旅する小林亜星

小林亜星情報満載

27

2018-12-08 16:11:42 | 旅人
マッサージ師の兄さんと気持ちの通ってないセックスをして満たされたはずなのに
なんだか寂しくなったのか、

こんな昼にはこんな映画「Taxiwaala」でナンパしてきたSameerに
社交辞令的なメッセージを送る。
どうせ会うこともないし、ハイデラバードのひとではないと言ってたから
観光の情報交換もできるかなと。

彼はワランガルのひとで、家族で養鶏場をやってるひとだとわかった。
いろいろ話すうちに、正直に実はナンパされたとき昏睡強盗されると思ったと言ったらショックを受けてた。

聞いた話で判断する限り、かなりのお金持ち。
育ちのよさが伝わってくる。

ハイテクシティでやってる展示会に行くから、明日会おうよ、
アキ男。が指定する店で会おうよ、お店のひととぐるになって薬を飲ませることができないように、と。

カラチベーカリーというカフェに行ってみたかったのでそこに4時半に待ち合わせ。

バイクで迎えにいくよと言われたけど
まだ信用しきれてないのでこちらのホテルの場所も教えず。

映画館で会ったときはまともに顔も見れなかったけれど
現れたSameer、めちゃめちゃかっこいい。

なのにめちゃめちゃおもしろい。
4時半に会ってから7時半までぶっ通しで話す。

1年前にヒンドゥー教の彼女と結婚しようとしたけど向こうの親に反対されたこと。
彼の人生、生活、家族、宗教、安倍晋三からパールハーバーまで。

こんなにたくさん笑ったのって何年ぶりだろうと言うくらい話があった。
こんなにあたしのことを知ってほしいと思ったのは久々だった。

7時半になってまだ話は尽きなくて
Paradiseにビリヤーニを食べにいく。

インドのマトンビリヤーニは実はラムなことをここで知る。

9時近くになってこれからどこか行く?て聞かれたけど
寝不足で疲れてたので帰ろうかと言った。

今度はバイクでホテルまで送ってくれて、
でもあたしからは敢えて何も誘わなかった。

ホテルの部屋に着くまで見送るよと言われたので、
あなたがバイクで走り去るのを見送るよと言い返したら寂しそうな顔をするので

あ、あたしもまだ離れがたいと実感した。

あたしの部屋でもうちょっと話してく?
寄ってってもいいけどこのホテル、ゲスト立ち入り禁止なんだよね、
だから受付で見つかったらひと部屋予約しなきゃいけないんだけどと説明すると

嬉しそうについてきた。
運よく受付には誰もいなくて、あたしの部屋に到着。

で、単刀直入に
ここに来るってことはセックスするってことだよね?
でもコンドームないんだ、どうする?て聞いたらバイクで買いに行ってくれた。

バイクで買いに行って帰ってきたときも受付には誰もいなかったらしい。

いっしょにシャワー浴びようよって言われて
冷たい水しか出ないシャワーを二人で叫びながら愛にまみれるように浴びた。

彼にとっては人生で4回目のセックス。
なのにこのひとAV男優向きというくらいコントロールが秀逸で

あたしが好きなちょっと激しい感じのセックスだった。
乳首が千切れそうなくらいかまれた、そしてそれが快感だった。

イスラム教なので割礼されてるのだけれど
ペニスの上半分が赤黒くて、途中から黒いのだ。

皮がなかったせいで立派に育ったペニス。
イスラム教万歳。

僕たち、精神的にも肉体的にも最高峰でつながれたよね、
もうこんなふうにつながれるひと現れないと思う、と言われた。

前者には激しく同意、
後者には何も言わなかったけど、Sameerならいつか必ず誰かとつながれると思う。

あまりに長いセックスで、ぬるぬるだったあたしの中が乾きだした。
Sameerはペニスに水をかけてまた挿入する。

そしてすごい雄たけびをあげたかと思うと幸せそうに果てた。

お姉ちゃんちに滞在してて、午前1時までに帰らないと心配するから、と
でもしっかり2回戦もやって帰ってった。

次の日は仕事終わりの11時ごろにやってきた。

あたしがSammerはあたしの27人目だよ、あたしのラッキーナンバーだよって言ったら
そんなセックスしてたんだ、とHIV感染の心配をしだした。

ただ喜ばせたかっただけなのに
あたし余計なこと言ったなーと思ったけど

口の中に傷がなければキスでは感染しないこと、
最後にHIV検査してからあたしは生でセックスしたことがないことを説明した。

さらに割礼していると感染のリスクは低くなる記事も見せた。

ハイデラバードの男の子はみなフェラチオが大好きなのかと思っていたら
性器は性器同士、
口は食べるための器官なので、性器を口に入れることはしてほしくないし、したくないと言われた。

