80年代Cafe

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ゲームブック・盗賊都市・社会思想社

2006-10-24 21:45:51 | ゲームブック

 盗賊都市はイアン・リビングストンの作で、ファイティングファンタジーシリーズの5番目の作品にあたります。この作品はダンジョンでの冒険ではなく、都市を探索してゆくシティアドベンチャーと呼ばれる形式のシナリオになってます。


 物語はシルバーストーン市にある盗賊都市ポート・ブラックサンドに潜入して、街に隠れ住む魔術師ニコデマスと面会を果たし、闇の魔術師サンバーボーンを倒す為に必要な情報を得て彼を倒すというものです。とは言ってもサンバーボーンとの対決はおまけ程度の扱いで、ページのほとんどが盗賊都市の喧騒を描き出すことに費やされています。タイトルどおり『都市』がこの本の中心であり、主題になっています。(直接主人公と対面する事のない)街の領主アズール卿の方が、街の住人の噂話などによってサンバーボーンよりも存在感(恐怖感)があるほどです。

 ダンジョンの通路が都市の街路に、部屋が住居に置き換わっただけで、基本的な形は変らないのですが、都市を舞台にすることによりそこに住む住人達の息遣いや生活臭のようなものが表現される事となり、迷宮物とはまた違った冒険を楽しむことが出来ます。中世ヨーロッパの古い都市を散策するかのような、史跡観光気分が味わえるんですね。そのためか、リビングストン作品の中でも人気が高く傑作と言われています。


 例を1つ挙げて見ますと、物語を読み進めていくと気付くのですが、この街の周りは超える事のできない高い城壁で囲まれています。主人公は町に入るために門番をかわさなくてはなりませんし、衛兵から逃げる為に城壁によじ登ったりしなくてはなりません。ヨーロッパでも中国でも領主のいるような大都市には、城壁があって外部より遮断されているのが、ごく自然で普通なのだそうです。他民族などからの襲撃や侵略を経験してきた大陸ではそれが当たり前で、城壁というものが発達しなかった日本の都市は、(あちらの常識では)貝がムキ身のままさらされているような状態とも言えるのだそうです。(それだけ日本が安全だったという事ですが)。あちらの人が作ったRPGでは、ブラックオニキスでもウィザードリィでも都市は壁に囲まれていましたから、そんなところからも歴史や文化の違いに触れることができて興味深い気がします。(マイト&マジック、バーズテール、みな都市が登場するものはそうですね)

 それ以外にも街の広場でカーニバルが行なわれていたり、桟橋に奴隷船が停泊していたりと、中世ヨーロッパの世界観の中に引き込まれる仕掛けがたくさんしてあります。ファイティングファンタジーの中でも簡単だといわれる作品の1つですから、もし機会があれば(サイコロを使わずに)読むだけでも面白いかもしれません。


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4 コメント

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Unknown (80-cafe)
2018-01-28 20:10:02
盗賊都市はffシリーズ内でも傑作のひとつだと思います。いまの技術で仮想空間として再現されたポート・ブラックサンドの町を探索してみたいものだと思いますね。こんなのも出ているみたいです。
http://store.steampowered.com/app/496340/Fighting_Fantasy_Legends/

仮面の破壊者はゲーム内ゲームがあったり、最後に謎解きやどんでん返しがあったりと、工夫されていて好きな作品です。最後期でもなく中途半端ということで、遊んだ人も少なく人気がないということなんでしょうかね。
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Amazonで検索すると (MOSSAN)
2018-01-26 22:47:19
FFでは初期の作品であり、決して発行部数も少なくないはずですが、
最低価格が5000円近くなっていますね。
まあ、ほとぼりが冷めれば、下がるとは思いますが…

手持ちのゲームブックの中には状態の良くない物も多いですが、
今後も丁寧に扱いたいです。
しかし、せっかく未入手の作品を購入できたとしても、
ここまでのプレミアが付いてしまっては、
迂闊に熟読すらできませんね。
もし破損とかした場合、同じ本を探すのは並大抵の苦労では済まないですから。

話は変わりますが、《仮面の破壊者》は人気が無いのでしょうかね。
第23巻と後期の作品にも拘わらず、Amazonでも法外な価格にはならないみたいです。
それでも定価を越えるお金は出したくありませんけどね。
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Unknown (80-cafe)
2016-12-16 22:08:40
個人的には、デストラップダンジョンやこの盗賊都市がイアン・リビングストン作品の中では好きなもののひとつです。タイタン世界にこだわり、ひとつの世界観を作り上げていくという作風が好きでした。

反面、ゲーム性にはライトでゲーム性に拘るスティーブ・ジャクソンと良いコンビで、ゲームブック界の藤子不二雄、ゆでたまご、あるいはドゥルーズ・ガタリみたいな名コンビだったと思います。
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この頃は (MOSSAN)
2016-12-15 18:24:46
作ったキャラクターのパラメータが平均的でも、苦労せずに遊べました。
しかし、シリーズの中盤辺りからイアン・リビングストンの作品は、
パワーゲームになってしまいます。
『難しいほど面白い』と考えたイアン・リビングストンは、
パラグラフ構造ではなく敵の強さに重点を置きました。
ゲームブックにパズル的要素を用いるスティーブ・ジャクソンとは正反対だったのですね。
後期のイアン・リビングストンの作品は、正直にサイコロを振っていてはクリアできないほどです。
世界観が良いだけに、敵のインフレが激しくなったのは残念です。
もっとも、スティーブ・ジャクソンよりリリースのペースが早いのは良かった。
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