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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

回顧記 16話 「北洋Ⅲ」!

2006年03月04日 | 船上回顧記

今年は親子3人が揃って北洋に!

自宅で航海の安全と大漁、そして健康を祈願し

ささやかな祝杯をあげ、各自の乗船する船が

気仙沼港から函館港へ向け出港しました。

この年には母船式サケマス漁船の減船問題が出始め、

出漁を見合わせた船がいた中、

親子3人が別々の船で出漁できる事は

運が良かったようで、

「こういう時こそ特に気を付けて働くこと!」

父は我々、兄弟2人に念を押して言った。

函館港には、すでに各地のサケマス漁船が集結しており

前年より数隻少ないとはいえ、やはり迫力ある光景!

次の日から始まる網の連結作業を前に、早速

夜の函館の街へ繰り出しました!

前年、同じ船でお世話になった方が、今年は違う船で

一足先に函館に来ていました、その方と一緒に街へ!!!

その方には、その後の船員生活のいろいろな事で

お世話になり、今でも兄のような存在です。

函館港滞在中は、日昼作業、夜は街へ、というパターンで

滞在4日目、明日は出港という夜に

我々親子と親戚の宴会が父主催で行われました。

父がとても喜んでいた事が忘れられません!

これが親子揃って旅の港で交わした最初で最後の宴!

その後の船員生活で親子3人が共に旅の港で会う事は

ありませんでした。そして出港!!!

自分にとっては2度目のサケマス漁、操業も順調にこなし

「北洋」での操業を無事終え、8月、自宅で親子が揃い

無事航海を終えた事を祝い、弟が「イカ流し漁」

父が「マグロ延縄漁」自分は「サンマ漁」と、それぞれの

漁に移行して行きました。

そしてこの年が最後の「母船式鮭鱒漁」となり

函館港での宴も、若かりし日の漁師生活の良き思い出として

今でも時々、当時の沖乗り漁師の花形「北洋」

自分なりに思い浮かべることがあります。