滋養豊富・風味絶佳

セキュリティ管理センターの兄さんが
森永ミルクキャラメルをくれたときから
あたしは兄さんに恋をした。

まぁるい眼鏡に
真ん中分けの真っ黒いストレートヘアー、
色の悪いくちびる。

愛嬌のある細い目。
漂っている奥深くて滑稽な雰囲気。

忙殺されてる既婚者の兄さんに
飲みに行きましょうメールをスルーされること数回・・・

やっと望みが叶うことになったのは
セキュリティ管理センターが開いてくれることになった
あたしの送別会だった。

ちょっとしか絡みがなくて
しかもいつもこちらがお世話になるほうだったのに

あたしが豆腐ようを食べたいと希望した
田町の「しだ風」を予約してくれた。

普段はイントラの平和を守るため
吊り上った目を光らせてる彼らも
仕事を離れるとひとりのおもしろい人間であり
ネタの宝庫だった。

あたしが彼らのおもしろさを知るには
２年もかかってしまった。

巧みな話術に
あたしは翻弄されるばかり。

いいちこのいいちこ割り。

ウィルスと第一線で戦う彼らと
５年後には
昨今の脆弱性について議論したい、
彼の年齢はいくつなのか疑心暗鬼な門出。

一方通行

一方通行で
想いを寄せてるＣに

リリーさんの彼女が安めぐみだったら
あたしは身を引こう。

とメールを送ったら、

安めぐみの彼氏がリリーさんなら
ぼくは身を引こう。

と返事がきた。

このひとには
一生敵わないと思った。

オレンジ色に染まる

今の現場に来るきっかけになった
プロジェクトメンバーが
送別会を開いてくれた。

場所は品川の
「庭園ダイニング　せせらぎを聴きながら」。
水が流れてる豪華な合コン用空間。

プロジェクトはもう終わってしまったけれど
久々に集まったメンバーは
やはりウィットに富んだキれるひとたち。

このプロジェクトに入れてもらわなければ
決して絡むことのなかった偉大なひとたち。

２年経って
ほんとうにこのプロジェクトで育ててもらったんだと実感。
それはエンジニアの素地以上に価値のあるもの。

ベロベロになって
えげつない下ネタに
腹筋を酷使。

オレンジ色の花束をもらった。
「君のイメージはピンクじゃないから
　こんな色のイメージのひとになってほしいから」と。

家に帰ってきて
この花の配列を崩したくなく
花瓶に飾らず
花束のまま大切に飾った。

このプロジェクトで学んだことを
決して忘れないと誓うから
この花束にずっと生きていてほしいと思うくらい
かわいい花束だった。

「君（の下ネタ）はすごい」と言われた。

SIerとして第一線で活躍する彼らに
５年後には

「君（の技術力）はすごい」と
認められたい、悲しい門出。

壱万五千円の価値

誕生日の前日
靖国神社のあとに
カレシが連れってくれたのは
天王洲アイルの運河レストラン。

料理より雰囲気を楽しむ場所に
夜景好きな彼は大満足。

あたしは笑笑で一杯やりたいと
分不相応な居心地。

オリーヴの種は
一度手で受けたほうがいいのか
口元に皿を直接持っていくのか迷う。

洋服も
会話も
身のこなし方も
気後れ気味。

それでも蝋燭の火に揺られ
ミモザ半杯で千鳥足になり
ゆったり流れるジャズに耳を傾け
他愛もない話をしながら
バカ高い料理に打つ舌鼓もなく
28歳最後の日を楽しんだ。

