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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【時化休み】!

2012年10月20日 | モバイル

上空の寒気の影響で、まだ10月中旬というのに

初冬のような寒さをむかえた大船渡魚市場…!

気象予報では寒冷前線が通過するため強風を懸念…

10月20日・水揚げ中に時化休みと決まった!

季節風が吹く、いわゆる冬海となっていくサンマ漁場。

陸上が秋の涼しさから寒さにシフトしていくこの頃が、

さんまが旨い季節です!

10月21日(日) には、

「岩手・三陸大船渡第26回さんま祭り」 が開催されます。

三笠丸・兄弟船2隻も、本日20日水揚げ!

明日のさんま祭りに貢献です。

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水揚げ後「第8三笠丸」「第18三笠丸」共に…!


【秋刀魚漁・18 航海目】!

2012年10月19日 | モバイル
10月17日、20時・時化のため、大船渡入港。

入港後は、雨が強く、「氷揚げ機械」は手を付けず…!

潤滑油系統のメンテナンス作業をして、明朝の水揚げに備えて休んだ。

水揚げの見本を揚げ、入札後のトラックが配置されるまで

氷が揚げらなくなった氷揚げ機械「アイスキャッター」をチェック!

負荷によってモーターが熱をもち、煙が出たようですが、

熱が冷めると大丈夫になった!

原因は過負荷にあったようです。

水揚げ・氷の積み込みを終え

11時・大船渡出港、西風が強い三陸沿岸沿いを北上!

金華山の南東沖、南下サンマの第一陣は、

銚子での水揚げ後、北上調査してきた銚子船団の船が漁獲したようで、

そのポイントに向けて行った船も多いが、本船は僚船2隻と共に北上。

尚、来週からは2週間に5回の水揚げ規制になったようです!

時化で漁獲が少なかった船が多い為か、サンマの入札価格が若干良くなった…

15時頃から風が更に強まり、陸中沿岸沿いを離れると、うねりも高くなった…

16時・S/Bのベル!

漁灯を拡げたままの北上航走、船首に当たったうねりが漁灯にぶつかり、

何度か繰り返すうちにLEDパネルとステイを固定しているボルトとナットが落ち

パネルが宙ぶらりんに…

船首側の竿(漁灯)をたたみ(仕舞い)ボルトとナットを取り付け、増締め。

操機長と二人、船首マスト上での作業中、海面に立った波が強い風で飛沫をあげ

海は真っ白、西に陸中海岸の山並が見える。

すぐ傍を友達が指揮する僚船が竿は仕舞ったままで航走して行く…

作業後、微速航走で北上、前航海のポイントまでは、まだまだ…

20時・S/B。

これは風が強くて、竿を出したままでは走れないので、

いよいよ、竿を仕舞って航走するのかと思いながら外に出ると、

船の風下の漁灯の下にサンマが集まっていた…!

甲板の準備完了後、八戸の沖あたりで操業開始。

しかし、網を揚げると魚体組成と云うか、割合0-0-10 オールじゃみサンマ…

ライトを固定して再度北上…

時化模様の津軽海峡沖、船は横に大揺れ、激しいローリング!

気象のポイント予報(襟裳岬付近)では夜半から風が弱まり、

夜明けからまた吹き荒れる予報、予報通り日付が変わる頃から風が弱まり始め

少しずつメインエンジンの回転が上がり、1時頃前航海の操業ポイント着も、

更に北上2時半頃から操業再開。

纏まった群れを連続で操業、暑くなり上合羽を脱ぎ、ヘルメットから鉢巻に…

ブリッチ下で操業の合間に、ほつれた網を編んでいる最中、

船が微速で旋回した途端、波が…

頭の上からどっぷり…

笑い声が聞こえたが冷たいのなんの…

急いで着替え、操業。

その頃には風もうねりも弱まり、良い凪になっていた…

東の空が白まり、夜明けギリギリまで操業。

朝焼けの反対側に襟裳岬の山並が見えた!

またもクジラが船の傍を遊泳している…

漁灯を仕舞う最中に、冷たい雨が来た!

福島・いわき船団の船が船尾側に近ずいて来た頃、荒天準備完了。

南下航走とほぼ同時にまた、風が強く吹いて来た!

またも横からの風で船はローリングが激しい…

体を支えるため腰にくる…

10月中旬・襟裳岬・津軽海峡沖…

今年も季節風が吹き荒れる時期がきた!

二つ目の目標をクリアした後のこれからは、

安全航海・体調管理にも気を配りながら、秋刀魚漁中盤戦…!

風強く19日夕刻、大船渡入港予定…。


【秋刀魚漁・17 航海目】!

2012年10月17日 | モバイル

10月15日・朝6時、大船渡入港。

水揚げ船が5隻入港しており、我々は16日の水揚げ…!

市場に接岸できるスペースがないため、商港岸壁に仮停泊…。

入港・エンジン停止後、燃料系統のメンテナンス作業を済ませ、

翌朝の水揚げ開始前、5時30分の集合時間迄、乗組員は束の間の休み…!

