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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

回顧記 1話 「船酔い」!

2006年01月31日 | 船上回顧記

初めて船に乗船してから25年!

心の片隅にある、いろんな思い出話を

数回に分けて回顧記として載せてみます!

1980年5月、静岡県焼津市の遠洋カツオ1本釣り漁船

「第15拓漁丸」497tに乗船!

初航海は「トンボ」(ビンナガ鮪)釣り

焼津港を出港し駿河湾を航行中は良かったが

御前崎を過ぎた頃、早速 船酔いの洗礼!

時間と共に段々と船のゆれも大きくなり

具合が悪く、寝室に入る事も出来ず

煙突の隅に横になっていたら

いつの間にか寝てしまっていた!

コツコツとつつかれ、目覚めると

誰かが、いちごを数個差し出してくれた。

「何か口にしないと船酔いは益々酷くなるよ」

という声と共に!

その時は誰かわからなかったが

後に司厨長(コック長)だという事がわかりました。

数日間、何も食べれない日が続き、

航海当直で起きている時は、重油の匂いが

一番きつかった!

それでも、

「何も食べず、胃に何も無いと胃液が出てもっと大変になるぞ!」

「これを克服しないと漁師にはなれないぞ!」

皆に言われ、食べては吐き、食べては吐き、を

繰り返しながら、船は漁場に着き、調査が始まった!

魚群を見つけて、船上が魚との戦場になると

船酔いどころではなかった!

操業が始まり3日程で具合が悪いのも忘れていた。

思い起こせば、あっという間だったが

船酔い中の数日間は16歳の若人だった自分には

苦しい日々だった!

これまで船でいろんな人と乗り組んだが

全く船酔いを経験しない人もいます。

「船酔い」 これが沖乗りのスタートでした