これはイスラム教の考え方なのか、彼の考え方なのかわからないし
大好きなひとだからしてほしいといわれたらしようと思っていたけれど
しなくてよいならなおよし。

彼が果てて、精液の入ったコンドームを部屋のゴミ箱に捨てるように促したら
僕の精液が入ったものをホテルの従業員に捨てさせるのは道徳的によろしくないと思う、と言って
トイレに流していた。

トイレに流したら分解されずに詰まる原因になるよ、というのは敢えて言わなかった。

あまりに話し込んでいたら2時近くになっていて
彼が慌てて帰ろうとした。

翌日は金曜日でSameerの仕事が1週間で一番忙しい日。
あたしは土曜朝の4時の飛行機なのでホテルを夜9時ごろに出て空港に向かうと思うと伝えた。

ということはこれが最後の夜だから最後にお別れのキスをオネダリしたのに
彼はそそくさと帰ってしまった。

それが彼を見た最後の瞬間だった。

NZに帰ってきてもしばらくメッセージのやりとりをしてた。
7時間半の時差だと電話もできない。

こんな「マディソン郡の橋」みたいな恋を人生に何度も経験していては身がもたないけれど

でもあの広い映画館の中で何百人の中からあたしを見つけてくれてありがとう、
出合ってくれてありがとうて思った。
(ハイデラバードには中国人もヨーロッパ人もほとんどいないのであたしは実際目立ってたけれど)

生活を共有しないからこそ、
彼のおならをかぐ必要もないし、
あたしの鼻くそほじってるのを見られる心配もない、色あせない未来のない恋。

祝・27人目。
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26

2018-12-07 20:23:01 | 旅人
いつインディアン大澄から連絡が来るかもしれないとがっつりは観光できず
ショッピングモールに買い物にいく。

滞在中にアーユルヴェーダを受けたくて
いろいろ検索したけれど、うさんくささをぬぐえないので

手っ取り早く近くの五ツ星ホテルのスパで予約を入れた。
90分コースで5000ルピー(NZ100ドルくらい)だから、NZの普通のマッサージと同じと思ったら
1回くらい贅沢しようと思った。

予約の時間に行くと受付に兄さんがいて更衣室に通される。

高級ホテルなのに、シャワールームの壁が剥がれつつカビが生えてたりと
インディアンクオリティー。

兄さんに、女性と男性どちらのマッサージ師がいいかと聞かれる。
ただ強さが違うだけと。

アーユルヴェーダやったことないからどっちでもいいよと言うと
じゃぁ僕ね、と言われふうんと思った。

すっぽんぽんに紙製のパンツを履いてガウンを羽織る。

さきほどの兄さんに案内されて施術室に行くと立ったままガウン脱いでと言われる。

今までの人生で受けたマッサージは男性でも胸が見えないようにタオルで隠されたりしたので
そういうのを想像してた。

もう逃げられないので、ガウンをさくっと脱いで施術台に仰向けで横になる。
こんな乳丸出しになるんだったら女性を選らんでたと思うも時遅し。

アーユルヴェーダてなんか特別なものかと思ってたものの
普通に気持ちいただのオイルマッサージという印象を受けた。

わき腹の辺りをマッサージされたときくすぐったくてにやにやしてるとどうしたの?と聞かれ
いや、くすぐったくて、と言うと、はいリラックスリラックスと笑いかけてくれた。

か、かわいい。

徐々に紙製のパンツも脱がされぱっくり陰部ご開帳。
もう恥ずかしいのも通り越して。

乳首に触れるか触れないか、
クリトリスに触れるか触れないか、のツボを抑えたマッサージ。

陰部近くの太ももも丁寧にリンパに沿った感じでマッサージされて

ああ気持ちいなーとか
こんな状況でもさすが五ツ星ホテルで働いてるひとはいやらしい気持ちになったりしないプロなんだなー
あたしが濡れてるのばれないといいなー

などと思ってると

陰部の近くを指さして、ここマッサージしても大丈夫と聞かれ
大陰唇の近くにもリンパがあるのかなーと思いつつ
もう何でもありだわと思って全部の質問にうんうん言ってたら