ちょっと食事で15000円。

やりたい盛りにセックスレスなあたしを受け入れてくれる
カレシの気持ちが一番価値があると感じた前夜祭。

靖国神社

友達と靖国神社の首相公式参拝について
話しているとき

彼女が靖国神社に行ったときのことを
教えてくれた。

首相の公式参拝に反対するからには
実際に靖国神社を訪れてみようと思い
今日行ってきた。

開花基準となるソメイヨシノは三部咲き。

遊就館についたのは閉館45分前。
前半すっ飛ばして
第二次世界大戦のころの展示を見る。

東京裁判についての記述も
Ａ級戦犯が合祀された経緯もなく。

奉られているたくさんの戦死者の写真に
圧倒される。

一枚一枚の遺影に
戦死した日と戦死した場所が書いてある。

同じ苗字の戦死者を探してみる。
２名いた。

国のために亡くなったひとを奉っているなら
政教分離とは言っても
そこは政治とは切り離せない場所だと思う。

どんな理由であれ
Ａ級戦犯を合祀している靖国神社に
首相が公式参拝するのは賛成できない。

パイパンに憧れて

なかなか伸びない陰毛が
最近目立ってきたので
剃刀で少々短くした。

あたしの陰毛は生えているというより
肌に太く突き刺さっている感じ。

切断面が下着に当たって
痒い痒い。
下着に当たらぬよに
前のめりになる。

思春期初期のころ
生え始めた陰毛に戸惑って
一度全ての陰毛を剃り落としたことがある。

あまりの痒さに血が出たことを思い出した。
苦い青春。

白魚なパイパンに思いを馳せる。

アキ男。28歳白書

28歳は今日が最後の一日。
この一年を振りかえってみる。

①夢
資金繰りの目途がなんとか。
具体的な方法の選択肢列挙と選択肢検討。

英語力数値アップ。

エンジニアとしてCCNA取得後
まともな資格は取得できず。

②バドミントン
考えることが時々できるようになった。

③15人斬り記録更新なし

④旅行大臣
東北逃避行
小豆島100キロ完歩
沖縄スピッツ追っかけの旅

⑤35歳までの結婚を目指す
引き続きいろんなひとの魅力を吸収・消化。
プライオリティは好奇心の我が侭に。

⑥肉体コントロール
体重の新記録更新。

⑦本
読んだ本15冊。
読書歴２年目としては上々。

29歳という三十路大手一年への抱負は以下。

新しい職場への順応。

夢は2007年度中の実現を目指す。
200万円の貯金。

英語で自分の言いたいことを論理的に
順序だてて説明できることを目指す。

エンジニアとしてCCNP取得。

バドミントンは
考えることで積極的なゲーム展開を。
２部で箱抜け又は２回戦進出。
レシーブ力つけたい。

旅行は我慢。
山口行きたい。

肉体コントロールは
もう体重の新記録は出さない。

本は
手当たり次第から
栄養になる本を選択する。
英語の小説を完読。

部屋を片付ける。

アキ男。27歳白書

プラプラする

会社の研修に参加する。

今日の収穫。
やはりうちの会社は
人生のネタの宝庫だと思った。

今日出くわしたのは
34歳の元ブルースシンガー。

VoIPに携わっているエンジニアだ。

10年間プラプラ。
兄さんの貯金を借りて残高証明。
オーストラリアとニュージーランドで
ワーホリ１年ずつ。

財布の中には４ドル。
いつも食べ物に困ってたけど
なんとかなってきた。

プラプラするのに飽きて
働こうかなと。

パソコンが大嫌いなところから
兄さんがMCPをとっておけば
潰しがきくからと
独学ひと月で取得。

・・・今に至る。

それでも生きてきたひとの軌跡は
おもしろい。

38年

父は今月還暦を迎え、
勤めていた小学校を定年退職だ。

うちには花束が溢れている。

変な時間に目が覚めて
小腹がすいてたので
ゴソゴソしてると
居間に父がやってきた。

仕事を休んだのは38年間で
腰痛が原因のたった１日。

まだ子どものためにやり残したことがって
これからは引き続きフォローしてくらしい。

偉大な父であり
偉大な社会人の先輩に

中村屋のインドカリーを食べながら
おつかれさまと言った。

送別会

今の部署を去ることになってから
後悔しないよに
今のうちに飲みたいひとは
自分からとことん誘いまくって
予定をフィックスした。
今月は貯金できないくらいだ。

自分の部署以外の３部署で
送別会をやってくれることになり
その気持ちがほんとうに有り難い。

肝心の自分の部署が送別会をやってくれそうになくても
それはそれで有りだと思っていた。

今の部署にきたとき
自分の歓迎会は自分で幹事をやって
歓迎してもらった。

送別会の幹事も自らやると痛いので
それはやめといた。

送別会は送り出してもらうものだと思っていたけれど
自分がお世話になったひとにお礼を言う会でもあると
考え直した。

そうすると
やはり自分の部署のひとには
言い尽くせぬほどお礼を言いたいので
送別会をやってほしいなぁと思っていたら
課長が課長は参加しない送別会を
お膳立てしてくれた。

せっかくなので
課長の分も
しっかり飲もうと思う。