旅する小林亜星

小林亜星情報満載

未遂

2009-01-30 19:49:08 | 恋のうた
「今何してるの?」

「シャワー浴びたとこだよ」

「アンタといっしょにシャワー浴びるところ、想像した」

「今日足の毛、剃り忘れたから想像しないで」

「足より、その足と足の間にある部分のほうが興味あるんだけど」

「あたしの足と足の間には樹海が存在してて
 入ったら二度と出て来れないから、やめたほうがいいよ」

「その樹海に作物を植えたらいいよ
 オレなら立派に育ててみせる」

などと平安時代の和歌のよなメールのやりとりをしてた、サモア人Lと。

彼のいい加減さはあまりにも魅力的で
もしセックスを仄めかされたら

あたしは絶対に抗えないだろうと思っていた。

「アキ男。31歳白書」には
国籍追加でサモア人と書くことになるのだろうかと覚悟してたほどで。

あたしには何よりも大事な、
青い眼をした、かわいいかわいいカレシがいるというのに

それでも彼を裏切らざるを得ないと思う自分の性を恨んだりもした。

2ヶ月未満の遠恋も全うできないなら
本物の愛ではないのではないか。

ところが急激に近づこうとしたあたしを
男が面倒くさいと思うのは万国共通なようで

サモア人Lは急にそっけなくなった。

ちゃんとコミュニケーションしたくて電話をしても出てもらえず
隣町で会う約束を2回ともどたキャンされ

それでも毎日欠かさずくるメール。

ああ、あたしは浮気せずに済んだ。
大事なひとを裏切らずに済んだ。

もちろん浮気の線引きによっては
あたしは有罪だ。

精神罪だ。

自分の中の限りなく動物な部分を思い知らされただけで
動物になることは已の所で免れた。

きれいなままの身体で
青い眼をした、かわいいかわいいカレシにまた愛してもらえる。

あたしはラッキーだった。
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こんな夜にはこんな映画「The Dinner Game」

2009-01-30 19:22:16 | こんな夜にはこんな映画
NZのクリスマスはプレゼント合戦だ。

青い眼をした、かわいいかわいいカレシの家のクリスマスツリーの下には
きれいに包装されたプレゼントの嵐。

カレシのパパとママが
あたしに5つもプレゼントをくれた。

もらえただけでうれしいのだけれど
プレゼントの中身はあたしのために選んでくれたというよりは

言い方を選ばなければ
誰にでも配れる無難なもの。

質より数、的な。

たとえばチョコレートセット。
たとえばボディソープセット。
たとえば香水。
たとえば馬の抽象的なポスター。

あたしがカレシのパパとママにあげたかったのは
ほかでもなく「笑い」だったので

大好きな映画、「奇人たちの晩餐会」のDVDをあげることにした。

このマニアックなDVDがNZにそう簡単にあるはずもなく
例のごとく何店舗もDVDショップを回った。

なんとか1軒、発注できる店を見つけオーダーするも
3週間経っても納品の目処がたたず。

やけくそで入ったJB Hi-Fiに3本も簡単に発見、
しかも超おすすめされてた、

喜び勇んで購入。

年末のカレシのパパとママとのホリデーになんとか間に合いプレゼント。

ホリデー初日の夜に

「とてもおもしろいらしいよ」とのことで6人で見始めたDVDだけれど

ひとり減り、ふたり減り
最終的にはカレシパパとホームステイしてるドイツ人の高校生だけに。

カレシパパは気を遣って最後まで見てくれた模様。

映画上映中
何度かクスリ笑いが起こったものの

あたしのお気に入りの笑いは理解してもらえなかった。

笑いの好みはひとによって違うのは当然なのだけれど。

それにしても邦題は「奇人たちの晩餐会」とかなり的を得てるのに
英語のタイトルはなんてひねりがないのだろう。

カレシのパパとママへのプレゼントに
補足的にマグカップを追加しといて大正解だった。

そういえばピニョンのおもしろさは英語音声でも健在だった。
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こんな夜にはこんな映画「Yes Man」

2009-01-30 19:00:30 | こんな夜にはこんな映画
サモア人Lとそのゆかいな仲間たちと映画を見に行こうと

仕事を土曜日お休みにしてもらったのに
そのサモア人たちが土曜日仕事になってしまったので

ひとりで見にいく「Yes Man」。
映画を見れる場所まで家から2時間半。

表情で笑わせてくれるジム・キャリーに助けられ
けっこう笑うことができた。

隣に座ってたKiwiが笑ってたところで
何箇所か理解できずに笑えないところも。

そして少し泣いた。

何も残らない映画だけれど
ズーイー・デシャネルのキュートさは一生忘れないと思う。
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こんな夜にはこんな映画「Blade Runner」

2009-01-30 18:35:46 | こんな夜にはこんな映画
ポルノ女優を母に持つ、イタリア人Kの人生映画ペスト5、
「Blade Runner」ディレクターズカット版を見てみる。

