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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【12航海目】!

2022年10月31日 | モバイル

10月26日・朝5時、女川入港
水揚げ後、12時に出港予定が組まれた。

すっかり秋の風になった女川港、入江の木々の葉も色付きはじめた…

12時・女川出港、北東の風強く公海向け!
時に高いうねりでStop&Go. 船首に波の衝撃を受け、飛沫が舞う…

漁場が近ければ、時化休みの日和だが沿岸域にサンマの回遊がなく
未だに公海漁場にサンマを求める。

低調な漁模様、薄群れのサンマを追って時化海を微速での航行…
当直時も、当直を終えて寝台に入っても船の動きに身体は不自由を強いられる。

船首側の燃料油を船尾側にシフト、幾らかでも船首側を浮かせて波を切る…
こういう航走もこの先多くなりそう…。

10月も下旬、これからの時期の公海は昨年同様、
サンマを追って時化に追い返されそうだ…

新造船引き渡し後のメインエンジン運転時間が10000時間を超えた。
サンマ漁大型船、一部を除き、多くがサンマ漁のみ 約4ヶ月の期間…
本船は今期5シーズン目での10000時間超えである。
通過点であり、ひとつの目安のクリアだが、更に心配は増えていくのだろう…

27日・15時30分、S/B 。
日没頃から風は弱まってきたが、まだうねりは高い…

沖よりに調査。
18時頃、各船操業中のポイント着
漁り火は日本船のみ、外国籍船はいない…

数回の操業後、南東側へとサンマを追った…

次第に良い凪になったが、日付けが変わってからぐっと気温が下がり
甲板上では寒さを感じるようになった。

僅かな漁獲で夜明けをむかえ、漂泊。

28日・15時、S/B 。
良い凪である、漁模様が上向く事に期待せずにはいられない…!

しかしなかなか思うようにはいかず、低調なままに推移…

日付けが変わり朝にかけて、日毎に気温が下がってきているようで
北緯40° の公海洋上、季節は駆け足だ…。

僅かな漁獲で夜明けより漂泊…。

29日・15時、S/B 。
昨晩まで見えなかった外国籍船が付近に集まった!
沖のポイントはダメなようで、船団で海区移動してきた。

外国籍船団と共に調査・操業と広範囲に…。
薄群れを回数操業も纏まった漁獲はなく、
夜明けより微速で南西へ、ポイント移動…

30日・15時30分、S/B 。
漁場向け中の時化後、良い凪が続いていたが
日暮れから北風が強まった…

日没からの調査は、公海と日本の領海とのライン際から日本の領海内へ

しかし、北風とうねりが高まり、時化海に…
数回の操業後 帰途航、女川向けになった。

帰途航走中、船は大きなローリングを繰り返し、揺れに揺れる…。
もうつくづく公海操業はこりごりだ…。

31日・20時頃の入港予定!


【11航海目】!

2022年10月26日 | モバイル

10月22日・朝4時20分、花咲出港 南下 公海向け!
南西の風がやや強く揺れが激しい…。

18時・S/B 。
ポイント着間際からうねりが大きくなり、船は更に揺れる…

時間の経過と共に南西の風は弱まったが、依然としてうねりは大きい。
漁模様は低調で、サンマが薄い…

回数操業も僅かな漁獲で夜明けより微速で沖へ!

23日・15時、S/B 。
若干うねりは高いが風はない…

前夜のポイントよりサンマは見えるが魚体組成は悪い…
薄群れを回数操業。
20時頃からまた冷たい雨が降り始め、結果朝まで降り続いた。
漁獲は伸びず、夜明けより前夜のポイント向け!

24日・15時、S/B 。
付近に船は少ない…

日没から北西の風が強まり、時折くる高波が調査中の船を叩く…!

調査中の船上、だいぶ気温が下がってきており
ライト当直の方々は衣替え、まだ冬仕様までにはなっていないが…
解禁から65日を数え、公海洋上も装いが変わってきた。

ここ最近の調査中、ライトの探照先にサンマがいても跳ねない…
サンマが深いだけでもなさそう…。
ソナーに映らないような小さな群れを漁灯の明かりに集めて
魚群探知機に映る反応での操業もある…

漁期間中の船上から、これまで幾度もいろんなサンマの動きを見てきたけど
今期のサンマの行動は、これまでとは異なるように思える…。

漁模様によって甲板の作業工程も変わり、いろんな工程が増えた。
資源量の低下によって、これまでやってこなかった作業が増え
多くの形態や状況が変わってきているサンマ漁…

海からの恩恵は資源あってこそなのだ…!

