旅する小林亜星

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衣擦

2009-05-21 19:39:11 | 旅人
南島旅行中9日め。
仏蘭人Mとクイーンズタウンで合流。

彼女が予約してくれたバッパーに2泊。

見事なまでに白人しか泊まってなくて
ホワイトワールドにようこそ、という感じがした。

自分がアジアンであることを思い知らされて
なんだか不必要に少々居心地が悪かった。

男女混合部屋に4人女子と1人男子。

18歳のイギリス人の彼は南米を放浪してから
NZを流して
もうすぐ家に帰るホームシック少年。

ワインをズボンに垂らして齷齪。

2泊目の夜、というか朝5時12分
彼が夜遊びから帰宅。

壁のほうに顔を向けてたあたしには
その部屋の住人ではない女の子の声を聞いた。

どこぞでひっかけてきたんだろう。

ということは彼らはシングルベッドに潜って眠ることになるわけで
もしかしたらセックスをするかも、という考えが

あたしの身体全体を耳にした。

彼らは普通の声よりはささやきに近い声で会話してるままだ。

「いや、あの子はいいこだよ」とか

「彼女にメールしたの?」とか

会話の内容はあまりロマンチックではない。

彼女の声はそれでも、甘くて、眠い。

彼が服を脱ぎ始めた音が聞こえた。
彼のベルトの金属部分がベッドのはじっこにぶつかってかちんと音がする。

いよいよか、いよいよか!

こんな間近で他人のセックスを鑑賞できるなんてと
あたしの脳みそはあんなことやこんなことでフル稼働だ。

寝返りを打つ振りをして
彼らのベッドのほうに向き直りたい欲求を

セックス開始のゴングぎりぎりまで待つ。

彼の着替えが終わったようで
彼がベッドにもぐりこむ。

しばらく衣擦れの音。

・・・寝息?
寝息?

二人は何もせずに眠り始めてしまった。

あたしはあまりの興奮と失望に7時まで眠りにつくことはできなかった。

複数の人間が眠るドミトリーでは暗黙のルールがあると思う。

夜遊びしたいひともいれば
朝早くのフライトのために、まだ暗いうちから起きなければならないひともいる。

荷解きや荷造りはできるだけ
みんなが起きてる時間帯にすべきだし

それが困難な場合はできるだけ静かにやるべきだ。

あるYHAで2人の女連れがベッドを隔てて夜中話してることがあった。
あたしは笑い声で2回起こされた。

「話すのやめてくれる?」と言ったら

悪びれもなく「ごめん」と言われたので

次の日の朝、まだ寝てる彼女たちの眠りを妨げるよに
できるだけ大きな音で身支度した。

そんな性悪なあたしだけれど
なぜかそのセックスをしなかった少年には不思議なほど

腹が立たなかった。

彼のセックスに期待した罪悪感は
なんだかクリトリスに指を這わせたよな後ろめたさで

その未遂に終わったセックスの共犯のうちのひとりのよな気がしたせいかな。
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