旅する小林亜星

小林亜星情報満載

向日

2007-10-31 23:14:07 | 流れ星
昼休みに自転車で図書館、の帰り道。

大通りの向こう側に
3年前に酷い別れ方をした、前の前の前の前のカレシ発見!

なぜ、こんな時間にこんなところに?と思いつつ
確かこの辺りに住んでると誰かが言ってたし、と思いつつ

何を思ったのか
あたしは徐に携帯を取り出して
消せずにいた彼の番号をダイアルしていた。

「こちらはソフトバンクです。
 おかけになった電話番号は・・・」

と彼の代わりに女の声が答えた。

あたしと彼は大通りを挟んでいるけれど
大通りの信号と信号の間ですぐには近づけない。

昼休みが終わるまであと、5分。

何を思ったのか
あたしは徐に自転車をこいで信号に向かっていた。

彼はタクシーに乗ろうとしてるのかもしれない。
しきりにキョロキョロしてる。

信号まで全速力。
赤が青に変わる。

大通りを渡って
彼のところまで自転車ダッシュ。

見覚えのある髪型と柄シャツの背中。
懐かしささえ。

同棲中のはずの今の彼女はあたしも知ってるひとだから
周りに彼女がいないかどうか入念に確認。

自転車のスピードを落として
ゆっくり彼の横を通ろうとした瞬間、

・・・他人の空似がそこにいた。

あたしは一体、
徒に彼に声をかけてどうするつもりだったのだろう。

どうするつもりだったのだろう。

オフィスに戻ると
昼休みが終わってから3分経っていた。

そんな、午。
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指先

2007-10-30 22:19:26 | カイロプラクター
二週間ぶり笑顔眩しい若輩カイロプラクターとの、
待ちに待った逢瀬。

30分4200円の自分にご褒美。
ささやかな風俗。

末端まで血が通った彼の指先を
あたしの身体がひとつひとつ感じる。
感じる。

心拍数が上がってどくんどくん。
吐息。

彼女がいるかもしれないし
結婚してるかもしれないし
女より男が好きかもしれないし

訊きたいことはたくさんあるのに
恥ずかしくてまだ年齢さえも訊ねることができない。

あたしが彼に触れられるのは
彼が仕事の一環として週1回書いてるブログからだけ。

その静かな文面が、
それが表現す彼のひととなりの一部が、好き。

仰向けになって
すぐ上にカイロプラクターの顔がある。
見上げる、ゆるやかな顎のライン。

あたしの顔を這う彼の指先。
キスしてくれたらいいのに。
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餞贐

2007-10-29 22:57:40 | 小豆島
ポケベルが鳴らなくて・・・鳴らなくていいや。の小豆島おじさんからメール。

「残念ですが、今年が最後でお別れ‏
 
 アキ男。さんも何時までも、若々しく
 素直に?
 ガンバテ下さい。
 少しは他人の事も考えてネ。

 今回のゴ-ルは私も、もらい泣きしきしたヨ
 貴方は素晴らしい女性でした。」

今年還暦を迎えたおじさんは
今年を最後に小豆島を引退するらしい。

20年間で16回も100Kmを完歩したおじさん。
まだ3回しか完歩してないあたしはおじさんの背中を追うのだろか。

ところでおじさんにはあたしが素晴らしい女性であることも
傍若無人であることもばれていた・・・
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寛容

2007-10-29 01:25:56 | 小豆島
去年の第30回小豆島一周100km連続歩行ホステリング前半戦でいっしょに歩いた、
紐男、三ちゃんは35歳にして無職で女にだらしなく
どうしようもない男だと思った。

彼のどうしようもない人生の話は
歩く苦痛を凌ぐいい暇つぶし程度だった。

彼は最後尾を歩きながら初心者をフォローする役割なので
今年の第31回小豆島一周100km連続歩行ホステリングでは
ほとんど絡みもなく

小豆島を去る日に草壁港で
たまたまいっしょになった他の参加者のおじさんと3人で
フェリーが出航するまでの1時間で反省会を開いただけだった。

彼は静岡在住なのでまた1年、
次の小豆島まで会うこともないかと思っていたけれど

東京モーターショーでバイトするために
海浜幕張にひと月ほど滞在するとのことなので
日曜日いっしょにごはんを食べることになった。

35歳にもなって無職で
同棲してる彼女に働かせて食わせてもらってるという、
あたしの常識にはない生き方であるし

話していておもしろいわけでもなく
そもそも彼という人間に魅力を感じていなかったのが
正直なところだった。

今日いっしょにごはんを食べて
ゆるりゆるりと杯を傾けながら話をしていて

彼の周りにはいつもひとが絶えないのは彼の人徳なのだと思った。

その大らかな誰に対してもの寛容さはすごい包容力で
前述の彼のゆるい生き方さえも受け入れさせてしまうよな器なのかもしれないと思った。

そしてそんなぐずぐずな彼を支えてる彼女にも興味が湧いた。

去年の小豆島で
あたしが暗がりの中、肉刺ができたかもしれないと靴下を脱いだのが
彼との出会いだった。

ひととひとが出会うのはひょんなことだ。
そんな彼が住む静岡に彼女に会いにちょっと行ってみたくなった。
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慈愛