夜が明けて、風は北になり更に強まった…!
荒天準備し、帰途航走 Co245° 女川向け!

右舷後方に風を受け、時折高波が船尾甲板に飲んでくる…
波の威力で船は右に左に蛇行を繰り返し、揺れも大きく
揺れ動く船内は当直時もそれ以外の生活環境にも影響する…
歩行時でも危険が伴い、操業以外でも疲れるのだ。
凪の良し悪しで行動も変わる、左右への傾き具合では
寝ていても身体を支えなければならない…。

操業ポイントはかなり近くなったが、それでも女川まで約24時間…

26日朝5時頃の入港予定。


【10航海目】!

2022年10月21日 | モバイル

10月17日、朝7時・女川入港水揚げ!
水揚げの傍ら主機が冷めるのを待って点検。

特に異常は診られず、異音と白煙の原因は特定出来なかった…
主機メーカーの見解は燃料ポンププランジャの一時的なスティックか…?
一時的な症状の後は普段の運転状況だった事と
燃料ポンプの分解整備には時間を要する為、一応症状があった気筒の燃料弁を交換
出港する事とし、10時・女川出港、再度所用で気仙沼に迴港
13時・気仙沼出港、Co70° 凪良く公海向け!

体調管理も仕事のうちだが、体調を崩すと時々歯茎が腫れて痛む事があり、
歯科にも通っているのだが、痛みはじめたらすぐに腫れ、その腫れが大きくなる…
船の上ではどこが痛くても大変なので、処方薬は持ってきているが
今回は結構酷く、眠れない時間が長い…。

夜半から北風が強まり、船は大きなローリングを繰り返す…
歯茎の痛みと、大きく揺れる船…
航海当直が終わって寝台に入っても眠れない…………。

18日・15時30分、S/B。
北風は弱まるもまだうねりは残った。

中型船が多い…
外国籍船は10数隻と少ない。

相変わらず群れは薄く漁模様も低調だ…。
時折冷たい雨が降ったり止んだり…
季節感は秋を通り越したような公海漁場…
これから一雨毎に冬が近づく。

夜明け前から北西の風が強まって、うねりも高まり白波が船首を叩く…

夜が明けて漂泊、機関部は1時間程メンテナンス作業。
この機会をメンテナンスにあてれた事で、後しばらくはトラブルのない限り安堵だ…。

19日・15時30分、S/B。
西風となって、朝よりは海が良くなった…。

連日、S/B前に今夜こそはと思いながら各艙を保冷しているのだが
サンマは見えず…
漁模様は低調だ…

西風は強まったり弱まったりを繰り返し、時折降る冷たい雨が季節の頁を捲る…。
暦は早10月も下旬となる…!

広範囲に調査もサンマは見えず…

夜明け前の若干風が弱まった時、やや灯付きが良い薄群れを操業し
夜明けより漂泊。
時期的に夜明けがどんどん遅くなり、これからサンマ漁は長い夜となっていく!

20日・15時30分、S/B 。
その日の用意・準備を全員で行うS/B の他に、
自分の仕事のS/B があり、航海中以外の漂泊時や停泊時、
自分自身で自分の作業開始時間をあらかじめ設定している。
この日は二度寝で寝坊してしまった…
そういう時は保冷する艙の順番と保冷時間を変更して、全員でのS/B に合わせる。
あまり寝坊する事はないのだが、最近歯茎が腫れて眠れない時を過ごしていて
時計の見間違えでの二度寝だった…

北西の風が強い…

日暮れから調査もサンマは見えず…
調査航走が続く!