少しだけ、イタリア人Kに近づきたくて。

「『Blade Runner』は美しい映画だよ」と言うとおり

美しい映画だった。

20年以上前に撮られた映画だとは信じられないほど
新しい映画だった。

なぜ、そんなにも「強力わかもと」にこだわったのか、
Deckardがアンドロイドだというアイディア、

チェスのプロセスをおもしろおかしく映画に取り込んでるところなど
映画を見ただけではわからないネタ満載な映画。

イタリア人Kのフィードバックもまた。
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会計報告25

2009-01-30 18:16:25 | 会計報告
<1月25日>
朝食(パイ+コーヒー)NZ$6
おやつ(L&P+アイス)NZ$6.4
おやつ(チップス)NZ$1.5
ガソリン(自宅←→Port Jackson)NZ$25
夕食(インドカレー)NZ$15

計NZ$53.9
エンゲル係数53.6

久々にロビンとトランピング、
あたしの話に「yes」とか「true」とかしか言わない退屈ロビンとの、ささやかな友情 priceless
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付着

2009-01-30 14:50:00 | 青春生き残りゲーム
チャイニーズニューイヤー。

包菜のよな包容力をもつ、
サモア人Lと鬼の居ぬ間に洗濯デートしようと向かう隣町行きのバス停にて

あ、そのデートの約束はどたキャンされたのだけれど

ベンチにて
やはりバスを待つ老人に

なにやら中国語で話しかけられる。

ん?という顔をすると
英語で「中国人じゃないの?」と聞かれたので

首を振る。

覚えたての「新年快乐」は通じず。
「你叫什么名字?」も通じず。

ほぼ歯のない口でいっしょうけんめい話してるらしい英語をなんとか理解すると

どうやら彼は隣町のさらに隣町からやってきたようで
やることもない休日に

年寄りゆえ、バスが無料で乗れるという理由だけで
あたしの住む、この何もない田舎町にたどり着いたそうな。

「この時間、バスが2時間に1本なんだよ」と文句を言ってるらしい。

彼は中国は福建省の平潭県で教師をしてたらしい。
その後、NZにいる息子のもとにやってきたとのこと。

「でも英語がしゃべれないから」と

お手製の何ページにもわたる単語帳を1ページずつ見せてくれた。

15分ほど、おしゃべりしてると
お待ちかねのバスが来た。

あたしはバスの中ほどに陣取り
老人は一番前の席に。

誰かがバスを降りるたびに
老人は振り返って、あたしの存在を確認する。

あたしの降りる隣町に到着して
あたしがもう二度と会うことのない老人に

「See ya」と手を振ると

老人はにっこり笑った。

あたしが老人に感じた、
「アタッチする」という感情を

その老人も感じててくれたらしいことがうれしかった。

恭喜发财!
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蛾我

2009-01-20 02:46:19 | 青春生き残りゲーム
朝起きてトイレに行くと
トイレの岩壁に一匹の蛾がとまっていた。

上のほう。

おしっこをしてる真っ只中に
勝手に飛び立たれて

お尻に彼の鱗粉がつくのは耐えられないので
威嚇するも、どこ吹く風。

無意味な殺生は避けたかったものの
膀胱袋の尾も切れかかっていたので

やむを得ず目を逸らしながら水を流す。

あたしの業といっしょに

きれいに水に流してくれるかと思いきや

流れていったのはあたしの業だけで
流し終わったあとの貯水槽で彼は溺れそうになりながらも必死に泳いでいた。

ほら、岸壁まであともう少し、と思っていると

彼は見事に岸壁まで泳ぎ着き
生き抜いた感慨を味わいながら、羽についた水をはねのける。

いやだから、君の命を奪いたくないんだってば、と思い

再び岸壁に居座ろうとする彼を
小さく千切ったトイレットペーパーで威嚇するも効果なし。

万策つきて
断腸の思いで

もう一度水を流すと

「またですか?」とでも言いたげな顔で

洪水に足をとられながらも
また岸壁まで彼は泳ぎ着いた。

しぶとい。

さらにもう一度水を流すと
同じプロセスが繰り返されたものの

これまでとは一点異なる点があった。

彼は彼なりにこれらの一連のプロセスから学習したのかしてないのか
岸壁をさらに登り詰めて

便器の縁の中に移動した。

蛾なりの学習に拍手喝采も
水を流したときにはそこが一番水流が強くなるので

きっと彼はひとたまりもないだろう。

そろそろ肉体的タイムリミットが迫っていた。

意を決して
もう一度水を流す。

今度はちょっと長めに。

4度めの生存も心のどこかで少しだけ期待していたけれど
トイレの藻屑となって彼はブラックホールに飲み込まれていった。

彼がそこまでトイレにこだわった理由はなんだったんだろう。
もしかして彼女で、そこに排卵していたとか。

蛾の我は強いのかもしれない。

そんな後味悪い朝。
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包菜

2009-01-18 20:09:45 | 恋のうた
星占をどの程度信じてるのかわからないサモア人L。