2007-10-28 15:29:46 | 羽遊人
タイーフーンの大雨の中
それでも土曜日のバドミントンに車で向かった。

久々にやってきたTっきーが飲み行こうというので
練習後、久々にサークル飲みにも参加。

結局Tっきーとは席が離れてて話せず・・・

電車がもうなくなりそというIつくを
なぜか帰る方向が違うのに家まで送っていこうと思ったのは
優しさではなく単なる気まぐれと

台風一過の夜空の下
ちょっとドライヴしたかったのと

久々に行ったサークル飲みでどう言動していいのか戸惑い
素面のくせに前の前の前のカレシのことを悪く言ってしまった自己嫌悪を
洗い流したかったのとで。

初めて向かう、Iつくの家は
三波のアパートへ向かうのと同じ道順で
あたしのハートは思わずチクリとした。

Iつくは相変わらず口うるさくて
それは彼女の思いやりや気遣いなのだろうけれど

運転中もバドミントンのプレー中と同じよに
「いいんだよ、ゆっくりで」と何度も言われると
別に焦ってないのに

全然わかってないのにわかったよな口を利く彼女にカチンときたりして

そんな自分に
5歳も年下のIつく同様、あたしもまだまだお子ちゃまなんだと
否応なしに思い知らされた。

この道は知ってるから大丈夫と言ってるのに

「そこの交差点はまず直進してから
 右折車線に入ってウィンカー出すんだよ」とか
 
「ここ、けっこう坂になってるから
 あまりスピード出さないほうがいいよ」とか

「思ったより、エンストしないね」などと

甲斐甲斐しく焼くお節介を美徳だと思ってるらしい、
Iつくがもう面倒くさい。

だから、知ってるんだってば!
三波のアパートに行くとき毎回運転してたんだから、とも言えずに
もやもやした。

Iつくの家に到着すると
顔馴染みのIつくママが今度は出てきて
3匹いる猫を見てってと家に招いてくれる。

Iつくを送ってったあたしを労いたいのだろう。

24時近かったし
IつくとIつくママからこれ以上お節介を焼かれるのには
充分な感謝ができないと容易に想像できたので

気持ちだけ受け取って帰ることにした。

帰ろうと思った瞬間、エンストした。
そんな、夜。
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車輪

2007-10-28 01:15:31 | 初恋クレージー
史上最高5人の女友達を紹介したけれど、
結局ひとつも実らなかった、
大切な男友達とのごはんの約束を
半年間に2回も故意にドタキャンしたのは

最後に女友達を紹介したとき
彼の致命的な粗を見つけてしまった気がしたから。

やわらかい物腰には似合わない、プライドの高さ。

2回もドタキャンしたにもかかわらず
彼はまたごはんに誘ってくれたので
長い友達をやってくには正直な感情をぶつけてみようと大手町に向かった木曜日。

宮崎地鶏「丸星」。

彼は人生初めての転職に成功したばかりで
嬉しそに名刺を差し出して
嬉しそに名刺の裏の「東証1部上場」をアピールした。

東証1部上場企業で働いてるというステイタスが
彼のプライドをどれだけ満たしてるのか、わかった気がした。

今回のテーマは
本田健の「ユダヤ人富豪の教え」の見えざる力と
ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」

ブラジル版「杜子春」だとあたしは思ってる、
パウロ・コエーリョの「アルケミスト―夢を旅した少年」

北方謙三の「水滸伝」。

本の話はどんどんと花を咲かせて尽きない。

彼のプライドの高さに目を瞑りさえすれば
友達はやっていける。

あたしにだってたくさん欠点はあるのだし
何も本当の友達になるために敢えて彼の欠点を指摘するのも
大人がやることではないのかもしれない。

oazoでコーヒーを買って
まだ暖かい10月の秋風の中で飲んだ。

何度も何度も笑い転げる、車輪の下。
楽しければそれでいい。
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こんな朝にはこんな映画「ブラックホーク・ダウン」