公海の西側、日本の領海ラインに近い海区が現在の操業ポイント
外国籍船の漁り火は見えない…!
操業しては調査航走と云うパターン、船は激しい揺れが続く。

沿岸域に回遊してきていた頃とはサンマの漁形態の多くが様変わり…
稀だった時化海での操業も多くなり、各漁撈機械や漁具への負荷が
大きくなっている事は、漁後の整備に反映させなければならない!
これは漁中であっても、来期の為に記憶し、忘れたり無視してはいけない…!
漁撈機械への負荷は一見目に見えない…
人間は疲れたと言うが、機械は疲れたとは言わない…!
我々、使用者達は気を配る必要があるのだ。
運転・起動時間にも内容が伴っている…!
来期の漁の為にも、その使用状況は記しておく必要がある!

時化模様の中、僅かな漁獲で夜が明けて 北上帰途航走。
21日・22時頃の花咲入港予定!






【9航海目】!

2022年10月17日 | モバイル

10月10日・女川での水揚げ後、所用で気仙沼廻港。

夕刻16時・気仙沼出港 凪悪く公海向け…!
嫌になる程 船は揺れに揺れた…

11日・15時30分、S/B 。
風は弱まったが、まだ高いうねりの残る公海を北北東へ…!

20時頃に各船操業中のポイント着…。
薄群れを1回操業しては航走のパターン…
時間の経過と共に次第に良い凪となった。

サンマは深く、ライトの探照先で一旦は跳ねるものの漁灯の下では跳ねない…!
各船が近くに集まり、雰囲気と光景はまるで激戦区だが、漁獲は伸びない…。

夜明けより、北へ1時間程航走して漂泊。 

12日・15時30分、S/B 。
北風が強まりはじめた…

凪が続かず…
漁模様も冴えない…
薄群れを数回操業し、日付けが変わった頃から北北東へ…!
調査しながら海区移動、夜明けより沖へ…!

13日・15時30分、S/B 。
良い凪になり、更に沖へ…!

20時過ぎから薄群れを操業し、南よりに…
その後は操業できるような群れには当たらず調査航走が続く…

サンマも跳ねず、各船漁模様が悪い…
夜明け前に数回操業し、夜が明けてから数哩程南下し漂泊。
機関部は良い凪を利用しメンテナンス作業…。

14日・15時30分、S/B 。
日没後、薄群れを数回操業し、南南東へ海区移動。

外国籍の大船団が操業中のポイント
日本船も合わせると相当な隻数である
付近を調査、サンマは僅かに跳ねるが操業できる群れはない…


兄弟船と一時的にランデブー…。

夜明けを前に日本の各船、一斉に南西に向けた…!
また海区移動…

かなり厳しい漁模様になっている…!

航走中の朝4時頃、メインエンジンに気になる症状がでた…。
すぐに普通になったが…

15日・15時30分、S/B 。
調査しながら尚南西へ…

航走中、今度は燃料油清浄機に異常…
これまで順調だった機関、漁の折り返し時期の頃になって
不安箇所が発生、少し時間をもらう必要がある…

公海での漁になってからは、なかなかメンテナンスの時間がとれない…
漂泊中の時間を利用してやってきたけど
状況によっては時間を要する場合もある…
今期はこれまでまだ休みがない 時化休みも含めて…
漁場が遠く、漁模様も低調、
休みをあてに出来るような状況下にはないのだ…

各船が並ぶように同コースで調査しながらの航走も
サンマは見えず…

夜明け前、やっと操業できる群れ…
2回の操業で夜が明けた…。

漁撈長に相談、船は帰途航 女川向けとなった。
17日朝8時頃の入港予定!


【7・8航海目】!

2022年10月10日 | モバイル

SeptemberからOctoberに…
近年の秋刀魚漁 携わっていると、時の流れは激流の一途だ…!

幾度もサンマを運んだ女川港、知り合いも多くホームだけど
これまでで最も遅い入港・水揚げとなった。

【7航海目】! の更新投稿は、悲しいかな
投稿時の操作ミスによって喪失してしまった…
タッチペンの感度が悪くなってきているので今後も要注意だな…。

女川出港後、金華山に向かって柏手・機関安全と航海の安全を祈願…!

Co 65° 
北上中 見慣れた南三陸沿岸域のまだ秋色には程遠い山景が小さくなっていく。

9月30日15時30分、S/B 。
日本の領海から公海へのライン越え、日没から調査開始!