気がついたら手マンされて、クリトリスにキスされてて、
あたしの身体がびくんびくんとなるのを兄さんはうれしそうに見てた。

乳首をさしてここも触ってほしい?と聞かれたのですごい勢いでうなずくと
兄さんはマッサージなのか前戯なのか微妙なラインで乳房を揉みしだき

暑くなってきたからこれ脱いでいい?とユニフォームを脱いですっぽんぽんになった。

あたしは止め処ない快感にもう何がなんだかわかんなくなって
兄さんはあたしの上にまたがってキスしまくりの、乳首吸いまくりで、あわよくば挿入しようとしてる。

入れようとしてるの?ゴムなかったらだめだよ、と言ったら
その瞬間に彼は果ててた。

よくAVでマッサージがあまりにきもちよくてセックスおねだりというジャンルがあるけど
これほんとに存在するんだ、裏メニューじゃんとか

「欲求不満人妻、アーユルヴェーダであーぬるぬるまんこに中だし未満」みたいなAVが撮れそうとか

朦朧とした頭で考えてた。
果てたあとは普通のマッサージに戻って90分勝負終了。

兄さんにいつもお客さんとこんなことしてるの?と聞くと
いやかなり稀だけど時々、とのこと。

(首になるかもしれない)リスクあるのに?と聞くと
リスクはないよ、だってちゃんと触っていいか何度も聞いたでしょって。

シャワーを浴びて着替えると兄さんはふつうの他人に戻ってた。

ホテルに戻ってもさっき起こったことが信じられなくてドキドキする。

次の日冷静になったのにも関わらず
この非日常という旅の最中に起こったあまりの非日常の甘美さが忘れられずに
観光しながら兄さんとのセックスのことばかり考えてる。

夜7時ごろまたそのホテルに向かう。

兄さんの名前もわからず、男性の施術師が何人もいたらどうやって予約を取ろうと思ったら
ちょうど受付に兄さんがいて

「今日予約できる?昨日のマッサージが気持ちよすぎて」と言うと兄さん表情も変えずに7時40分に予約を入れてくれた。

自分のホテルに急いで戻ってシャワーを浴び
5000ルピーと残り1つのコンドームを持ってホテルに向かう。

更衣室で着替え、ガウンのポッケにコンドームを忍ばせる。

昨日はあんなことになったけど
兄さんは何もなかったような態度なので
今日はただのマッサージだけかもと思ったら

早々にパンツを脱がされ
兄さんもすっぽんぽんになり

コンドーム、ガウンのポッケに入ってるよと言ったら
え、ひとつしかないの?ふたつあればよかったのにって。

前日のマッサージよりも手抜きだし、なんか心ここにあらずという感じだったけれど
あたしは海外に買春しにいくおっさんそのものだったのでセックスできればよくて。

兄さんはがっちりした体格で、その上半身にあたしはしがみつく。
みこすり半で果ててた。

あたしの欲求は満たされた。

シャワーを浴びてから受付にいる兄さんに
あたしの26人目なので記録上名前を聞くとNarashと教えてくれた。

電話番号も教えようか?と言うのでもう連絡することはないだろな、みこすり半だしと思いつつ
一応もらっておいた。

祝・26人目。
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最後の1回

2018-12-07 19:55:11 | 旅人
7.5時間の時差ボケと
明け方の犬の喧嘩と
近くの鉄道駅を通り過ぎる汽笛と
毎朝5時23分に大音量で流れる美しい旋律のアザーンの所為で
1時間置きに起こされて寝不足。

インディアン徳重おすすめの、ホテルから歩いていけるビルラマンディールに行く。

道すがらスリとか頻繁に遭遇するのかと思いきや
意外とというかとても安全に感じた。

昨日の夜来ると言ってたインディアン大澄は
急に行けなくなった、今日の昼に会いに行くと行ったきり。

午後2時くらいにあたしのホテルまで来てくれて、
部屋に入れようとしたところ
ホテルのスタッフにゲストは入室できないと言われがーんとなる。

久々に会ったというのにインディアン大澄は特に感慨もなく(彼らしい)
で、どのくらい時間あるの、とインディアン大澄に聞くと20分くらい、とのこと。

またがーんとなって
近くのコンビニまでインディアン大澄のバイクの後ろにまたがって行く。

ケーキみたいなのを買ってくれたけど
久々に会えたという感慨に喉を通らない。

彼が作ってる映画の撮影を見たくて来たのに
部外者は立ち入り禁止と。

ホテルまで送ってもらう間、インディアン大澄の背中の体温を感じるだけで精一杯。

途中で道に迷って、このままずっと迷ったままならいいのにて言ったけど
鼻で笑われた。

明日の朝ハイデラバードからバスで6時間の実家に戻ると言ってたので
会えなくてもいいから彼の生まれた街に行こうと、
列車が出てるシカンダラバード駅に翌朝6時25分に出る列車の切符を買いにいくも予約はできないと言われしょんぼり。