船にはコック長と通信長、私の3人が残った。

先日、漁灯を拡げたまま氷の積み込み時に誤って破損し、

そのまま使っていたLEDパネルの交換、

漁灯吊り上げロープの交換作業に時間を費やし、

夕刻早めに寝台に入った。

水揚げ開始前までに市場に船をシフトさせるので、朝3時・早めに機関室に!

普段から、頼りにしている機関長が乗船している、いない、とでは

あたりまえですが大違い…!

…10時45分・大船渡出港 北上。

南からの微風、追い風で潮に乗って船は更に走る!

15時から漁労長が舵をもち、陸中沿岸から調査。

日没後、風が北西にかわり、うねりも大きくなった津軽海峡沖…

20時S/B。

漁灯は拡げてあるので、魚艙の準備後ライト当直以外は

船の調査航走コースに呼応するように波飛沫が当たらない場所に各自移動。

23時、襟裳岬南東側で操業開始!

魚体組成はよくないが、気象予報が悪くなるので漁獲を続けた。

操業中、エアーで氷を揚げる機械「アイスキャッター」が故障してしまった…!

こういう事もあるので、他に氷を揚げる仕掛けの準備を進言していたのですが…

甲板作業は嵐のように忙しくなったが

夜明け前、一気にうねりも風も静かになった…

嵐の前の静けさ…!

夜明けまでの回数操業でまとめて、漁灯を仕舞い荒天準備。

荒天準備している船のすぐ傍でザトウクジラが2頭、潮を吹き上げる!

準備完了、僚船と共に南下…

9時過ぎ頃から南南東の風が吹き荒れ始め、左舷前方からの向かい風…

無理せず減速、微速航走。

当直中、漁労長に呼ばれブリッチに行くと、海は大荒れ、真っ白…

陸よりに航走、陸中沿岸沿いから三陸沿岸沿いを南下。

20時過ぎ・大船渡入港!


【こぼれ話】!

2012年10月16日 | モバイル

10月に入ってすぐ、話題になった「黄金秋刀魚」!

10月2日・大船渡港に水揚げされたサンマに混じっていたらしい。

その日水揚げした船は2隻、「第18三笠丸」と「第2大慶丸」

と云う事で、第18三笠丸が漁獲し、水揚げしたのでは等の

問い合わせのメールを多数頂きましたが、

実は、流通に至る大船渡港の廻船問屋で

弟が指揮する「第2大慶丸」が漁獲、

水揚げしたサンマの中に混じっていた事がわかりました…!

稀に獲れる事があるのか?

という問い合わせですが、

沖で操業・サンマを漁獲している漁師達は、気にした事はないです!

箱詰め作業の選別の段階でも見た事がありません…!

いろんな意味で何かの吉兆になればいいですね…!


【秋刀魚漁・16 航海目】!

2012年10月15日 | モバイル

12時45分・釧路出港。

休んでいる機関長が、入院する事になったらしい…

大変である…!

なんとか無事にしのぎたいものです…。

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釧路での水揚げ・入札価格に青ざめ…

最近の道東各港の適正価格というからなおのこと…!

1週間に3航海となり、現在の操業ポイントでは、

1度は道東に水揚げしないと、内地3航海は厳しい!

道東各港への集中的な水揚げが増える結果になった気がしますが…

……浜値はかなり下落してしまった…!

不漁で始まった秋刀魚漁ですが、盛漁期に入り、今度は獲りすぎて値を崩し…

生産調整…?

何と云ったらいいか…

今後の漁模様がどう推移していくのか予測出来ませんけど、

なんだかなぁ…

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釧路から南に3時間航走、日暮れ時の船の数がものすごい!

大船団である、大型船・小型船にいつの間にか、韓国の大型船も船団で現れた!

P1090823 P1090824 画像は韓国のサンマ漁船。

台湾船の赤い集魚灯と違い白色です!

2哩圏内にひしめき合うように数十隻が、日没後操業開始!

本船は、3回の操業後、船団から離れての調査航走が始まった。

釧路入港迄と水揚げを挟んで釧路出港後、冷凍機当直で寝ずの晩…!

漁獲したサンマを冷す為の冷水は、出港してから漁場が近くても遠くても

同じに冷す事は機関部の仕事!

漁労長も入港迄と出港後、航海当直してきた…!

日暮れ時のポイントは、前夜操業したポイントですが、

一晩で魚体組成がガラリ一変…

魚体組成の良いサンマだったのですが、まるでダメになってしまった…

付近を調査も群れがみえない…

調査範囲を拡げていき、23時頃操業再開。

やはり魚体組成は悪く、群れも薄い…

更に調査範囲を拡げ、3時過ぎからやっと連続して操業できた。

夜明けより南下、大船渡港には15日・月曜日の水揚げ船が入港しているらしく

しかも、14日夜半から気象が悪くなり、15日晩は時化の予報

火曜日の水揚げになる事から、1隻で調査船の情報にかけ、

宮古の東・沖合い80哩の海区へ、

15時のポイント着より、漁労長による水温調査…。

日が暮れて、漁灯の灯りにサンマがポツポツと跳ねるがサンマは小さく、

群れになっていない!

南下しながらの調査中、南側から北上してくるサンマ船が5隻。

そのまま北上して行った…

操業できるような群れには当たらず、 南東からの風が強まり、

21時30分・諦めて帰途航走。

大船渡には15日朝の入港予定!