ポツポツだが広範囲で跳ねるサンマ、薄群れを数回操業。
月が海に隠れた頃から良い凪となり、サンマが群れ始め
少し纏まった群れを操業、沖のサンマと比べ魚体組成は劣るが
若干漁獲は纏まり、夜明けより漂泊。
機関部は良い凪を利用してメンテナンス作業。

10月1日15時30分、S/B 。
久々に湖のような凪、良い凪に前夜のサンマ、漁模様に期待した!

しかし、サンマがいなくなった…
範囲を拡げての調査も、サンマが見えず…。
どうなってんの と云う感じ…
南下第1陣とも思えない…
夜半より微速で北上帰途、花咲向け…

10月2日・23時、花咲入港 北海道道東の港 秋風が心地良い。
水揚げ後、05時30分、出港 公海向け。

10月4日15時30分、S/B 。

日暮れ前から薄い反応があり、日没より操業開始!

数回の操業で少し纏まった漁獲があった…!
しかし、その後は灯付きが悪くなり調査航走が続いた…




日付けが変わった頃から次第に南風が強まり、時化てきた…
夜明け前に数回操業、夜明けより漁灯を仕舞い荒天準備し、支え…

外国籍船団各船はパラシュートアンカー投入中のようである…

日昼、吹き荒れた南の風が15時過ぎには弱まった…

5日・15時30分、S/B 。

ややうねりが残る公海洋上、日暮れから風が北に変わり強まり始めた…
調査開始もサンマは見えず、付近の外国籍船・日本船共に一斉に南下…!

時化交わし、幾分風の弱いポイントへ…

夜半から降りだした雨が合羽越しに冷たい…
そういう季節になった北緯43°の公海。
外国籍の大船団が操業中も群れは薄く、数回の操業で夜が明けた…

夜明けより微速で北上、良い凪となり日暮れ時のポイント向け…。
9時ポイント着 漂泊。

6日・15時30分、S/B 。

良い凪で天気も良かったのだが、日没からまた冷たい雨が降りはじめた…
強まったり弱まったりの繰り返しだった雨脚は22時過ぎから豪雨に…
そんな中、少し纏まった群れを数回操業。

次第に北風が吹き始め、日付けが変わってからは吹き荒れ、嵐となった…!
やれやれ、連日のように時化に邪魔される…!

夜明けより漂泊…
本船は1つの艙に清水を積み込んできており、
新たな冷水を造れるように準備している。
漁の状況によっては冷水の使用量が増えるので、必要量確保の為だ。
新たに2艙分の冷水造りを10時過ぎまで…。

前日の昼過ぎから各艙の保冷等、操業で一晩、
夜明けからは冷水造りと続き、
そろそろ体力的にキツくなってきているのを痛感…。

漁模様が悪いときは、良いときと比べ多くの諸作業が増える…

7日・15時30分、S/B 。
まだ北風が強い…!

日暮れから調査航走が続き、20時過ぎに薄群れを操業…
魚体組成が悪い、日々群れによって組成にバラつきがある…
少ないながらもサンマの回遊は足早なようだ…

先の事は神のみぞ知る領域だけど
近年のサンマ漁は持続可能とは言い難いかもしれない…
SDGs 持続可能な豊かな海とその資源だとは私は思えない…
過去に獲り過ぎたツケが影響しているのかもしれないし…
海が変わってきているのかもしれないし…

「鶏が先か卵が先か」論になってしまうけど
この先サンマがいなくなったら、乗組員は去るだろうし
そうなると船も動かなくなる…!
なにかしろのタイミングで何かが必要なのは今なのかもしれない…

22時過ぎから西へ、調査しながら帰途航…

北風は更に強まり、うねりが白波となって右舷を叩く…
次第に白波は右舷後方から飲んでくるようになった…

船はかなり丈夫に出来ている。
あとは扱う人間次第と云う事だ!
多くの操作が自動化されていく現代において
自動化に頼り過ぎる事は危険を伴う!
便利さゆえに、頼り過ぎて確認を怠ってはならない。

些細なことで自動が効かなくなる事も多々ある…
16人の乗組員各々が気を配らなければならない事がある。
ミスのない人間はいないが、言われた事しかしない人間はいる…
注意するかしないかによって、防げる事は少なくはない…。
考え方の違い、多様性、団体生活は難しい…!

時化に追われ、夜明け前に漁灯を仕舞い荒天準備
帰途航走は女川向け!

10日・朝3時頃の入港予定。