ホテルに戻ると
明日もハイデラバードにいることになったから今からそっちに行ってもいいかとインディアン大澄。

1泊ひとり1600ルピー(約NZ30ドル)の三ツ星ホテル。
ホテルのスタッフにゲストは1晩600ルピー追加と言われてたのに
いざ手続きをしようとしたらひとりの宿泊をふたり分に変更しなくちゃいけないから

1泊だけならほかに部屋を1つ予約して、
しかもハイデラバード在住のひとは泊まれない、とこの期に及んで言われがーんとなる。

もうやぶれかぶれで1600ルピー払うからもうひと部屋予約して
インディアン大澄はハイデラバードの住所ではないことがわかり(ハイデラバード出身というけど、正確には違った)
ひと部屋予約すれば、あたしの部屋に泊まることは了解を得て
11時くらいにインディアン大澄が現れた。

募る話もあるからたくさん話そうと思ったのに
暑いからと天井の煩いファンをつけっぱでテレビを見始める。

あたしの質問には答える。
相変わらずのマイペース。

眠そう。
今日の朝まで映画の脚本を書き直してたとか。

会いたいから来たんだよ、と言われ
彼はおべっかとか言うタイプではないからそれは本音なのだろうけれど

彼にとってあたしは何者でもないのだなと再確認。

最近セックスした?と聞かれたのでしたよ、と素直に答えたら
旦那?彼女とどうなったの?と珍しく聞かれたので別れたよ、と答えたら

それで旦那としてるんだ、と。

そっちは最近した?と聞いたら
してないよと。

今まで何度もセックスしたけど
はじめてちゃんとしたベッドの上でするセックスだった。
たぶん最初で最後。

愛しかった。

で、1時くらいに友達から電話がかかってきて
映画の出資をしてる友達が事故に遭って今病院に運ばれたから行ってくる、と。

数日してから友達大丈夫?と聞いたけど音沙汰なし。

何かにめちゃめちゃ集中してるとき
このひとはほかの何も目に入らない。

それが彼と会った最後の瞬間だった。
まともにさよならもできなかった。
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こんな昼にはこんな映画「Taxiwaala」

2018-12-07 17:02:17 | 旅人
バリ、ドバイ経由でハイデラバード空港に降り立つ。
アライバルビザの申請にやきもきしながらなんとか入国。

空港の売店で50ルピーの水に2000ルピー紙幣を出したら
お釣りは1750ルピーだった(あとから気づいた)。

バスの運転手に住所を見せてここに行きたいんだけどと言ったら
どこどこで降りろと言われた。

面倒見のよさそうな運転手だったので、
もし聞き取れなくてもなんか言ってくれるだろうと思ったら言ってくれずにかなり乗り過ごした。

人生2回目のインド、はじめてのハイデラバード。
インディアン大澄と付き合うまで聞いたことも、関心もなかった街。

なにもかもがとてつもなく巨大で、広大で、
ひとも、建物も、すえた臭いも、土煙も、何万回も聞くクラクションも新鮮だった。

バスを適当なところで降ろされ
インディアン大澄に今どこ?と聞いたら
今どこ?と聞き返された。

どこかわからないと半ば助けを匂わせたが
今アキ男。がいるところはアキ男。が泊まるホテルからそう遠くないよ、という助言だけで
はるばる会いに来た元カノを助けようなんて考えはもちろん微塵もない模様。

Uberに乗って無事にホテルにたどり着く。

ひと息ついてから、街歩きと暇つぶしを兼ねてショッピングセンターと映画館に行く。
映画館で4時過ぎから始まる
「Taxiwaala」というタクシードライバーのアクション系映画に見える、テルグ語の映画のチケットを買う。

150ルピー(NZドルだと3ドルくらい)。

チケット売り場のお姉さんがあなたテルグ語わかるの?と聞いてきて
わからないけど別にいいの、と答えたら
英語の映画見ればいいじゃんと言われ、怪訝な顔をされた。

インディアン大澄の話すテルグ語の映画をインドでどうしても見たかったので。

上映時間が近くなり、セキュリティチェックを受けてスクリーンのほうに行くと
ひとりの男のひとになんか見られてるなー感が。

巨大なスクリーンに入って自分の席に座るとさっきのあたしを見てた、
超イケメンインド人があたしの隣に座って話かけてきた。

君は美しい、とか
英語上映の「The Girl in the Spider's Web」を見にいこうよ、とか
映画終わったらスタバでお茶しよう、とか言われたような。

