはそれきり。

ラドさえもなくなってしまうけれど
あたしには英語で仕事をしたいという強い思いが残った。

悪くない15ヶ月だった。
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砂の女

2007-04-01 23:31:31 | アパート
海の男、三四郎に海に連れてってもらう。
ただただ寄せては返す波を見たかった。

九十九里浜では荒い波しぶきが
たくさんの黒いサーファーを飲み込んでいた。

釣り人が溢れる堤防を沖の方向に歩くと
海の壁に道ができたよで
ベージュ色の波の上に佇むよな感覚だった。

素足にクロックスを履いて砂浜を歩くと
容赦なく砂が入ってきて生暖かい。

歩けば歩くほど埋まってく砂の海は
まるで「砂の女」の世界だった。

三四郎は口数少なく
あたしは波を見ることで無に近づこうとした。

見えない風が次々やってきて波が轟々。

卑猥な部分で水槽に張り付くサザエと
卑猥な部分を貝の外に投げ出してるハマグリ。

三四郎は今のところ
あたしにとってはアンソニーでしかない。
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下見

2006-12-29 01:50:54 | アパート
こんな夜にはこんな読書「働くということ」を読むきっかけになったTと
初めてデートした人形町の「山葵」に
そのひとの仕事納めの日にそのひとと赴く。

当時23歳だったあたしはもう29歳で
そのときのTの年齢を超えてしまった。

隣のそのひとは
あたしの回想などおかまいなしにひれ酒をすすってる。

クリスマスイヴには不透明な甘い時間を過ごして

年の瀬の今日にはあまり言葉を交わさず
いっしょにいる時間を楽しめた気がする。

菊子という白子焼きが舌にまとわりつく。
あたしはそのひとのが舌にまとわりつく感覚を想像して目を細める。

今日、そのひとという存在はまだ隣にいる。
まだ。
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2006-12-22 01:49:13 | アパート
職場ネタをもうひとつ。

今の職場には同い年の未婚女性がもうひとりいる。
あまり気が合わないので薄い関係。

前からけっこうバキバキ休んでいたけれど
今回の休み方は尋常じゃない。

12月5日から今日まで出勤したのは半日なので
体調不良を通り越して精神不良なのかもしれない。

何か張り詰めてたものが
ある日突然プチっと切れて
今までできてたことをすべて投げ出したくなる瞬間は
誰にもあると思う。
踏みとどまれるか、とどまれないかの違いで。

ちなみにあたしは大抵、後者。

そこまで休んでしまうと
軌道修正するのは相当難しいと思われ。

有給も消費しつくしただろうけれど
このまま年明けまで出勤できない可能性もあると思う。

休むことで病むことを回避してるのなら
それも有りだと思う。

そんな中、あたしの来年の目標は皆勤。
事前申請以外の有給消費をしないこと。

とりあえず年明け一発目の1月5日が最初の山。

これでも小・中学校、大学1年目は皆勤だったので
素質はあるはず、と思いたい。
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手段

2006-12-22 01:26:27 | アパート
究極の秘密主義の職場の相方とは隣の席なのに
満足なコミュニケーションができないのが
ずっと気がかりだった。

隣の席にいるのにメールでやりとりという方法が嫌で
あたしはなるべくメールより口頭という手段を選ぼうとした。

けれど最近席替えがあったときに
一時的に席が離れてオーラルコミュニケーションができない数日があり

そのときにはどうしようもなく
仕方なくメールでコミュニケーションをすることになった。

実はメールでやりとりしたほうが
円滑に意思疎通ができてることに気付いた。

それでもやはり文字ベースではない
生のコミュニケーションが大事だと思う。

けれど時と場合によっては
文字でよりうまく疎通ができるひともいるわけで
それでうまくいくなら
手段に拘る必要はないんだとやっと体感できた。

今、
あたしと彼女の間には微笑みがあり
半年以上かかったけれど
いい関係が出来上がりつつある・・・と思う。
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偽善事業

