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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【福 (服)】!

2014年03月07日 | 私事

…宮城県・気仙沼港の周辺地域は遠洋漁船に従事する方々が多く、

私が遠洋漁船に乗船する以前、沖乗り漁師は「花形」だった…

気仙沼周辺地域、特に「唐桑」地区が盛んだった漁師の文化に

「かんばん」 と云うのがある!

大漁した船の船主さんが宴の場を設け、勞をねぎらい、

船主の屋号や船名を入れた福(服)を乗組員に振舞う。

時代の流れに沿って、福(服)から物へと形を変えていったようですが

当時は「かんばん」は大漁の功績、誇りとして

乗組員個人も思い出に残るものだったはずである…!

私は漁業家4代目、沖乗り漁師としては3代目、

我が家にも 祖父、父 が頂いた「かんばん」が残る…

「木製テーブル」と「洋服箪笥」に  大漁祝い ○○ と記されている。

それとはまた違うが、逆のパターンで 学校を卒業し、

初めて漁船に乗船して漁を終えた際に、お世話になった乗組員全員と船主に

「初乗り記念」と記した物を送る「初乗り」と云うのもあった…。

私は初乗船が、静岡県焼津港の大型カツオ一本釣り漁船、

1年乗船した後、宮城に帰り、気仙沼港の大型流し網漁船に乗船、

その年の漁を切り揚げてから、「初乗り」を贈らせていただきましたが

乗組員方々を訪問し、お世話になったお礼を伝えると、

ほとんどの方々に言われたのが 「早く一人前になる事がお礼だぞ」

「仕事は覚えるよりも慣れろだからな」 当時16歳…

今は若人の乗船そのものが少なくなって、廃れてしまったようですが…

時は流れ、我々も沖乗り漁師の中堅に位置する年齢となった…

「かんばん」や「初乗り」と云う郷土の漁師文化は薄れていったように思うが、

昨年の新造船で秋刀魚漁に従事し、切り揚げ時に

社長から、ねぎらいの言葉と共に、「大漁かんばん」の話をいただいた。

私と甲板長が相談して選んで と云う話でした、

今は実用的な物が喜ばれる時代背景という事もあって 

福(服)になったのですが、漁後、私は作業が残ったことで

甲板長と若人に任せっきりになっていました…

その「かんばん」が人数分出来上がって、昨日届きました!

Tairyoukanban2Tairyoukanban1

これがその「かんばん」です!

時代の流れと共に様変わりしました。

船番 68 船名 福神丸 イニシャル入り

出来上がりは若者向けかな…。

この場をかりて、親会社のみなさん、社長 どうもありがとうございました。

良い記念になります!