ああ、これがインドで有名な昏睡強盗で、
スタバについてくと飲み物になんか入れられて
気がついたら身包み剥がされるか、レイプされるのか、こわいわーと思う。

人生初でナンパされたのに、
しかも目の覚めるようなイケメンなのに、あまりうれしくない。

電話番号を無理やり押し付けられてから、彼は「Sameer」と名乗った。
しばらくすると自分の席に戻っていった。

で、上映がはじまるのかと思いきや
スクリーン内の全員が全員さくっと起立したと思ったら
画面いっぱいにインドの国歌が流れた。

これ、起立は義務らしく、立つタイミングを失ったあたしは
国歌が流れる間相当気まずかった。

で、肝心の映画は新しいジャンル、ホラーコメディで内容はなんとなくわかったものの
長すぎる上映時間3時間の間にあたしは5分くらい寝オチした。

上映が終わって、さっきのナンパ男に見つからないようにそそくさとホテルに戻った。
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そうだ インド、行こう

2018-12-07 15:49:16 | 旅人
10月に日本人経営の美容院で興味もない日本語の雑誌をぱらぱらと眺めたとき
旅に行くなら、インドと
書いてあったどうにも普遍すぎる記事になぜかこのタイミングで脳天をぶち抜かれた。

誰かの親になったときから、
ひとり旅をするという人生で最大の贅沢を諦めたけど

インディアン大澄が今シーズンのクリケットをNZでプレイすることはないことを知って急に
無性に会いたくなったのと

今インドに行かなかったらきっと一生後悔するという
意味のない焦燥感に追い立てられ

飛行機のチケットは11月なら往復でNZ1200ドル台で行けそうなこと、
ホテルとお小遣いを含めたら2000ドル以内で納まりそうなこと、

インディアン大澄が映画を撮ってるのをぜひ見たい(真)
インディアン大澄には彼女ができたし、もうお互いに恋愛感情はない(嘘)
がんばって仕事してローン返して、育児もしてるのに自分たちにはご褒美が何もない(真)
10年後に子どもが自立したとき旅に出ても遅い(真)

という無茶苦茶な理論武装と
ダーリンが浮気したという事実をちくちくとお堀から攻めるというせこい手と
ダーリンが旅行したいなら行ってきてもいいよという口当たりのいいフレーズで

5日間の有給と、
9日間のひとり旅を勝ち得た。

インディアン大澄は3本映画を撮ってる最中で会える保証はないのに来ても無駄という姿勢。

それでもあたしは自分の意思で、
好きなことが好きなときにできるという自由を

持てなかったとしても、
感じることができれば、
錯覚することができれば、それでよかった。

1月はインドが一番過ごしやすい時期で11月に比べ1000ドルくらい飛行機代が高くなることがわかり
ダーリンの承認を取り付けたのは出発の3週間前だった。

出発は11月最後の金曜日午後。

飛行機を予約してから
長女の運動会があたしの旅行中にあることを思い出し(断念)
出発の1週間前に義父が心臓の手術を受けるからもしかしたらということもあるかもしれないし(結局何もなく)

元気だったダーリンの祖父が出発の1週間前から急にがっくり来て、
火曜日にお見舞いに行ったところ(頼むからあと1週間がんばってくれとまじ祈った)、
その翌日の水曜日、出発の前々日に亡くなり、

さすがに嫁が葬儀に出ないのはありえないし、ここで家族内の軋轢を産んでまで
自分の自我を通すべきではないと思い、旅行は断念しようと思ってたところ

ダーリン「葬儀に出れなくてアキ男。が一番申し訳ないと思うのはだれ?」

あたし「義父」

ダーリン「アキ男。が行かないと父さんに言ったら、なんて言うと思う?」

あたし「たぶん、行ってこいて言うと思う」

ダーリン「僕もそう思う。だから行ってくれば」

という会話をして
義父母、義兄夫婦には前日に説明してわかってもらった。

コンドームは2つ持った。
というわけで夢にまで見た、7年ぶりのひとり旅のはじまり。
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衣擦