2007-10-26 11:52:15 | こんな夜にはこんな映画
せっかくの21時から勤務なので
朝っぱらから戦争映画。

生身の研究会で
ソマリア国連政務事務所のDDR顧問Freddieがプレゼンしてた中の、

「The Legacy 'Black Hawk Down' still haunts Somalia
 and the international community is still reluctant to intervenu
 (at the moment only Uganda peacekeepers are on the ground) Eritrea
 and Ethiopia back opposing armed groups.
 On one hand the TFG is supported by Ethiopia while The UIC are under the support of Eritrea.」

「ブラックホーク・ダウン」を見てみる。

件の編集屋さんからは
「『ブラックホークダウン』はゾンビ映画です。
 全く情勢の学習には使えません。あしからず。」とのご指摘。

なるほど焦点は戦闘シーンで
なぜ彼らと彼らが無駄に死んだのかはわからず終い。

地球のどこか遠くのほうで今も
この映画よりももっと目を当てられないことが起こってるだろうに
最早「~人死んだ」という事実にも麻痺してる自分に目を当てられない。

いつか瀬谷ルミ子に名刺を差し出して
ごはんを食べにいけるほどの基礎知識を。
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こんな夜にはこんな読書「星野道夫と見た風景」

2007-10-26 00:57:04 | こんな夜にはこんな読書
「旅をする木」を読んでいて
ときどき顔を出す、妻直子というひと。

弱冠22歳で39歳のアラスカラーの心を捕えたなら
相当の魅力なのだろうと勘ぐる。

さらに短い結婚生活で最愛のひとを亡くしたひとは
どんなひとなのだろう
それまでどんなふに生きてきて
そのあとどんなふに生きてきたんだろうと思ってるうちに

星野道夫、星野直子の「星野道夫と見た風景」に吸い寄せられる。

「旅をする木」であたしの想像力を超えてた文面を
写真とともにレビュー。

写真のことはよくわからないけれど
動物や自然をこんなにも表情豊かに切り取った写真を初めて見た気がする。

あたしが旅行中に前ほど写真を撮らなくなったのは
旅を終えてから手元に残った写真が輝きや興奮を失ってしまうことに
失望したくなくなったからだ。

それが素人とプロの写真家の違いなのだろうけれど

彼の写真には10年以上昔の写真なのに
そのときの彼の興奮や動物の気持ちがこっち側にやってくる衝撃を感じた。

まるで、どこでもドア。

本の中で二人の出会いがお見合いだったと知る。
彼と彼女が出会ったのは必然で
彼が亡くなったのも彼女はそうやって受け入れたのかもしれないと憶測。

心にひっかかった写真。

「(62ページ)」
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図書

2007-10-25 23:46:24 | 屋久島
屋久島にいる間
何年か後に屋久島に住んでみることを真剣に考えてみる。

口をついて出たのは
「屋久島って図書館ありますか?」という質問。

住めば都をどこだって実感できる、
ゴキブリ並みの順応力への自負があるからこそなのか

本さえあれば生きていけると潜在的には本気で思ってるらしい。

質問の答えは
図書室ならあるとのこと。

蔵書はどのくらいなのだろう、
在庫がなかったとき鹿児島から取り寄せ可能かしら、と更なる疑問。

読みたい本が尽きない幸せと
読みたい本がいつでも手の届くところにある幸せ。

その二つと、
少しのストレスと
ビデオレンタル屋があれば

ほんとうにどこでも生きていけるかもしれない。
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細靴

2007-10-25 23:33:31 | ハイファイ・ローファイ
明日から4週末連続で宿泊込みの作業が始まる。

作業のメインは某外資系企業2社のエンジニアで
あたしは立会い程度でたいしたことはしない。

それに際して
最近その某外資系企業のエンジニアが打ち合わせにやってくるのだけれど
ハーレムかと勘違いしてしまうほどの揃いも揃ってイケメン祭り。

妄想鼻血。

もらった名刺に書いてあるメールアドレスに
「今度飲み行きましょう」と個人的メールを送ってしまいたくなる衝動を
既の所で飲み込んで打ち合わせに没頭してる振り。

没頭してる振りをしながら
目の端でイケメンエンジニアを観察。

イケメンエンジニアは高そな細身のスーツに
大抵先っぽが尖がって薄くて反れ上がった靴を履いてる。

時計はごっつめが主流。
スーツの袖から覗くというより主張してる。

想定作業時間は12~36時間。

イケメンのいい匂いを嗅ぎながら
彼らの真剣に仕事に取り組む眼差しを盗み見る、ひとときの快楽。

今夜くらいはせめて薬指の光るものは外してきてと思うのは
あまりの身勝手だろうか。
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