オークランドから家に戻る途中に
また彼の住む隣町で1時間のバス待ちなので

暇つぶしに呼び出してみる。
と言いつつ、ドキドキもする。

ちょっと早い電車に乗って
会える時間は1時間半。

バス停の待合室の裏に座って話す地べた。

相変わらずの色黒な肌を逆手にとって
白いタンクトップからむき出しの上腕二頭筋と

サングラスで読めない表情と

きれいに切り揃えられたあごひげがたまらない。

悔しいけどかっこいいじゃないかという思いを打ち消すよに

「で、ほんとうはいくつなの?」と切り出してみると

「39歳。
 アンタ、31歳には見えないから、おっさん扱いされたらいやだなと思って」と白状した。

嫁とは去年破局したこと、

嫁が15歳で、彼が31歳のときから付き合ったけど
嫁が遊び足りないという理由で別れたこと、

娘二人はサモア語を習いたがってること、

金曜の夜は元嫁が飲みにいくので
娘二人を預かってること、

そろそろラグビーシーズンが始まるので
ゲームに備えて身体を鍛えてること、

キャベツの収穫はラグビーのトレーニングだと思ってること、

彼が3歳のときに両親が離婚して
記憶の片鱗もない母親はアメリカにいること、

お金を貯めたら
母親に会いにいきたいということ、

仕事中にもちょくちょくマリファナを吸ってること、

クリスチャンなこと、
去年1年間で教会には3~4回行ったこと、

朝起きるとお祈りすること、
それは友達が2人、寝たきり、もう2度と起きなかったことがあったから、

彼の名前はサモア語で「天使」を意味すること、

結婚や彼女を作ることはもう考えてないこと、
ただ出かける相手がほしいこと、

「アンタのこと、好きだけど、カレシいるしね。
 でも友達になるにしてもアンタ、クールだよ」と彼。

次の週末に映画を見にいくことになった。

だから青い眼をした、かわいいかわいいカレシを裏切ってまで
セックスしたいとは毛頭思ってないわけで。
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指枕

2009-01-18 18:59:17 | 恋のうた
2週間後に日本から帰国することになってる
青い眼をした、かわいいかわいいカレシとあたしは

なぜか彼のベッドの上でしげしげと見つめ合ってた。

約2ヶ月の時間を埋めるべく
早々に愛を営もうとするのだけれど

同僚のマレーシアン女子が「早く仕事に戻れ」と邪魔をする。

なんとか邪魔を追い払って
さて、とセックスを始めようとしたところで

大切なひとの夢から醒めてしまった。

青い眼をした、かわいいかわいいカレシの指使いを思い出しながら

青い眼をした、かわいいかわいいカレシのいない、
青い眼をした、かわいいかわいいカレシの広い若草色のベッドの上で

そっとオナニーしてたら
いつの間にか眠りに落ちてたみたいだ。

セックスの続きがしたくて
急いでもう一度寝ようとしたけれど

空しくなってやめた。
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星占

2009-01-16 18:05:25 | 初恋クレージー
どんな人参をぶらさげてるのかわからない件の自称27歳のサモア人L。
色黒なジョン・トラボルタ風。

恐いものみたさで携帯番号を交換してから
毎日分刻みで内容のないメールのやりとりをして

サモア人は「P」と「B」の発音を逆にしてることに気づいた。

メールでは彼はたとえば

bit→pit
company→combany

こんなふに打ってくる。
一度このパターンを頭に叩き込めばなんとか理解できる。

あたしが彼の「boyfriend」を「pussy」と聞き間違えたのも
これで納得がいく。

「かわいいおしりちゃん、おいしそ」とあたしを呼ぶ彼は

あたしが20年近くコンプレックスを抱いてる、
あたしのお尻が好きらしい。

もちろん服の上からだけど。

ただ無駄にでかいだけなのに
なぜあたしのお尻はこうも評価されるのだろう。

これは

「おっぱい、大きすぎて困っちゃう」という女性とは

格段の違いがある。

このお尻のせいで
パンツスーツの似合わなさと言ったら関東一かもしれない。

だいぶ話が逸れたけれど
メス犬を見れば入れたがる程度の男かと思っていたら

「妻と離婚したのは彼女が浮気してたから
 オレはしてないよ、嘘だと思ってる?
 信用できないなら、元妻に直接聞いてもいいよ」と言ってみたり

わりと子煩悩だったり

「アキ男。はオレと同じおひつじ座だね」と言ってみたり

家に帰るために隣町でバスを待っていたところ

「今、何してるの?」とメールが来たので

「1時間、バス待ち中」と返信したら

「もっと早く教えてくれればよかったのに」と言うので

送ってくれるのかと思いきや

「オレ、その隣町に住んでるから
 いっしょに1時間バス待ってあげられたのに」と言ってみたりと

なかなかのギャッパーなわけで。

人生初のサモア人との始まったばかりの友情は
この田舎町ではもってこいのエンターテイメントなわけで。

青い眼をした、かわいいかわいいカレシを裏切ってまで
セックスしたいとは毛頭思ってないわけで。
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