2009-05-21 19:39:11 | 旅人
南島旅行中9日め。
仏蘭人Mとクイーンズタウンで合流。

彼女が予約してくれたバッパーに2泊。

見事なまでに白人しか泊まってなくて
ホワイトワールドにようこそ、という感じがした。

自分がアジアンであることを思い知らされて
なんだか不必要に少々居心地が悪かった。

男女混合部屋に4人女子と1人男子。

18歳のイギリス人の彼は南米を放浪してから
NZを流して
もうすぐ家に帰るホームシック少年。

ワインをズボンに垂らして齷齪。

2泊目の夜、というか朝5時12分
彼が夜遊びから帰宅。

壁のほうに顔を向けてたあたしには
その部屋の住人ではない女の子の声を聞いた。

どこぞでひっかけてきたんだろう。

ということは彼らはシングルベッドに潜って眠ることになるわけで
もしかしたらセックスをするかも、という考えが

あたしの身体全体を耳にした。

彼らは普通の声よりはささやきに近い声で会話してるままだ。

「いや、あの子はいいこだよ」とか

「彼女にメールしたの?」とか

会話の内容はあまりロマンチックではない。

彼女の声はそれでも、甘くて、眠い。

彼が服を脱ぎ始めた音が聞こえた。
彼のベルトの金属部分がベッドのはじっこにぶつかってかちんと音がする。

いよいよか、いよいよか!

こんな間近で他人のセックスを鑑賞できるなんてと
あたしの脳みそはあんなことやこんなことでフル稼働だ。

寝返りを打つ振りをして
彼らのベッドのほうに向き直りたい欲求を

セックス開始のゴングぎりぎりまで待つ。

彼の着替えが終わったようで
彼がベッドにもぐりこむ。

しばらく衣擦れの音。

・・・寝息?
寝息?

二人は何もせずに眠り始めてしまった。

あたしはあまりの興奮と失望に7時まで眠りにつくことはできなかった。

複数の人間が眠るドミトリーでは暗黙のルールがあると思う。

夜遊びしたいひともいれば
朝早くのフライトのために、まだ暗いうちから起きなければならないひともいる。

荷解きや荷造りはできるだけ
みんなが起きてる時間帯にすべきだし

それが困難な場合はできるだけ静かにやるべきだ。

あるYHAで2人の女連れがベッドを隔てて夜中話してることがあった。
あたしは笑い声で2回起こされた。

「話すのやめてくれる?」と言ったら

悪びれもなく「ごめん」と言われたので

次の日の朝、まだ寝てる彼女たちの眠りを妨げるよに
できるだけ大きな音で身支度した。

そんな性悪なあたしだけれど
なぜかそのセックスをしなかった少年には不思議なほど

腹が立たなかった。

彼のセックスに期待した罪悪感は
なんだかクリトリスに指を這わせたよな後ろめたさで

その未遂に終わったセックスの共犯のうちのひとりのよな気がしたせいかな。
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独伊

2008-12-31 05:18:33 | 旅人
ボスと何度かの交渉を経てなんとかゲットした5日間のクリスマスホリデー。
同居人のマレーシアン3人と北上の旅。

初日の夜、マレーシアン女子のかわいさに
フラフラと吸い寄せられてきたのが、イタリア人K。

自称アメリカンインディア系というとおり
深い彫りにイタリア人の華やかさがミックスされてエレガント。

あとからやってきた、
前日の夜にイタリア人Kと仲良くなったらしい、おっさんドイツ人R。

ただのデブ。

クリスマスイヴの夜はわいわいと過ごす。

3人の同居人は2日目の夜に帰宅。

イタリア人Kとドイツ人RとPaihiaのビーチに泳ぎに行く。
あまりの冷たさに絶叫。

海の水温は陸の気温より1月後れ、を体感。

一番に陸に戻ったイタリア人Kが
どこぞのコブ付きエキゾチックな女性と会話を楽しみはじめた。

次に陸に戻ったドイツ人Rも会話に加わる。

一度水温に慣れたあたしはひたすら泳いで体温をキープしていたので
陸になかなか戻る勇気がなく。

一大決心をして陸に戻り、ガタガタ震えていると
イタリア人Kが宿に戻ろうと言ってくれた。

なかなか話をやめようとせず
彼女の気をひくためか、双眼鏡など持ち出すドイツ人R。

震えるあたし。

宿に戻って3人でお茶をしてると
YHA主催のクリスマスパーティで相当酔っ払った、
YHAのスタッフのニュージーランド人Dが参戦。

回ってない呂律の英語はゆっくりですごくわかりやすかった。

彼女が「ブロークバックマウンテン」の話を始めたので

「あー、あたしもあの映画、大好きだよー」と言ってみると、

「ジャックが死んじゃったとき、
 あたし、あまりにも悲しくて悲しくワイン一本あけたよー
 それからひと晩泣いたー。
 彼、世界一セクシーだと思う。
 彼にプロポーズされたら、絶対結婚しちゃうもん」

