旅する小林亜星

小林亜星情報満載

急患

2007-07-30 23:04:43 | 馬来西亞
いつも大変お世話になってるマレーシアのエンジニアが
日本に3週間ほど出張にきている。

日曜は検証サーバの構築をしようといっしょに休出の予定だったけれど
出勤前に電話がかかってきて
背中が痛くてどうしようもないからキャンセルさせてくれとのこと。

ついでにどこか日曜でも開いてる病院があるか?と聞かれた。

調べついでに通訳兼付き添いとして
彼のホテルの近くの都立病院のERに連れてく。

問診表は英語だったけれど
受付表もその他の指示も日本語で
もし彼がひとりだったら随分心細いだろうと思った。

問診表が英語だったので
やはり診察してくれた医者は片言の英語が話せ
通訳する必要はなかったけれど。

大きい病院なので
やはりトータルで1時間半ほど待たされ
いろいろたらい回しにもされレントゲンをとり
もちろん保険が利かないので会計が13000円。

彼は以前階段から落ちて背中を痛めたと言ってたので
そこらの町医者にかかるよりちゃんとしたとこでと思ったから
大きい病院を選んだのだけれど
都立病院てたいしたことないのかも。
というか頼り甲斐ないのかも。

診察料は彼の医療保険でカバーできるとのことで
バスの運賃200円にも目を丸くして高いという彼は
そんなに多額を負担する羽目にならなくて幸いだった。

けれど13000円で結局湿布を処方されただけなので
そこいらの薬屋でHisamitsuの湿布買えばよかったという
彼の心の声が聞こえてきそうだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

価値

2006-11-04 03:22:10 | 馬来西亞
いつも大変お世話になってるマレーシアのエンジニアが
日本に2週間ほど出張にやってきた。

ウィークリーマンションに滞在するので
嫁の分の飛行機代を自分で払って嫁もついてきた。

金曜にマレーシアンをつれて神戸に出張してきてと
なんともおいしいオファーを会社からいただいたので
土日は京都観光の計画を練りに練る。

金曜のホテル代は会社支給だけれど
土曜の宿泊は自己負担で
京都のホテルをツインで7000円以内で探してほしいと
マレーシアンに頼まれた。

あたしはひとり旅派で
ホテルにも食べ物にもこだわりが無いので
どんなところでも寝泊りできるけれど
さすがにツインで7000円はホテルのレベルを落としても難しい。

しかも紅葉シーズンで京都のホテルはほとんど満室。
30件近く問い合わせてやっと小汚いビジネス旅館の一室をゲット。
二人で7800円。

予約の際に彼らは日本語が喋れないと伝えると
通訳するひとがいないなら泊められないと言われ
自分用にもう一室予約。

今回が彼らにとって最後の日本滞在になるかもしれないと思えば
なんでも彼らの好きなよにやらせてあげたいと思った。

二人は共に32歳で結婚7年目だけれどラブラブで
あたしが二人だけにしてほしかったらいつでも言ってねというと
いいからいっしょに行こうと3日間いっしょに行動した。

金閣寺と銀閣寺と京都ハンディクラフトセンターに行きたいというのでつれていく。

3日間で一番困ったのは食事で
一食800円を超えると高すぎるというので
店選びに一番気をつかった。

それでもお弁当を買ってきて
外で食べるのもいいもんだと思った。

ひとり旅に慣れすぎて
誰かと旅に出るのはもう駄目かもしれないと思っていたけれど
彼らがすごく居心地のいい旅にしてくれた。

もし彼らがもう一度来日することがあれば
今度はぜひ苔寺に連れてってあげたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誤レンジャー

2006-08-23 23:08:04 | 馬来西亞
運用してるウェブサーバのログがローテーションされずに
ひたすら貯蔵されていくため
シェルスクリプトを書こうという話になった。

実行するとHello!と表示される程度のスクリプトを作ったという経験だけで
「あたしにやらせて?」
というと海の向こうのマレーシアンは同意してくれた。

内容的には
ウェブサーバが動いていれば停止し
既存のログファイルを日付入りファイルにリネームし
新しいログファイルを作成し適切な権限を与え
ウェブサーバを起動するという単純なもの・・・

と軽く考えていたが
いざ一から書こうとしてみたが
一行目のfor構文で躓く始末。

海の向こうのマレーシアンに泣きつくと
のび太をあやすドラえもんのよに
http://www.sun.com/bigadmin/という
スクリプト集を教えてくれた。