2006-12-10 02:01:58 | アパート
錦糸町でバドミントンサークルの忘年会。
1次会残り10分から参戦。

過去4つのサークルで爪弾きにあったという、
絡みにくいと専らの評判のスーさんと2次会20人カラオケで隣になる。

どれだけ絡みにくいのかとても興味があったので
積極的に攻める。

野猿か広瀬香美で選曲を迷っていたので
気を遣って
「ゲレンデがとけるほど恋したい!」を聴きたいとリクエストすると

野猿のあとに
すかさずもう一曲広瀬香美を入れてしまったご様子。

一瞬周りの空気が凍った。

「ゲレンデがとけるほど恋したい!」のイントロが始まると
彼女はあたしに「歌うわよ」の目配せをしてきた。

空気が読めない女。

歌い終わってご満悦の彼女が隣に戻ってきて
ネタとしておもしろいので話を振る。

コミュニケーションの間が悪すぎる星に生まれてしまったひと。

どこに住んでるのか
仕事は何してるのか
バドミントンはどこでしてるのか
いちいち丁寧すぎるほどに回答が返ってくる。

彼女のうまく話せないもどかしさは
昔の自分を見てるよで切ない。

ひとつ年上の恵まれない彼女を見下して
これも慈善事業と携帯番号を赤外線で交換。

偽善の塊。

それでも食いつく彼女は根性あるという評価。

家に到着した彼女から早速、安着連絡メールが届く。
興味ありませんが。
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2006-12-04 20:31:14 | アパート
職場の都合で業務が午前中で終わったので
卒業後に入った最初の会社の元同期で前彼未踏の元カレと神谷町でランチ。

目的はその会社が生意気にも神谷町に移転したので
そのオフィスを見てやろうツアー。

あたしが入社したころの何千億という借金は残り百億程度にまで減り
来年はとうとう上場するらしい。

28人いた同期はまだ10人程度残ってるらしく
誰彼が結婚したとか出産したとか噂話に花を咲かせる。

彼が交際を申し込んでいた女医にフられた話、
女医と結婚して開業した彼女の病院の受付と駐車案内に明け暮れる毎日という妄想、
ほくほくした顔。

彼のブログ、社員番号99032(仮)では
失恋報告第一号として書かれていた。
光栄。

外資系のオフィスのよなその会社は
まるであたしがかつて働いてた会社とは表情を一変させていて別人。

でもなぜかときどき訪れて
自分の成長具合を確認したくなる場所。
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2006-11-30 23:59:17 | アパート
出会頭のモルモット男に
「いつ飲みにいく?」と電話をかけた。

どちらでもよかったので、
というのは特に下心もなかったから
結婚してるかどうかは聞かなかったけれど

あたしが聞いてもないのにモルモット男は
「カミさんが師走で仕事忙しくて毎日子守してんのよ」と
妻子がいるという事実をあたしに露呈した。

「いくつになったの?」と聞くと
「32歳よ」とモルモット男。

30歳を過ぎると
いい男はとうにソールドアウトで
売れ残ってる男はどこか必ず難有りなのだという現実を
じりじりと突きつけられてくのが
これから待っている未来の中で確実なことのひとつかもしれない。

小樽で寄った北一硝子のアウトレットで
本店では何も買おうと思わなかったけれど

規格外れなどの難有りだったり
売れ残りの在庫処分だったりのカップたちは
どこか個性的で愛おしくなりほしくなったのを思い出した。

難有りの男の中で苦し紛れにどれかひとつを妥協して選ぼうとしてるころ
あたしもきっとかなりの難有りで売れ残っているはずで

その難は
少しでいいから個性的で
アウトレットに立ち寄った男の目を魅きつけるといいのにと思った。

モルモット男には
「お酒飲まないで
 子守中の4歳のカノンちゃんも連れてくるのも有り?」と聞いた。

カノンちゃんとはおいしいジュースが飲めそうだ。
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