と1センチ長の睫を瞬かせるニュージーランド人D。

「うちのお父さんね、ゲイ恐怖症なんだけどね、
 うちの隣に住んでるこれまたゲイ恐怖症なおじさんとね、
 『ブロークバックマウンテン』を見ようってことになったらしいの。

 彼らがそれを見たとき、あたし家にいなかったから
 彼らの反応も見れなかったんだけど・・・」

と続ける彼女。

「あー、酔っ払って歯の感覚が4分の3なくなってきた」

とどうでもいい情報を続ける彼女。

あたしたち3人は素面だったので
そんな彼女に爆笑の連続で。

彼女の家はYHAから遠いらしく
どうやって帰ろう~と悩ましげだったので

ドイツ人Rが車で送っていくよと言った。
ドイツ人Rはその晩、隣町に宿を予約していたから、そのついでに。

ニュージーランド人Dは

「じゃ、うちに泊まれば?」と提案。

隣町まで運転するのが面倒になってたドイツ人Rはラッキーな面持ち。

二人が手をつないで出ていったので

あたしがイタリア人Kに

「R、あの子と今夜セックスすると思う?」

とにやにやしながら聞くと

「やろうと思えば簡単な状況だけど
 彼はそういうタイプの男じゃないと思うよ」とイタリア人K。

あたしはRはそういうタイプの男だと思った。

ところが5分後にドイツ人Rは車でフラフラと戻ってきて
どうしたの?と聞いてみると

「あの子、酔っ払いすぎててさ、
 家の前まで行ったら、じゃぁね、って言われた。

 泊まっていけば、って言ったの、覚えてなかったみたい・・・

 で、ブチューってキスされたよ。
 僕の唇、彼女がつけてたバニラ味のリップの匂い。うえー。」

とかなんとか言って嬉しそうだったRは
再び隣町に向かって出発した。

そんな一夜。
新日独伊。
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彼女

2008-11-11 19:44:27 | 旅人
金曜日の午後、水から陸の生活に戻り
3日ぶりのシャワーを浴びてから

Sueの彼女、EricaがいるTaupoに向かった。
うれしそうなSueと、ちょっとやきもちをやくあたし。

Ericaは57歳。
上品なアウトドアおばさんて感じ。

土曜日は二人きりにしてあげようと思い
あたしは朝早くから活動。

日曜日はEricaの誕生日だった。

SueがEricaのしたいことをさせてあげたいと言ったので
土曜日に行って楽しかったというロッククライミングに行ったけれどお休みだった。

とりあえず車でAucklandに戻り
SueとEricaのバックパッカー探しをした。

Ericaにどうしてもロッククライミングをさせてあげたかったので
青い眼をした、かわいいかわいいカレシにネットで探してもらった。

Sueは見学だけ。

Ericaのクライミングに夢中になってるSueを見て
ちょっとやきもち。

Sueの運転でカレシ宅まで送ってもらった。

「イギリスに来ることがあったら、いつでも歓迎だから」と

二人がハグをくれて
奇妙な1週間にバイバイした。

レインボーフラッグな車が見えなくなったところで
涙が溢れ出した。
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無時