最初から教えてくれよと心の中でつぶやく。

似たよな作りのスクリプトを発見したので
ちょいちょいいじって何とか書けそう。

いやはや最初にこれ考えたひとって尊敬。

こんなに面倒臭い思いをするなら
毎月手動でログファイルをリネームするよと思ってしまう。

努力する場所は考えもの。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ムスリム

2006-08-14 23:09:07 | 馬来西亞
ムスリムと数日間
寝食を共にしたのは貴重な経験になった。

マレーシアとイスラエルは国交がないことや
マレーシア人の国民感情としては
ウサマビンラディンが極悪人としては写ってないことも驚きだった。

ムスリムの面倒くさいとしか思えないよなルールに
基づいて彼らの生活が在る。

毎日決まった時間にお祈り、
決まった肉しか食べられない、
一生でセックスするのは配偶者とだけ。

あれもだめ、これもだめ、それもだめという規律を
面倒くさいと思う前に
ムスリムに生まれついた彼らには至極当然のこと。

心を近づけることができたマレーシアンが帰国する前日
自分のバドミントンチームに連れてった。
いっしょにミックスを組んで試合に勝った。
もう彼とバドミントンする日は来ないだろう。

日本での最後の夜だからと
葛西臨海公園までドライブした。

ほとんど人気のない波打ち際に座って何時間も海を眺めた。
東京の喧騒と千葉の絢爛はまるであっちの世界。

聞こえるのは魚が飛び跳ねる音だけで
眩しすぎる満月が水面を照らすとキラキラ輝いて
幾数もの飛魚が跳ねているよに見えて目が離せなくなった。

渋谷、新宿、秋葉原しか行ったことのない彼は
「東京にもこんな場所があるんだね。
 連れてきてもらわなかったら、一生わからなかった。」
と言った。

終電を逃しても最後の夜を、最後の時間を共にしたくて
お互いに帰ろうとは言わなかった。

ベンチでキスをしてきつく抱き合った。
彼はあたしの胸をまさぐり
股間を大きくしながら
「君が僕の奥さんになったらしようね」と
最後の一線を超えようとはしなかった。

あたしにとっては簡単な、その一線を超えさせなかったのは
彼の理性を最後までコントロールしたのは
ムスリムのルールだった。

彼には妻がいる。
ムスリムは4人まで妻を持つことができる。
4人も妻を養えるひとはほとんどいないけれど
一般的には4人目が一番愛されるというので
「あたしがあなたの4番目の妻になれるよに
 早く2番目と3番目を探して」とお願いした。

生まれつきのムスリムと結婚するために
無宗教のあたしがムスリムになるのには
相当の覚悟と愛情が必要だろう。

「もしあなたがムスリムじゃなくて
 奥さん以外のひとともセックスできるとしたらあなたはする?」
とあたしが聞くと

「日本の文化は僕たちの文化とは違う。
 違うものとして受け入れるけれど
 僕は妻以外のひととセックスしたいと思わない。」
と彼は答えた。

「神に性別はないと思うけれど
 あるとしたらアラーは女性なのかもしれないね。」
とあたしが言うと

「人間にアラーのことを想像する権利はないんだ。」
と彼は言った。

信仰がひとに及ぼす影響は偉大だ。
ムスリムになって彼と結婚したいと思うほど
彼を好きにはならなかったけれど

アラーと共に生きる人生は
制限されてばかりいるようで
実は人生をもっとシンプルにしてくれるのかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マレーシアの細胞

2006-08-06 22:49:21 | 馬来西亞
フィリピンの細胞
中国の細胞に続いて
JICAが青年招へい事業の一環として行っている、
合宿セミナーに再び参加してみる。

国はマレーシア、
テーマは青年指導分野。

今回参加した日本側青年は専門性が高く
名立たる大学の院卒や留学経験を持っていたり
有名企業の内定が決まってる優秀な学生さんや

青年海外協力隊でマレーシアに滞在経験を持つ優秀で
知識も経験も豊富な社会人が多く
気後れすることばかりだった。

国際協力や開発援助。

これまで全く興味を感じなかったことが
学問や書物の中から抜け出て
目の前で未来に希望を抱いて目を輝かせてる学生に語らせれば
興味深くて身近なものに感じる。

同時に自分が高校を卒業してから選択してきた10年が
まるで熟考を欠いた代物に思えてきて情けなくなった。

大学の分野を選択するところから
自分の将来を見据えて
自分のレールを自分で組みたててきたひとを羨ましく
そして尊敬の念を抱く。

あたしのレールは行き当たりばったりで継ぎ足してきた
選択の数々で構成されていて統一感がない。

もう後の祭のよな気配も充分だけれど
今ここに手にした無限パズルの最初の1ピースを
全体の完成図は全くわからないまま
それでもひとつずつ組み合わせてみたいと思い始めた。