2008-11-11 19:28:44 | 旅人
水曜の朝8時半にBlazing Paddlesに行くと

忙しないおばさんが白い防水おばけバケツに荷物を詰めるよに指示した。

あたしたちのほかには

ムキムキマンの白人男性2人がいて
カップルなのかなと。

水着の上に、ややぶかぶかのウェットスーツとライフジャケットを着て
いざいざ。

黄銅色のワンガヌイリバー。
3日分の食料と衣類とテントと寝袋と。

約90キロを3日間かけて下る旅。

カヌー経験、釧路湿原のみのあたしが前で
かなりの経験者のSueが後ろ。

時速10キロ。

ところどころに急流が出てきて
海かと思うよな波で襲い掛かってくるので

Sueが

「そこ、左側を急いでこいで、急流抜けたらすぐ真ん中に」

と迅速な指示をくれたおかげで

船頭が1メートルほど上下する中
奇跡的にも1回もカヌーの外に投げ出されずに済んだ。

テントは2時間おきに位置するロッジに泊まれなかったときの非常手段で
一度も使わなかった。

ハットは予想をはるかに超えるきれいさだった。

トイレはバイオルーだし
電気が通ってないので、食事はガスで調理、

太陽が沈むとともに寝袋に沈み
太陽が昇るともに寝袋から抜け出す生活。

久々のぼっとんトイレより難しかったのが時間。

無職生活中は時間管理が最大の課題なので
常にExcelで30分おきの自分の行動管理をしていた癖がぬけず

何時に何々をしなければならないという呪縛に。

時計代わりに持ってきた携帯の充電が切れ
誰かに聞かなければ、わからない時間。

おなかがすいたから食べる。
眠いから寝る。

目が覚めたから起きる。

という当たり前のナチュラル生活に馴染むのに苦労した。

1日目の夜は前述のストレート警察官二人組みと同じハット。

2日目の夜、Sueと二人きりになった。

なんとか火を熾した暖炉の前で
日がとっぷり暮れて

ろうそくの火でお互いの表情がなんとか読める距離で
どちらからともなく話をした。

Sueというひと。

絶対音感を持ってたからフルート奏者を目指したけどなれなかったこと。
社会に貢献してると思える仕事につきたかったこと。

9年間付き合ってた、たったひとりのボーイフレンドのこと。

26歳でビアンになったこと。
ひとりで生きてくことになるかもしれないと覚悟したこと。

Sueのガールフレンドのこと。
彼女とは6年半つきあってること。

付き合い始めて3週間でうまくいくと思ったこと。
彼女はSueをreinforceする存在だということ。

父親と20年絶縁してたこと。
ガールフレンドがいたから父親と和解する勇気がでたこと。

presumeとassumeの違い。

最終日の川はとにかく晴れだった。

漕ぐのがもったいなくて
永遠に水に漂っていたくて

Sueと漕ぐのをやめた。

耳を澄ませば
鳥がなんとも言えない透明の声でおしゃべりしていて

ひたすら続く緑色の帯に飽きない。

早くコンプリートしたい思いと
いつまでも終わりたくない思い。

Sueと共有した空間と時間。
同士以上の同士。
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突起

2008-11-11 18:37:42 | 旅人
日曜日のMatiatia Forestの帰り、うちまで送ってくれた類友Sueが
いっしょにカヌーに行くひとを探してると言ってたのを小耳に挟んでたあたしは

「今週カヌー行くの?」と話題を振ってみたら

「興味ある?今週時間ある?」ととんとん拍子に話が進み

次の日の月曜日にSueが教えてくれた「Blazing Paddles」というサイトをチェックし
Sueにビアンでないことをカミングアウトし

それでもいっしょに行っていいかどうか許可を得、

火曜日の午前中に青い眼をした、かわいいかわいいカレシの授業の合間に
2人用テントの張り方を教わり、

そのテントと寝袋とキャンピング用具一式を拝借し
あたしの中に少量の男がいることを知っている彼の危惧を若干緩和し

同日の午後に

Sueの運転するレインボーフラッグシールが貼ってある車で
3日分の食料を買出し、パッキングを終え

カヌーをするWhanganuiに向かう道中
立派にナビを務めていた。

あたしのカミングアウトにSueは

「日本人のレズビアンには会ったことがなかったから
 アキ男。がレズビアンだという確信を日曜には持てなかったの」

と前おいてから

これまで散々同じ疑問を投げかけられてきたのだろうと推測される

「あたしはアキ男。にとって100%安全だから」

と早速自分のための防御壁を築いた。

車中。
あたしはヘンナニジイロ祭のことを思い出していた。

Sueがビアンであるということは
あたしにとってはあたしの持ってない突起な属性のひとつでしかないと思った。

たとえば生粋の直島生まれの直島育ちのひととか

たとえば3回の離婚経験を持ち、それでもめげずに4回目の結婚をしようとしてるひととか

たとえばネイティブ英語スピーカーなのにエスペラント語を勉強してるひととか

そんな突起属性を持ってるひととたまたま出会うことができ
いっしょに旅できるとしたら

また「旅する小林亜星」の格好のネタだとほくそ笑むだろう。

たった好奇心。

30代中盤だと思ってたSueは実は50歳で
おもしろいネタをたくさん抱え込んでるだろう彼女との旅は

男だとか、女だとか、性的少数者とかを越えて
同士といっしょにいる感覚だけが手元に残った。
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