自分が選択してきたこのレールは
無秩序で偶然の塊に見えるけれど
回り道には回り道なりの理由があって
選択してきたことはやはり全て必然なのだと思う。

本当は何ピースのパズルなのかわからないけれど
とりあえず手持ちのピースに合う次のピースを
やはり自分なりの選択をしながら探そうと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三叉路

2006-07-25 00:58:55 | 馬来西亞
職場のマレーシアンは
半年間の業務を終え、来月帰国する。

あたしの後ろの席の女の子が
3人で飲みにいきましょうよと誘ってくれた。

彼女は9月からシンガポールで働くことになっていて
マレーシアンは転職して秋から再び日本で働くことになっている。

海外で自分の力を試したいと思ってる3人が
たまたまここで出会い
たった半年間だけ同じ街にいて
たった数時間だけ同じ笑笑で飲んでいる。

マレーシアンと仲良くしてたひとは他にもいるのに
彼女がその飲みに新参者のあたしを選んでくれたことが嬉しかった。

アジアの経済が発達して
安い労働力が輸出されれば
言語に弱い日本の市場は今以上にしんどくなるだろう。

そんな状況で10年後、20年後
自分はどいう生き方を選択してるのだろう。

願わくばあたしもアジア人のひとりとして
アジアの経済発展の端っこに貢献していたい。

そして日本ではないどこか海外の笑笑で
また3人でおいしい酒を飲みながら
下ネタに花を咲かせたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

真夏の夜の正夢

2006-07-19 01:17:15 | 馬来西亞
土曜夜22時。
誰もいないオフィスの冷房は止まってる。
サーバが黙々と稼動する音だけ妙に響く。

バドミントンあとのべたついた肌を
滝のよな汗が流れる。

サーバ証明書の更新が今夜の仕事。
頼れるのは教会から家に帰る途中の海の向こうのマレーシアンと
彼が作った何十ページものマニュアル。

与えられたサービス停止可能時間は1時間。
影響があるユーザは1万人。
自分の一挙手一投足が寿命を縮める。

独り言を老いの骨頂と普段は嘲笑うあたしが
今夜ばかりは独り言オンパレード。

「えぇーっと、バックアップ完了しました。
 次はファイルのコピーね。
 うわー、まじわかんないわ・・・
 うん、よしとしよう。」

独り言を言うとなんて捗るんだろう。
自分のやるべきことが脳を貫通して明確になる。

指を使って文字を書いたり
口を使って言葉を発することで
脳を使うだけよりずっと脳を使うことができる気がした。

無事にサーバ証明書の更新後
サービスを再起動し終わったのが22時53分。
サービス正常性確認もなんとか完了。

あまりの緊張から開放され
ローソンで買ってきたネバネバ大王を食べながら
「うわー、ネバネバたまんないわー。」
と引き続き独り言。

落ちつきだけは一人前のエンジニアになれた夜、
声だけなら痺れるほど渋いマレーシアンと
真夏のひとときを共にする贅沢。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カブトムシ

2006-07-17 20:54:19 | 馬来西亞
職場の中華系マレーシアンとカラオケ。
同い年で浅黒くてかっこいい。
Windowsのプロとして世界中を出張してるらしい。

誰かが選曲したaikoの「カブトムシ」。

カタカナを読める彼は
カラオケの画面を見て
kabutomushiてなぁに?とあたしに質問。

a beetleという単語が浮かばず
「ええと、茶色くて昆虫の王様で・・・」
とツノのジェスチャーを加えると何とか通じた。

追い討ちをかけるよに彼の質問が飛ぶ。
「何で漢字じゃなくて平仮名じゃなくてカタカナなの?」

そんなのaikoに聞いてくれと思いながらも
aikoの「カブトムシ」が
「甲虫」だったり、「かぶとむし」だったりしたら
百年の恋も冷めるわと思う。

言葉の表記方法が日本人に与える印象の違いなんか説明できるはずもなく
切ない恋の歌をBGMに、耳元で囁き合ううちに
あたしが彼のカブトムシだったら

甘い蜜に誘われるよな、
甘い蜜に誘いたいよな、
この微妙な心の機微を説明できるのにと思った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする